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2022年10月23日

突然死を含む くも膜下出血の致命率

2022  10月  フィンランド


くも膜下出血の致命率は近年 低下する傾向にあると考えられているが、突然死をふくむ長期かつ全国規模の報告はかぎられている。

そこで、1998-2017年のフィンランドでの動脈瘤破裂によるくも膜下出血の致命率をくわしくしらべてみたそうな。



入院まえに突然死したくも膜下出血患者を推定するために2種類の全国規模のデータベースを使用した。

さらに入院後30日間での致命率も求めた。



次のようになった。

・この間に9443例のくも膜下出血があった。

・そのうち2245例23.8%は入院前に突然死していて、これも含めると30日以内の死亡数は3715例で致命率39.3%だった。

・突然死せず入院できた患者は7198例で、彼らの30日内死亡は1470例で致命率20.4%だった。

・この期間中に全体的な致命率は年間1.8%の低下を示した。

・とくに中高年女性の突然死と若年入院女性の致命率の低下が著しかった。

・高齢男性の致命率は変わらなかった。


くも膜下出血の30日致命率は、突然死を含めると39%、入院できた患者に限ると20%だった。過去20年間の致命率は、少なくとも女性では低下しているようだった、


というおはなし。
突然死の図


感想:

突然死を含むか否かで致命率は倍ちがうんだな。


似たような解釈トリックはまだあって、

たとえば脳ドックで未破裂のコブがみつかったとき、「このコブが破裂すると3割近くが即死します」とおどされる。けどこれはまちがい。

ただしくは「くも膜下出血と診断された3割近くが即死します」である。


患者のほとんどを占める軽いくも膜下出血では症状が頭痛しかない。

脳梗塞や脳内出血のように片側がしびれたりはしないから彼らは大事ととらえず病院にゆかないので、患者としてカウントされていない。

重症中の重症な患者だけが病院に運び込まれてくるため致命率が非常に高くみえる。

診断されていない潜在的な患者は一桁くらいおおくいるはず↓だから、「コブが破れたときの致命率」はせいぜい数%とおもう。

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