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喫煙がさまざまな健康リスクを引き起こすことはよく知られているが、未破裂脳動脈瘤に対する影響についてはあまり議論されていない。
未破裂脳動脈瘤とは、まだ破裂していない状態の脳動脈の瘤のことであり、破裂すれば命に関わるくも膜下出血を引き起こすリスクがある。
そこで、喫煙が未破裂脳動脈瘤の成長に与える影響を、喫煙者と非喫煙者の間でくわしくしらべてみたそうな。
複数の観察研究からデータを集めたメタアナリシスを行った。対象となったのは18の研究であり、合計で3535人の患者と4289個の未破裂脳動脈瘤を対象とした。これらの患者の平均年齢は38.4歳から73.9歳の範囲で、74%が女性であった。
喫煙に関するデータは「かつて喫煙していたことがある人(Ever-smokers)」と「現在も喫煙している人(Current smokers)」に分類し、これらのグループと未破裂脳動脈瘤の成長との関連性を分析した。
次のことがわかった。
・かつて喫煙していたことがある人と、現在も喫煙している人の両方について、未破裂脳動脈瘤の成長との間に統計的に有意な関連性は見られなかった。具体的には、以下のような結果が示された。
・かつて喫煙していたことがある人(Ever-smokers)と、未破裂脳動脈瘤の成長リスクには明確な関連は認められなかった(オッズ比 1.10 [95% CI, 0.87–1.38])。
・現在も喫煙している人(Current smokers)においても、成長リスクとの間に有意な関連性は見られなかった(オッズ比 1.43 [95% CI, 0.84–2.43])。
・現在喫煙している人と全く喫煙したことがない人の比較においても、成長リスクには統計的に有意な違いが認められなかった(オッズ比 1.18 [95% CI, 0.72–1.93])。
喫煙が未破裂脳動脈瘤の成長に対して統計的に有意な影響を与えないことがわかった。しかし、これで「喫煙が安全である」というわけではない。喫煙は依然として、脳動脈瘤の破裂リスクを高める危険因子である。未破裂脳動脈瘤が成長しないからといって破裂の危険がないとは限らない、
というおはなし。
感想:
瘤が確認されるってことは「安定」している証拠。だからまず破裂しない。
なぜならくも膜下出血は瘤ができる間もなく動脈が裂けて出血するから。
そういうひとは瘤もできやすいので出血位置の近辺に瘤がみつかることがおおい。
出血位置の近所の瘤をあたかも破裂したものと勘違いしているだけ。
うたがわしいだけでは、瘤が破裂していることにはならない。
いちおう出血との因果関係はあるっぽい。