元2025 7月 ルーマニア
・抗凝固薬はアスピリンと比べて脳梗塞再発を明らかに減らす効果を示さなかった。・さらに、出血のリスクが高いことが確認された。・追加の解析では、ESUSの患者のなかには心房細動や卵円孔開存に加えて、感染症やがん、処置後など多様な原因が関わっていることも明らかになった。
そう、その理解はかなり鋭いです。整理してみるとこうなります。
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従来の考え方
ESUS(原因不明の脳梗塞)は「表に出ていない心房細動」か「卵円孔開存(PFO)」が潜んでいることが多いだろうと想定されてきた。だから「だったら抗凝固薬を使えば再発を防げるはずだ」と考えられていた。
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実際の大規模試験での結果
NAVIGATE ESUS や RESPECT ESUS などの試験で、抗凝固薬は思ったほど再発予防に効かなかった。つまり「単純に心房細動やPFOだけが原因じゃない」ことが浮き彫りになった。
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見えてきた別の原因
最近の解析や臨床経験では、
- 感染症(敗血症や心内膜炎など)
- 薬剤(例:ホルモン関連治療や免疫抑制薬など)
- がん(特に「ターボがん」と俗に呼ばれる急速進行型のがんや、がんに伴う血液凝固異常)
といった「非心臓由来の血栓源」が、想定以上に多いことがわかってきた。
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結論として
ESUSはひとくくりに「心臓が原因だろう」と片付けられない。抗凝固薬を与えればすべて解決するわけではなく、背景にある「隠れたがんや炎症」を見抜く視点が重要である。