元2025 8月 中国
脳梗塞(虚血性脳卒中)は脳血管が詰まって起こる病気で、日本を含むアジア地域で大きな健康問題となっている。これまでの研究では、血液中の金属元素の量と脳梗塞の危険性に関連があるのではないかと指摘されてきたが、それが本当に原因なのか、単なる相関なのかははっきりしていなかった。
さらに、アジア人を対象とした研究は少なく、十分な検証が行われていないのが現状である。そこで、血中の金属濃度と脳梗塞の発症との因果関係を遺伝子データを使ってくわしくしらべてみたそうな。
研究チームが用いたのは「メンデルランダム化法」という手法である。これは、生まれつき持っている遺伝子の違いを利用して、血中の金属濃度が高い人と低い人とで脳梗塞の起こりやすさに差があるかを調べるもので、自然の臨床試験とも呼ばれる。
データは中国と日本の大規模な遺伝子研究から集められたもので、血液中の二十一種類の金属について四十二の指標を解析対象とした。脳梗塞についても数十万人規模のデータを用い、複数の統計手法や感度分析を組み合わせて、偶然や他の要因による影響をできるだけ排除している。
次のようになった。
・血漿中のカルシウム濃度が高いと脳梗塞の危険性が有意に増すことが示された。・また、ニッケルにも危険性を高める可能性が認められた。・一方で、クロムについては逆に保護的に働き、脳梗塞のリスクを下げる方向に作用していた。・その他の金属については明確な因果関係は確認されず、今回の研究で信頼性があると判断できたのはカルシウムとクロムに関する結果であった。
この研究はアジア人を対象とした初めての大規模な遺伝学的解析であり、血漿カルシウムが高いと脳梗塞のリスクは増し、クロムが高いとリスクは下がるという因果関係が明らかになった。血中のカルシウムは骨や歯に良いイメージがある一方で、過剰であれば脳梗塞の危険因子となる可能性があることが示された点は興味深い、
というおはなし。
感想:
『カルシウムサプリメントを摂っているひとや骨粗しょう症対策に活性型ビタミンDを処方されているひとはやばいかも、ってことよね。』
以下、医師国家試験正答率98%AIの進化版GPT-5の回答コピペ↓
はい、その直感はかなり鋭いです。論文の示すところを整理すると──
まず、今回の研究で問題になっているのは「血漿中のカルシウム濃度が高すぎると脳梗塞リスクが上がる」という点です。骨粗しょう症の治療や予防のためにカルシウムサプリを摂ったり、活性型ビタミンDを処方されている人は、腸からのカルシウム吸収や血中カルシウムの濃度が上がりやすくなります。そうすると「骨にはプラスでも、血管や脳にはマイナス」という状況が起こりうるわけです。
さらに活性型ビタミンDは、腸からのカルシウム吸収を強めるだけでなく、血中カルシウム濃度を直接引き上げる作用もあります。もともと腎臓や副甲状腺などの調整機能がうまく働いていれば過剰になりにくいですが、高齢者や持病のある人ではバランスが崩れやすい。血中カルシウムが上がりすぎると、脳梗塞だけでなく動脈硬化や心筋梗塞のリスクにもつながる可能性が指摘されています。
つまり、
- 骨粗しょう症対策でカルシウムやビタミンDを「漫然と」補っている人
- サプリメントを飲み続けていて血中カルシウムを測っていない人
こうしたケースでは、かえって脳梗塞リスクを押し上げてしまう危険がある、というのが今回の研究から読み取れるメッセージです。
👉 まとめると、「骨のためのカルシウムが、脳にはリスクになりうる」という逆説的な状況が浮かび上がった、ということですね。
