元2025 8月 中国
脳卒中は世界で2番目に多い死因であり、後遺症による生活の質の低下や医療費の増加をもたらす大きな病気である。
ビタミンB12や葉酸と脳卒中の関係はよく知られているが、ビタミンB1(チアミン)については大規模な調査があまり行われてこなかった。ビタミンB1は体のエネルギーづくりや神経の働きを保つために欠かせず、不足すると代謝の乱れや血管の動脈硬化を通じて脳卒中の危険を高めるおそれがある。
そこで、高齢者におけるビタミンB1の食事からの摂取量と脳卒中の発症リスクの関係をくわしくしらべてみたそうな。
アメリカで行われている国民健康栄養調査(NHANES)の2003〜2018年のデータを使い、60歳以上の15,381人から必要な情報がそろっている11,724人を対象とした。
ビタミンB1の摂取量は2回の食事調査(24時間の食事内容を思い出して答える方法)から計算した。脳卒中の有無は本人の自己申告で確認し、年齢や性別、人種、生活習慣、BMI(体格指数)、持病などの影響を統計的に調整して分析した。
摂取量は連続的な数値としても、4つのグループ(少ない方からQ1〜多い方のQ4)としても比較した。さらに、摂取量とリスクの関係が直線的かどうか、年齢や性別ごとの違い、結果の信頼性も確認した。
次のことが分かった。
・脳卒中のない人は、ある人よりビタミンB1の摂取量がやや多かった(1.5 mg/日 vs 1.4 mg/日, p<0.001)。・統計的に調整した結果、ビタミンB1の摂取量が1 mg増えるごとに脳卒中リスクは約37%低下していた(OR=0.63, 95%CI: 0.48–0.83)。・4つの摂取量グループで比べても、最も多く摂っているグループ(Q4)は最も少ないグループ(Q1)に比べてリスクが有意に低かった(OR=0.63)。摂取量とリスクの関係はほぼ直線的で、特に80歳以上ではこの傾向がはっきりしていた。別の条件で分析しても結果はほぼ変わらなかった。
高齢者では、ビタミンB1の摂取が少ないほど脳卒中の発症リスクが確実に高まることが本研究で示された。ビタミンB1は年齢とともに不足しやすく、食事や生活習慣の中で意識的に補うことが不可欠である。したがって、高齢者における脳卒中予防には、食品やサプリメントを活用して日常的に十分なビタミンB1を摂取することが必須である、
というおはなし。
感想:
『RDA(推奨摂取量)相当を摂るためにおすすめの日本人むけ食事内容は?』
以下、医師国家試験正答率98%のAIの回答コピペ↓
RDA(成人男性1.2 mg/女性1.1 mg)を日本の食材で無理なく満たすには、ビタミンB1の吸収効率や調理による損失も考慮しつつ、主食+肉・魚+豆類+種実類をバランスよく組み合わせるのが現実的である。
1日の例(合計:B1 約1.3〜1.6 mg)
※成人女性RDAを確実に超え、男性RDAにも届く目安
朝
- ごはん(精白米)150g → B1 約0.05 mg
※玄米や胚芽米にすると約3倍(0.15 mg) - 豚ロース薄切り 50g(しょうが焼き) → 約0.45 mg
- 納豆 1パック(45g) → 約0.22 mg
- ほうれん草おひたし 50g → 約0.03 mg
小計:約0.75〜0.85 mg(玄米なら1.0 mg前後)
昼
- 焼きそば(中華麺150g、豚こま30g、野菜)
・中華麺(強力粉製)150g → 約0.09 mg
・豚こま30g → 約0.27 mg
・キャベツ・にんじん → 約0.02 mg
小計:約0.38 mg
夜
- 鯖の塩焼き 80g → 約0.23 mg
- 豆腐の味噌汁(木綿豆腐80g) → 約0.08 mg
- 玄米ごはん 150g → 約0.15 mg
- アーモンド 10粒(12g) → 約0.02 mg
小計:約0.48 mg
合計
- 精白米中心:約1.6 mg
- 玄米・胚芽米多め:約1.8〜2.0 mg
ポイント
- 豚肉(特にヒレ・ロース)はB1含有量がトップクラス(ヒレ100gで0.98 mg)。
- 玄米・胚芽米・雑穀米で主食を置き換えると吸収量アップ。
- 大豆製品(納豆・豆腐)や種実類(ごま・アーモンド)で不足分を補える。
- 調理での損失が大きい(水溶性・熱に弱い)ため、汁ごと食べられる料理(味噌汁、スープ)がおすすめ。
- にんにく・玉ねぎに含まれるアリシンと一緒に摂るとB1の吸収率が向上。
この組み合わせなら、論文でリスク低下がみられた「RDAを少し上回る摂取量」に日本食でも十分到達できる。
