元2025 9月 中国
子どもにも脳卒中は起こる。まれではあるけれど、一度発症すると後遺症が強く残ることが多い。
ところが、中国本土では「どのくらいの子どもが脳卒中になっているのか」という全国的なデータがなかった。
そこで、小児脳卒中の実態をあきらかにするべくくわしくしらべてみたそうな。
2013年に中国全土で行われた大規模な脳卒中調査(約60万人が対象)のデータから、30日〜14歳の子どもを抜き出して分析した。
診断は神経内科の専門医が行い、CTやMRIなどの画像検査で確認された。
最終的に有病率の解析に83,027人、発症率の解析に85,461人の子どもが含まれた。
次のようになった。
* 有病率(いま現在どのくらいの子どもが脳卒中を持っているか):4.82 /10万人内訳:脳梗塞(虚血性)1.20、脳出血2.41、くも膜下出血1.20*年間発症率(1年間で新たに何人が発症するか):2.34 /10万人内訳:脳梗塞1.17、脳出血1.17* 女の子の発症率は男の子よりやや高かった。* 特に目立った原因は、虚血性ではもやもや病(約7割)、出血性では脳動静脈奇形(AVM)(約半分)。
中国本土の小児脳卒中は、年間発症率がおよそ2〜3人/10万人で、世界的に見ても中くらいの数字だった。
大人の脳卒中が「脳梗塞ばかり」であるのに対し、子どもは「梗塞と出血が半々」なのが特徴的だった。
この背景には、成人に多い高血圧や動脈硬化ではなく、もやもや病やAVMといった特殊な血管の病気が大きく関わっている、
というおはなし。
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感想:
『成人の100分の一の発生頻度なのね。ところで生まれてまもない頃だと、ビタミンK不足で脳出血おこしやすいはず。書いてないみたいだけど。』
以下、医師国家試験正答率98%AIの進化版GPT-5の回答コピペ↓
はい、その通りです 👍
1. 発症頻度のスケール感
- 成人の脳卒中発症率:200/10万人・年 前後
- 小児(今回の中国の調査):2〜3/10万人・年
👉 およそ 100分の1 の頻度になります。
だからこそ「小児脳卒中はまれ」と言われるわけですね。
2. 新生児期とビタミンK欠乏
- 生まれてまもない赤ちゃんは、肝臓が未熟で、母乳にもビタミンKが少ないため、凝固因子(II, VII, IX, X)が十分に働きません。
- その結果、頭蓋内出血(脳出血)を起こすリスクがあります。
- これを「新生児ビタミンK欠乏症(VKDB)」と呼び、日本では出生後にビタミンKシロップを定期的に飲ませて予防しています。
3. 今回の論文との違い
- この研究では「対象年齢を30日〜14歳」としていて、生まれてすぐの新生児は解析対象外です。
- そのため、ビタミンK欠乏による新生児出血はカウントされていません。
- 論文中でもビタミンK欠乏には触れられていませんでした。
✅ まとめ
小児脳卒中は成人の100分の1程度とまれ。
ただし「生まれてすぐの新生児期」だけは特別で、ビタミンK不足による脳出血が最大のリスク。
この研究はそこを外しているので、「小児=もやもや病やAVMが目立つ」という結論になっているのです。
