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2011年8月27日

脳卒中患者の4割は慢性疲労を経験する


Fatigue among stroke patients on long-term follow-up. The Bergen Stroke Study.
2011  8月  ノルウェー



脳卒中後慢性疲労(PSF)と死亡率との関連について調べたそうな。



2006から2年間に入院した患者にアンケート調査を行い、

その疲労度を分析した。


・返答のあった377人の患者のうち、42.3%がPSFだった。

・PSFの有無は心筋梗塞、糖尿、疼痛、睡眠障害などとの関連が見られた。

・TIA患者の疲労度は脳梗塞患者のそれよりも低かった。

・PSFがあると死亡率が高いことがわかった、




というおはなし。



2011年8月26日

たとえ悪玉コレステロールでも 低すぎると脳出血のもと


Cholesterol Levels and Risk of Hemorrhagic Transformation after Acute Ischemic Stroke.
2011  8月  イタリア


コレステロールと脳出血との間には関連があると言われている。



そこで、その関連性をしらべてみたそうな。



240人の血栓溶解療法を受けていない脳梗塞患者240人について、

入院時の総コレステロール、LDLコレステロールの値を記録、分析した。




その結果、

総コレステロールおよびLDLコレステロールの値が低い患者ほど

脳出血を併発する危険性が著しく高まる
ことが判明した。



コレステロールはとても大切



というおはなし。






感想:

集中治療室で、血液検査の結果を見た医者に

『コレステロールが低すぎる。ご飯食べてないんだろ!』

と叱られた思い出。

2011年8月25日

半側空間無視の治療→ 左手運動療法


Rehabilitation of unilateral neglect in the acute recovery stage: The efficacy of limb activation therapy.
2011  7月  イギリス



半側空間無視の治療法として左手運動療法というのがあって、


損傷した右脳と反対側の手(左手)をひたすら意識的に動かすことで

半側空間無視の症状が大きく緩和されるそうな。



空間無視にもいろいろなレベルがあって

この左手運動療法で解決できる範囲も

限られてはいるけれども  将来有望そう、  



というおはなし。







感想:

自分はいまも左半身の皮膚感覚が非常に鈍く、

風呂の温度もほとんど感じない。


おかげで、左側の現実感が乏しく

左方への注意がおろそかになりがちである。



今日も車を車庫から出す際に左から来た車に

気付かずに少々冷や汗をかいた。



こんなとき、意識して左手を動かすなどして

左方への注意を喚起しようとする行為は、


意識していないかも知れない自分を意識するという

非常に高度な認知能力に依っている、 と考える。


メタ認知

2011年8月24日

睡眠呼吸障害:CPAP vs 経鼻吹送法


Effect of transnasal insufflation on sleep disordered breathing in acute stroke: a preliminary study.
2011  8月  スイス



睡眠呼吸障害は急性期脳卒中患者によくみられ、

予後の悪化につながる。


対策として鼻にマスクをかぶせて空気を送り込む装置

シーパップ(CPAP)があるが、運用がむつかしい。



そこで鼻に管を通して直接気道に空気を送り込む

経鼻吹送法(TNI)の効果を調べたそうな。



睡眠呼吸障害の重い患者10人についてTNIを施行した。




結果、

ほとんどの患者でTNIによる睡眠呼吸障害の改善が見られた。

しかしその効果はCPAPのそれと大差無いため、

CPAPに置き換わるものではないことがわかった、


というおはなし。

2011年8月23日

DHAで脳がよみがえる  - 脳梗塞・リハビリ革命 -


Accumulation of Dietary Docosahexaenoic Acid in the Brain Attenuates Acute Immune Response and Development of Postischemic Neuronal Damage.
2011  8月  カナダ
魚を摂ると冠動脈疾患や脳梗塞の予防になると言われている。


そこで、魚の油に含まれる成分、ドコサヘキサエン酸(DHA)の

脳梗塞治療効果を調べてみたそうな。




マウスを

・不飽和脂肪酸のない食事と

・DHAのいっぱい入った食事を摂るグループ

とに分けて、3ヶ月間飼育した。

その後人為的に脳梗塞にし、脳の状態を詳細に調べた。


その結果、
・DHAグループでは梗塞で傷ついた脳組織のグリア化が抑えられ、

・梗塞の大きさが小さくなり、

・組織の壊死を防ぐ分子が増え、

・脳組織の炎症を促す物質が著しく減っていた。

・また、DHA強化食によって脳内の不飽和脂肪酸の構成が大きく変わっていた。


日頃より脳に蓄えてきたDHAによって、

脳梗塞によるダメージから脳組織が保護されることがわかった。


DHAは安全でしかも簡単に入手できるので、

気になる人はDHAサプリメントを摂りましょう、


というおはなし。


写真:DHAで脳梗塞治療

2011年8月22日

デブが脳梗塞に強いは間違い → ヤセが弱すぎるだけ


Body mass index, initial neurological severity and long-term mortality in ischemic stroke.
2011  8月  韓国




肥満は脳梗塞や冠動脈疾患の原因とされている。

一方で、心血管系疾患の予後が

BMI(ボディマス指数:体重/身長2)の高い人ほど良い

という証拠も増えてきている。(→肥満パラドックス




そこで、脳梗塞後の長期的な死亡率とBMIとの関連を調べてみたそうな。




・1592人の脳梗塞患者を4年間追跡調査した。

・この間に23%の患者が死亡した。

・解析の結果、BMIが高いほど発症時の神経症状が軽い傾向が見られた。

・年齢、性別を考慮に入れてもこの傾向は顕著であった。

(体重が軽いほうが症状が重く、肥満で体重が重いほうが症状が軽い)


・しかし、初期症状の軽重も考慮に入れると、

体重が軽い患者で症状が重い、という関係だけが残った。





BMIと脳梗塞症状との逆の相関関係は、

体重の軽い(やせ)患者で顕著
に見られ、


体重が重いと症状が軽いかと言うと

必ずしもそうではなさそうである
ことがわかった、



というおはなし。




写真:ひまん

2011年8月21日

3月の月曜、カラッとした晴天日には脳梗塞に注意


Biometeorological phases influence on stroke morbidity.
2011  8月  セルビア


脳卒中の発生と天候、気温、月、曜日、などとの関連について調べたそうな。



2003-2009に入院した脳卒中患者4700人について

その記録を調査、生物気象学的に解析した。



その結果、

・脳卒中が一番多い月は3月で、2月が一番少なかった。

・週のうちでは月曜日が一番多く、日曜日が最も少なかった。

・6割の患者は市街地に住んでいた。

・男女の割合はほぼ同じだった。

・そのうち約80%が70歳以上だった。

・平均入院日数は12日間だった。

・患者の88%は脳梗塞、9%が脳出血、3%がくも膜下出血だった。

・41%が高血圧、19%が心不全、15%が糖尿持ちだった。

晴れて天気の良い暖かく湿度の低い日

寒冷前線の通過に伴い突然天候が変わる霧で曇りがちな日に起きやすい。


ことがわかった、  

というおはなし。





感想:
Biometeorology:生物気象学っていう分野があって、
気象と生物との関係を学問するらしい。


で、気象状況を表現するために
こんな分類をしている。(メモ)

biometeorological phases
phase 1 CWD: cyclone, warm, dry;
phase 2 CWW: cyclone, warm, wet;
phase 3 CWF: cyclone, warm front;
phase 4 CCF: cyclone cold front; →低気圧、寒冷前線
phase 5 CCW: cyclone, cold, wet;
phase 6 CCD: cyclone, cold, dry;
phase 7 ACD: anticyclone, cold, dry;
phase 8 ACW: anticyclone, cold, wet;
phase 9 AWD: anticyclone, warm, dry; →高気圧、温暖、乾燥
phase 10 AWW: anticyclone, warm, wet



フェーズ9と4で脳卒中が多いとのこと。

おもしろそう。

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