元
脳出血は脳卒中の中でも死亡率が高く、重い後遺症を残すことが多い病気である。
主な原因として高血圧や抗凝固薬の使用などが知られているが、それだけでは発症のすべてを説明できない。
そこで、血管や血液脳関門を守る働きをもつ亜鉛に注目した。
亜鉛が不足すると血管がもろくなることが知られており、脳出血と関係している可能性があると考え、くわしくしらべてみたそうな。
世界中の医療機関から集められた大規模データベース「TriNetX」を用いた後ろ向きコホート研究である。
2010年から2023年までに血清亜鉛を測定した18歳以上の患者を対象とした。
血清亜鉛が70μg/dL未満の人を亜鉛欠乏群、70〜120μg/dLの人を正常群として比較した。
年齢、性別、持病、薬の使用などが結果に影響しないよう、統計的に条件をそろえた。
そのうえで、1年以内に新しく脳出血を発症した割合を比較した。
また、血清亜鉛が50μg/dL未満という重度の欠乏についても別に検討した。
つぎのようになった。
・解析対象はおよそ14万7千人(各群7万3千人)であった。
・亜鉛欠乏のある人は正常な人に比べて脳出血のリスクが約1.8倍高かった。
・さらに、死亡率は1.9倍、肺炎は1.5倍、血圧コントロール不良は1.3倍と、健康全般に悪影響が見られた。
・亜鉛が50μg/dLを下回る重度欠乏では、脳出血のリスクが約2.4倍に上昇した。
・この傾向は年齢や性別、持病の有無にかかわらず一貫しており、
統計的に補正しても亜鉛欠乏は独立した脳出血の危険因子として残った。
本研究は、亜鉛欠乏が脳出血の新しいリスク因子である可能性を初めて大規模に示したものである。
血清亜鉛が低いほどリスクが高くなる用量依存の関係も確認され、
亜鉛が血管を守るという生理的な仕組みと整合している、
というおはなし。
感想:
家畜肉やたまにしか食べない特殊食材(かきなど)に頼らずに亜鉛を効率よく摂るメニュー例。↓
主食:発芽玄米ごはんにしらすと黒ごまをのせ、焼きのりを添える
主菜:サバと豆腐の生姜煮(しょうが・醤油・酢を使い、さっと煮る)
汁物:にぼしとわかめの味噌汁(出汁ごと具として食べる)