元2024 9月 中国
動脈瘤性くも膜下出血(aSAH)は命に関わる深刻な病態であり、その原因には遺伝的要因と生活習慣が関与することが知られている。
特に、喫煙と飲酒は重要なリスク因子として挙げられるが、これらの因果関係は観察研究における交絡因子の影響や逆因果により曖昧なままだった。
そこで、喫煙や飲酒がaSAHリスクと因果関係にあるかどうかをくわしくしらべてみたそうな。
メンデルランダム化解析(Mendelian Randomization, MR)を用いて、喫煙と飲酒がaSAHに及ぼす因果的影響を検討した。
MR解析では遺伝的多型(SNP)を用いて、観察研究で見られる交絡因子を排除し、因果関係を推定する。具体的には、喫煙や飲酒に関連する遺伝子変異を「自然の無作為化試験」として活用し、aSAH発症との関連を解析する。
データは、喫煙や飲酒に関連する遺伝情報を含む大規模なゲノムワイド関連研究(GWAS)から取得された。また、解析には「逆分散加重法(IVW)」を用いて統計的な精度を高めた。
次のようになった。
・遺伝的に喫煙傾向が強い人では、非喫煙傾向の人に比べてaSAHリスクが約2倍(96%増加)となることが示された(オッズ比:1.96、信頼区間:1.28–3.01、p = 0.0021)。・一方、遺伝的に予測される飲酒については有意な関連は確認されなかった(オッズ比:1.22、信頼区間:0.61–2.45、p = 0.578)。
喫煙がaSAHの発症リスクを顕著に増加させる因果的リスク因子であることを示し、禁煙が予防策として重要であることを再確認した。一方、飲酒については現時点で因果関係を示す証拠は得られなかった、
というおはなし。
感想:
喫煙はくも膜下出血の危険因子といわれてきたけど、これで因果関係もあきらかになったってこと。
