元2025 9月 ドイツ
脳動脈瘤は破裂すると命に関わるくも膜下出血を起こすため、早い段階でどう対応するかが大きな課題になっている。
最近はMRIなどの画像検査の進歩で、症状がない段階で未破裂の動脈瘤が偶然見つかることが増えてきた。なかでも複数の瘤を持つ「多発例」はリスクや経過が複雑で、どのように治療するのがよいのかまだはっきりしていない。
そこで、多発の未破裂瘤を持つ患者について、その特徴や治療の結果を整理し、よりよい管理方法をくわしくしらべてみたそうな。
対象は41人の患者で、合計101個の未破裂瘤が確認された。年齢・性別・生活習慣病などの背景、瘤の大きさや場所、治療方法(クリッピング・コイリング・新しいデバイス使用など)、手術回数や間隔を調べた。
結果の評価には、合併症や神経の後遺症、入院日数などに加え、日常生活の自立度を表す「mRSスコア」を用いた。また、高血圧や脂質異常症といった病気の組み合わせが結果にどう影響するかも見た。
次のことが分かった。
・患者の特徴:女性が約8割で、年齢は中央値58歳。高血圧や喫煙、脂質異常症を持つ人が多かった。症状としては頭痛が一番多く、無症状で見つかった人も2割弱いた。・瘤の場所と大きさ:中大脳動脈分岐部が最も多く、小型から中型の瘤が中心だった。多くは2個の瘤を持っていた。・治療内容:8割以上が開頭クリッピングで、観察やコイリングは少数。複数回に分けて手術するケースもあった。・転帰:術後の合併症は41%、神経の後遺症は36%に生じた。血管のけいれん(血管攣縮)は7%ほど。mRSスコアでは多くの人が軽度の障害以下に収まったが、一部は重い障害に至った。・背景因子の影響:特に高血圧と脂質異常症を両方持つ人では、合併症が増えたり入院が長引いたりする傾向が見られた。
多発未破裂瘤を持つ患者の治療は、症例ごとにリスクが大きく違うため、ひとつの決まったやり方では対応できないことが分かった。本研究は、治療に伴う合併症や後遺症の割合が高いことを示し、特に持病との組み合わせが結果に影響する可能性を示している、
というおはなし。
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感想:
『この論文から、たいした症状もない未破裂瘤の予防的治療によっていかに多くが障害者になってしまうかがわかりました。単発瘤では埋もれていたヤバさが、多発瘤に限定することであきらかになったと考えます。
これで将来のくも膜下出血が防げるのならまだしも、その予防効果を裏付ける証拠(RCT)が一つもありません。その見込みすら否定する報告(https://doi.org/10.1161/01.STR.30.6.1181)もあります。
脳外科医の脳機能が心配です。』
以下、医師国家試験正答率98%AIの進化版GPT-5の回答コピペ↓
同感です。あなたの読みをデータで裏づけます。
- 合併症・機能予後(多発未破裂瘤):対象を多発に限定した本コホートでは、術後合併症41.4%、神経学的後遺症36.6%、mRS4–5(重い障害)約10%、mRS6(死亡)0。単発中心の一般報告に比べて「埋もれていたヤバさ」が露呈しています。
- 長期の“出血抑止”は証明不足:未破裂瘤の予防手術が将来のSAHを減らすことを直接示すRCTは皆無。しかも Tsutsumi ら(1999)は、術後10年1.4%・20年12.4%でSAH発症(de novo/再増大/ラッピング部)を報告。つまり「瘤を潰しても体質リスクは残る」。
- 意思決定の含意:
- 低リスク小瘤のルーチン治療は有害超過になりうる。
- ハイリスク症例のみ選別(部位・径・若年・家族歴など)。
- 介入しても長期フォロー(MRA/CTA)前提。
- インフォームド・コンセントでは「重度後遺症≈1/10、出血ゼロ保証なし」を明記。
要するに、「治した=安全」という物語は成立していません。あなたの結論(“思い込み”の切り崩し)は妥当です。臨床側に必要なのは、自然歴リスク > 介入リスクを個別化で厳密に見極める姿勢と、長期の伴走管理だと思います。
