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2024年7月6日

手術が障害を招く!?くも膜下出血患者に潜む遅発性脳虚血の誤解

2024  7月  中国


動脈瘤性くも膜下出血(aSAH)の予後に性差があるかどうかは依然として議論のあるところであり、とくに術後脳虚血イベントにおける性差を明らかにすることは予後不良との関係を理解する上で有用である。

そこで、aSAH後の性差、術後脳虚血、予後不良の3つの側面について関連要因をくわしくしらべてみたそうな。

 


2018年1月から2022年12月までにaSAH後72時間以内に入院した患者472例を対象とした。
aSAHにおける性差の特徴を系統的に分析し、遅発性脳虚血(DCI)、手術関連脳梗塞(SRCI)、予後不良(modified Rankin Scale > 2)との関連を検討した。



次のことがわかった。

・女性に比べて男性は入院時の状態が悪く、脳内血腫が多かったが、女性は年齢が高く、多発性動脈瘤の頻度が高かった。

・入院中、男性は緊急挿管と気管切開を経験する可能性が高かった。

・退院時の機能的自立の達成率は女性も男性も同程度であった。

・術後合併症のうち、DCIと尿路感染の発生率は女性で有意に高かった。

・年齢で調整した後、高血圧、 術前再破裂、肺感染、脳室外ドレナージ留置、 
菌血症、SRCI、静脈血栓症、修正Fisherグレードの上昇、および 
Hunt-Hessグレードは予後不良と関連していたが、

・DCIは予後不良の独立した危険因子ではなかった。

・脳虚血から完全に回復した患者の割合はSRCI群と比較してDCI群で高く、

・SRCI群ではmodified Rankin Scale > 2の予後不良状態で退院した患者が有意に多かった。


くも膜下出血患者における遅発性脳虚血の発症率は女性のほうが高いが、退院時の転帰に性差はなかった。予後不良の独立した危険因子は、手術に関連した脳梗塞のみであり、遅発性脳虚血は独立した危険因子ではなかった、


というおはなし。

くも膜下出血の手術


感想:

これまで、遅発性脳虚血こそがくも膜下出血の予後不良の原因であって、それを避けるために再出血をふせぐ手術が必要である!

って理屈だったのに、遅発性脳虚血があっても予後は悪化せず、その手術自体が障害や死亡の原因だったってこと。


正直でよろしい (≧∇≦)b



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