元2024 10月 中国
歩行速度は簡単に測れる生理的な指標であり、近年の研究でさまざまな健康結果と関連が指摘されている。
その中でも特に注目すべきは、歩行速度と脳卒中リスクとの関係である。脳卒中は後遺症や死亡リスクが高いため、予防のための指標を明確にすることが重要である。
歩行速度が脳卒中予防に有効な指標である可能性があるが、その因果関係はまだ十分に明らかになっていないので、歩行速度と脳卒中リスクの因果関係をくわしくしらべてみたそうな。
ヨーロッパ系集団を対象にした「2サンプル・メンデルランダム化法」(MR法)を用いた。MR法は、遺伝情報を用いて因果関係を推定する方法であり、観察研究で見られるような交絡因子の影響を抑えた解析が可能だ。
具体的には、歩行速度に関連する一塩基多型(SNP)のデータはイギリスのUK Biobankから、脳卒中に関連するSNPのデータはフィンランドのFinnGenから収集した。また、メインの解析手法として逆分散加重法(IVW法)を採用し、その他の補完的な解析法も併用して結果の頑健性を確認した。
次のことがわかった。
・歩行速度と脳卒中リスクの関係を明らかにするために48のSNPが有効な指標として用いられた。・歩行速度が遅い人ほど脳卒中リスクが高くなることが示された。・具体的には、歩行速度が遅い人は通常の速度で歩く人と比べ、脳卒中リスクが約1.75倍になることが確認された(オッズ比0.573)・また、解析の結果には遺伝的な交絡やデータの偏りも見られず、信頼性の高いデータであるとされる。
歩行速度がもともと低いことが脳卒中リスクの増加と因果的に関連していることが示唆された。したがって、歩行速度が遅いと感じる脳卒中経験者は、歩行速度を維持・改善することが、再発予防やリスク軽減に繋がる可能性がある、
というおはなし。
感想:
たしかに歩きが遅い自覚がある。
