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2011年8月11日

tDCSには上肢麻痺改善効果はないことが判明


Combined Transcranial Direct Current Stimulation and Robot-Assisted Arm Training in Subacute Stroke Patients: An Exploratory, Randomized Multicenter Trial.
2011   8月  ドイツ



経頭蓋直流電気刺激(tDCS)の上肢麻痺改善効果を検証したそうな。

96人の脳梗塞患者を次の3グループに分けた。

・グループA:病側に陽極を貼る。

・グループB:健常側に陰極を貼る。

・グループC:偽の電極を貼る。



各電極には2ミリアンペアの電流を流し、20分間持続させる。

これを6週間繰り返した。


各グループにはロボット支援の2種類の両腕トレーニングを400回繰り返してもらった。


上肢機能はFugl-Meyerスコアで評価した。



その結果、tDCS前後のスコアは

・グループA:7.8→19.1

・グループB:7.9→18.8

・グループC:8.2→19.2



となり、全てのグループで向上していたが、

各グループ間で、意味のある差はまったく見られなかった。



プラスの電極を付けようがマイナスの電極を付けようが

tDCSには上肢麻痺の機能改善効果はありそうにないことがわかった


というおはなし。







感想:

最近、tDCS関連の論文がとても多く感じる。


その理屈は rTMSとほとんど同じで、


乾電池のプラス極を頭皮の梗塞側に貼ると脳機能が亢進して、

マイナス極を健常側に貼ると脳機能を抑制する というものである。



電子が発見される前の時代であればこれでも多少の説得力もあったとは思う。


(プラス極だから脳機能もプラスになる…  わかり易い。)






だれがどんなことを言っても基本的には自由なのだけれど、


どうしても違和感を持ってしまう原因は、

医師免許を持った人たちがこういう説を唱えている点にある、 と考える。

2011年8月10日

尖足にはFES、人生を変える その効果とは


"Functional electrical stimulation (FES) impacted on important aspects of my life"-A qualitative exploration of chronicstrokepatients' and carers' perceptions of FES in the management of dropped foot.
2011   7月  イギリス


機能的電気刺激(FES)の尖足対策効果を検証してみたそうな。

慢性期脳卒中患者13人についてFESを適用し、

その効果について話しを聞いて分析した。


・皆共通して、『FESが人生を変えた』 と言う。

・具体的には、FESで歩行が楽になった。

・FESで生活動作がしやすくなった。

・FESで気分が楽になった。

・FESは完璧ではないが試す価値がある。



と感じていることがわかった、


というおはなし。







感想:

左の靴先の減りが激しいので尖足には関心がある。



この論文はFES機器メーカーの御用学者さんによるものとは思うけれど、

日本ではこの種の機器をあまり耳にしない。


装具屋さんの力が強いのかもしれない。


わかりやすいFESの尖足対策ビデオ(1分)

直リンク

2011年8月9日

脳卒中で かかりつけ医に電話すると手遅れになる


Family Physician Decisions following Stroke Symptom Onset and Delay Times to Ambulance Call.
2011 8月   オーストラリア




脳卒中患者が病院に遅れる原因は家庭医(かかりつけ医)にあるのではないか、

という仮説を検証してみたそうな。




2004年の6ヶ月間に発生した脳卒中患者198人について

その救急車を呼んだ人に面接を行い当時の状況を記録、分析した。




わかったこと、


・発症後まず救急車を呼んだケースは32%、家庭医に電話が22%、知人に相談が37%だった。

・過去に脳卒中やTIAの経験のある患者は家庭医には電話しない傾向があった。

・症状の重い場合に真っ先に家庭医に電話する者はいなかった。

・家庭医に電話したケースでは救急車に乗るまでの時間が著しく長かった。

・電話を受けた家庭医の36%は患者の診察、検査を始めた。

・電話を受けた家庭医が電話口で症状を聞いてすぐに救急車を呼ぶようにアドバイスする例もあった。





脳卒中の症状が出たときにかかりつけ医に連絡すると

『診察するから来てくれ』 とか 『これから往診にいくから』、

『まずは検査してみましょうね』 などと言いだし、

往々にして治療までの時間が著しく遅れることがある。



さっさと救急車を呼ぶように 家庭医を啓発する必要がある、


というおはなし。


写真:かかりつけ医

2011年8月8日

片麻痺はスクワットでバレる


Control of fast squatting movements after stroke.
2011 8月  カナダ



脳卒中後の運動機能低下が

姿勢や四肢動作に与える影響を調べてみたそうな。


片麻痺の残る17人の脳卒中経験者と

同年齢の健常人(17人)について

スクワットの動作を膝や足首、各種筋肉、姿勢などについて

詳細に記録、比較した。




その結果、

・片麻痺があるとスクワット動作が非対称になり、その速さ、機敏さが低下した。

・両膝の動作タイミングが合わず姿勢が乱れ、重心位置のゆらぎが起きていた。

・回復程度の低い人は麻痺していない方の足に代償的に頼り、

・回復の良い人は麻痺足もそれなりに使って動作の対称性を保とうとしていた。





スクワット動作を調べることで筋肉と姿勢コントロールの

評価が出来ることがわかった、


というおはなし。






感想:

自分もよくスクワットをするのでよくわかる。


左右の足がシンクロしないので

走ったりジャンプしたりはもっと苦手。



和式はかなりハード
写真:スクワット

2011年8月7日

脳梗塞入院時のヘモグロビンエーワンシー8.4以上はかなりヤバイ


Prestroke Glycemic Control Is Associated With the Functional Outcome in Acute Ischemic Stroke: The Fukuoka Stroke Registry.
2011 8月  日本



脳梗塞入院時の血糖コントロール具合と回復の見通しとの関連について調べたそうな。


福岡の急性期脳梗塞患者3627人について

その血糖コントロール指標であるヘモグロビンA1cHbA1c)を測定し、

・6.2未満:優良
・6.2-6.8:良
・6.9-8.3:可
・8.4以上:悪い



としてグループ分けし、その後の回復具合を評価した。


その結果、入院時のHbA1cが8.4%以上あった "悪い"グループの患者の多くは

病状が更に悪化し、死に至るか まったく自立できなかった。


入院時のHbA1cの値は回復の見通しを得る上で重要な指標になることがわかった、


というおはなし。




感想:

調べてみるとHbA1cの基準が近々新しくなるようで、

0.4くらい数値がズレるらしい。



この論文がどっちの基準を採用しているのかわからないけど、

気分的に8.0超えたらマズイと思う。

2011年8月6日

緑茶を飲むだけの楽な脳梗塞予防法


Green tea consumption, abdominal obesity as related factors of lacunar infarction in korean women.
2011 8月  韓国




緑茶、肥満と女性のラクナ脳梗塞との関連について調べてみたそうな。


233人のラクナ脳梗塞の女性患者に面談を行い、

食習慣、喫煙、アルコール、病歴、生活習慣などを

聞き出し、健常な人204人の結果と比較分析した。



その結果、

緑茶を飲まない肥満女性に比べ

緑茶を飲む肥満でない女性はラクナ脳梗塞になりにくい傾向が見られた。



しかし年齢や食習慣も考慮に入れると

この傾向は必ずしも顕著ではないので

さらなる研究が必要であろう、


というおはなし。





緑茶の成分と効果・効能 by ITO EN

2011年8月5日

脳梗塞後の慢性疲労は自殺のサイン


Is fatigue associated with suicidality in stroke?
2011 8月   中国



脳卒中後の慢性疲労と自殺傾向との関連について調べたそうな。



急性期脳梗塞患者595人について、

発症3ヶ月時点での心理状態を検査して自殺傾向を評価した。

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