元2022 9月 カザフスタン
くも膜下出血の85%は動脈瘤の破裂によると考えられていて、脳動脈瘤は一般人口の3.2%にあると推定される。
動脈瘤破裂の危険因子として、年齢 性別 高血圧 喫煙 瘤のサイズ 部位 民族などが挙げられている。
カザフスタンでの脳動脈瘤破裂の危険因子について、くわしくしらべてみたそうな。
2008-2018年の脳動脈瘤患者762人の記録を解析した。
次のことがわかった。
・患者の平均年齢は49歳で、68%の瘤は破裂していた。・破裂した瘤の44%は6mm未満で、38%は前大脳動脈や前交通動脈に位置していた。・破裂の危険因子は、若年(16-40歳)、喫煙、収縮期血圧140mmHg以上、瘤が小さい、前大脳動脈に位置する、が挙げられた。
若年で喫煙習慣のある高血圧患者は動脈瘤が破裂するリスクが高く、とくに前大脳動脈の瘤は小さいほど破裂しやすかった、
というおはなし。
感想:
上の表、25mm以上のジャイアント瘤では6mm未満の瘤の破裂リスクの0.22倍と書いてある。
瘤がおおきいことは、安定している証拠。だから破裂しない。
瘤はちいさければ小さいほど破裂しやすいとする上記の事実を突き詰めると、出血はもっぱら普通の形状の血管が裂けて起きていることになる。
しかし出血した人に瘤がみつかりやすいことから、瘤は血管の脆さを示すマーカーにすぎないとわかる。
つまり瘤をターゲットにした治療は的外れである。
なるほど、クリップやコイルで治療しても再出血率がまったく変わらないことやワイドネック瘤のほうがくも膜下出血が起きやすいことにもなっとくがゆく。