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2025年3月31日

30年続けて証拠ゼロ!脳ドック神話はなぜ崩れないのか

2025  3月  日本


脳ドックは、無症候性脳疾患の早期発見や脳卒中予防を目的に、日本全国で広く導入されている。

しかしその実施内容や質には施設間でばらつきがあり、ガイドラインの遵守状況も明らかではない。

高齢化が進行する日本において、脳ドックの役割を再評価し、その質を確保することは重要な課題である。そこで、脳ドックの実施実態とガイドライン遵守率をくわしくしらべてみたそうな。



2024年1月から2月にかけて、日本脳ドック学会および人間ドック学会の会員に対し、全国横断的なアンケート調査を実施した。有効回答数は288件(回答率10.3%)であった。アンケートでは、施設の特性、実施している検査内容、画像読影体制、AI活用状況、結果の説明方法、そしてガイドラインの認知と遵守状況について尋ねた。

脳ドックガイドライン(2019年版)で推奨されている主な項目は以下のとおりである:
1. 医療面接(既往歴、家族歴、生活習慣)
2. 身体・神経学的診察
3. 血液・尿・生化学検査
4. 心電図検査
5. MRI検査(T1WI, T2WI, FLAIR, T2*WI の4シーケンス)
6. MRA検査(頭部および頸部)
7. 頸動脈超音波検査
8. 認知機能検査(MMSE, MoCAなど)



次のようになった。

・脳ドックは多くの施設でMRIに加えて血液検査や認知機能検査などと併用されていたが、ガイドラインのすべての項目を実施していたのは41%にとどまった。

・特に認知機能検査の実施率は53.7%と低かった。また、MRIの必須シーケンス(T1WI、T2WI、FLAIR、T2*WI)すべてを実施していたのは63.5%であった。

・医療面接は72.8%、血液検査は70.5%、心電図は60.7%、頸動脈超音波は多くの施設で実施されていたが、全項目を一貫して実施している施設は少数であった。

・読影体制については、68%の施設で2名以上の医師が関与していた一方、26%は1名のみで読影していた。AIの利用率は7%と非常に低かった。

・結果の説明は47%が全受診者に対面で行っていたが、10%の施設では結果を郵送するだけであった。

・脳ドック認証制度については、約3分の2の医療従事者がその存在を知らず、認証を取得したいと考えているのは57%であった。


脳ドックは脳卒中や認知症の予防を目的とする有用な制度であるが、ガイドラインの遵守率は必ずしも高くなく、施設間のばらつきが大きい。特に認知機能評価や画像のダブルチェック体制、AIの活用には改善の余地がある。今後、認証制度の普及とガイドラインの啓発を通じて、脳ドックの質の均質化と信頼性向上を図る必要がある、


というおはなし。

脳ドック体験



感想:

『脳ドックのおかげで脳の病気が減ったというまともな証拠は、この世のどこにも存在しない。』

『脳ドックは、健康な人を病人に仕立て上げて病院のリピーターにするためのマーケティング戦略である』




脳ドックで脳の病気は減ったのか?科学的根拠を検証する

✅ 脳ドックの効果に科学的証拠はあるのか?

結論から言えば、「脳ドックによって脳の病気が減った」という因果的な証拠は、この世のどこにも存在しない。 その理由は以下のとおりである。

1. ランダム化比較試験(RCT)が存在しない

脳ドックを受けた群と受けていない群で、脳卒中・脳出血・認知症などの発症率が有意に減少したというような信頼できる研究は、現在存在していない。

2. 検出率や関連の報告はあるが、予防効果の証明ではない

「未破裂動脈瘤の発見率」「白質病変と高血圧の関連」といった横断的データは存在するが、それが病気の発症や死亡を防いだ証拠ではない。

3. 過剰診断や不安を生むリスクも

脳ドックによって見つけた所見が、過剰検査・不要な治療・不安の増加につながるという指摘もある。これらは「害を及ぼすスクリーニング」として国際的にも問題視される要素である。

4. 日本政府も公的には推奨していない

がん検診と異なり、脳ドックは自由診療であり、国の公的補助や推奨制度は存在しない。

🔍 正しい理解とは

「脳ドックで脳の病気が減った」と言うのは誤りであり、正しくはこう言うべきである:

脳ドックによって脳疾患の早期発見はされているが、それによって疾患の発症率や死亡率が下がったという信頼できる証拠は、現在のところ存在しない。

🧭 疑問を持つべき問い

30年以上続いてきた脳ドックに、科学的成果はあったのか?
その問いこそ、いま再検証されるべきである。



脳ドックは健康な人を病人に仕立て上げるマーケティング装置か?

結論:
脳ドックが「病気を防ぐ」科学的根拠は乏しく、むしろ健康な人に「病気の芽」を見せつけ、医療のリピーターに変える構造がある。

🧠 脳ドックは「不安を売る」装置

  • 対象は無症状の健康な人
  • 「白質病変がありますね」「小さな未破裂動脈瘤があります」と告げることで、「自分は病気予備軍」と思わせる
  • その結果、定期的な再検査・生活習慣病外来への誘導 → 医療の囲い込み

🏥 病院にとっては「理想の商品」

  • 自由診療なので料金設定が自由
  • 検査は機械任せ、医師の負担は少ない
  • リスクも低く、利益率が高い

🔬「予防医学」の名を借りた医療産業の拡張

予防、安心、早期発見という名目で、「正常と異常の境界」を再定義。 それにより健常者を「病気未満」に仕立てて、医療の市場を拡大している。

📘 医学批評家イリイチの言葉に重ねて

「医学は病人を治す機能よりも、健康な人を病人に仕立てる機能を強めている」 — Ivan Illich(『脱病院化社会』より)

🔚 結論

脳ドックは、もはや「医療」ではなく、「安心を売るサービス業」または 「健康という幻想の商品化」とすら言える。 脳卒中経験者にとっても、こうした過剰診断の波に飲まれず、判断力を保つことが何よりの予防かもしれない。



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