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2018年6月21日

失語症の早期リハビリ まったく効果ない


Efficacy of early cognitive-linguistic treatment for aphasia due to stroke: A randomised controlled trial (Rotterdam Aphasia Therapy Study-3)
2017  6月  オランダ

脳卒中のあとおよそ3分の1の患者は なんらかの失語症状を経験する。

失語症には言語聴覚療法が有効とされているが、それを開始するべきタイミングについては実はよくわかっていないうえに、これまでの研究では相反する結果が示されている。

そこで、早期の言語聴覚療法の効果を大規模にしらべてみたそうな。


脳卒中から2週間以内で失語症の患者152人を言語聴覚療法グループとなにもしないグループにわけた。

言語聴覚療法では特に発症初期の患者に有効とされる認知言語治療 "cognitive-linguistic treatment" を1日1時間x4週間おこなった。

3ヶ月後、6ヶ月後まで言語能力テスト(Amsterdam-Nijmegen Everyday Language Test)をフォローし 比較したところ、


次のようになった。

・いずれのタイミングでも両グループ間で言語能力スコアのあきらかな差はなかった。

発症から2週間以内に開始した4週間の集中的言語聴覚療法には、なんの効果もみられなかった。失語症の早期リハビリをする理由はないであろう、


というおはなし。
図:失語症の早期リハビリの効果

感想:

最初の3ヶ月間くらいは美味いものたべて映画でもみながらゆっくりするべきなんだよ。リハビリなんかしないで。

2018年6月20日

脳内出血やった子供の2年後


Neurologic Outcome Predictors in Pediatric Intracerebral Hemorrhage
2018  6月  アメリカ

子供の脳卒中のおよそ半数は出血タイプである。しかし脳内出血の予後の特徴についてはよくわかっていないのでくわしくしらべてみたそうな。


2007-2015、3施設で発症年齢が29日-18歳までの脳内出血患者について
2年後の神経学的予後 Pediatric Stroke Outcome Measure(PSOM)スコアを調べ関連要因を解析したところ、


次のことがわかった。

・患者69人が対象となり、年齢中央値は9.7歳で 6人は死亡した。

・2年後、3分の1以上が重い障害をかかえていた。

・PSOMのトータルスコアは時とともに改善したが主に感覚運動スコアの改善によるもので、言語や認知機能の改善は小さかった。

・血腫体積が全脳の4%以上のとき2年後の回復が不良だった。

脳内出血を経験した2年後、3分の1の子供が重い障害をもっていた。この間の回復はおもに感覚運動機能で、血腫体積が全脳の4%以上のとき回復不良になりがちだった、


というおはなし。
図:小児脳内出血の2年後

感想:

これ↓わたしの脳動画、ぜんぶで1655ccある。4%だとこの場合 16.55x4=66cc、 出血量はその半分だったよ。

2018年6月19日

nature.com:手が動くために必要な脳の低周波活動とは


Low-frequency cortical activity is a neuromodulatory target that tracks recovery after stroke
2018  6月  アメリカ

さいきんの研究でリーチング動作の直前に運動野に数ヘルツの低周波活動が生じることがわかっていて運動の精度と関連があると考えられている。

この低周波活動が脳卒中で手が麻痺した患者でどのようになっているか、動物と人間で測定してみたそうな。


まず、前足でエサをとる訓練をしたネズミを脳卒中にして 皮質に貼った電極から損傷部位周辺の低周波活動を測定した。

次に、てんかん治療中で脳卒中も併発し手が麻痺した人間患者について、同様の低周波活動の有無を観測した。


次のことがわかった。

・健常なネズミでは リーチング動作の直前に低周波活動が確認できた。

・脳卒中ネズミではリーチング動作に際しての低周波活動が消失していた。

・低周波活動の回復と 前足の運動機能回復がつよく相関していた。

・人間患者についても 脳卒中で上肢麻痺のある場合、この低周波活動があきらかに低下していて、これはEEGでもデルタ波の変化として確認できた。

・さらに脳卒中ネズミのリーチングのタイミングに、運動野へ弱い低周波電気刺激を与えたところ 運動精度が60%向上した。

ひとの運動野を適切なタイミングで電気刺激できる装置ができれば脳卒中患者の運動機能の回復に役立つにちがいない、、


というおはなし。
図:脳卒中患者の皮質 低周波活動

感想:

低周波のオンラインrTMSならこれに近いことができるとおもう。
健常側の運動野のはたらきと時期

2018年6月18日

nature.com:上肢麻痺を改善する電気刺激のやりかた


Effects of 8-week sensory electrical stimulation combined with motor training on EEG-EMG coherence and motor function in individuals with stroke
2018  6月  台湾

脳卒中患者の上肢麻痺を改善できる有効な方法はほとんどない。

しかしさいきんの研究で末梢神経への電気刺激により麻痺上肢に対応する運動皮質の活動性が高まることが確認されている。

そこで抹消神経の電気刺激による上肢運動機能への長期的影響をしらべてみたそうな。


慢性期脳卒中で上肢麻痺の患者12人について電気刺激グループと偽刺激グループにわけた。

電気刺激は麻痺手の肘の内側に正中神経に沿って電極を貼り、100ヘルツの電気刺激パルスを20秒間隔でオン・オフを40分間繰り返した。

この直後に20分間の上肢運動訓練を行った。

これを週2回x8週間継続した。

さらに4週間後まで運動機能をフォローした。


次のようになった。

・電気刺激グループの脳波筋電コヒーレンスは偽刺激にくらべあきらかに高く、

・上肢運動機能(FMA)も電気刺激グループでのみその改善効果が得られ 4週間後まで継続した。

訓練まえの末梢神経電気刺激は慢性期脳卒中患者の上肢麻痺の改善に期待できる、


というおはなし。
図:末梢神経電気刺激による上肢機能改善効果


感想:

低周波治療器がそのままつかえそう。

おなじ研究チームによる2016の報告↓が参考になる。
脳の可塑性を促す腕の電気刺激方法

2018年6月17日

【日本男児限定】 脳内出血にならない朝食の条件とは


Dietary Intake of Energy and Nutrients from Breakfast and Risk of Stroke in The Japanese Population: The Circulatory Risk in Communities Study (CIRCS)
2018  6月  日本

これまで朝食と脳卒中との関連を長期に調べた研究は存在しないのでやってみたそうな。


40-59歳で秋田、大阪、高知、茨城の健康な住民3248人の食事調査をして、脳卒中の発生を25年間フォローしたところ、


次のようになった。

・230人が脳卒中になった。

・朝食を摂らない人にくらべて、しっかりと朝食を摂っているひとの脳内出血リスクは男性で0.38倍、女性は1.36倍だった。

・とくに朝食で飽和脂肪や一価不飽和脂肪をおおく摂る男性で脳内出血リスクが低かった。

飽和脂肪や一価不飽和脂肪をおおく含む朝食を毎日しっかりと摂っている日本人男性の脳内出血リスクはあきらかに低かった、


というおはなし。
図:朝食

感想:

一価不飽和脂肪はオリーブ油やアボカドに豊富。1日の量ではなくて朝食に摂ることがポイントなんだって。

さいきん朝食によく、バターを混ぜたご飯にオリーブ油をかけた納豆をのせて食べる。
続けよう。

2018年6月16日

リハビリ病院でセックスの話題がでない理由


Healthcare Professionals' and Patients' Views of Discussing Sexual Well-being Poststroke
2018  5月  アイルランド

脳卒中を経験すると性的ウェルビーイング(健康 満足度)に問題をかかえることがおおい。

しかしリハビリの現場でこの種の問題があつかわれることはすくなく患者が不満に感じているという報告がすくなくない。

その理由をしらべるべく、患者と医療関係者との会談をもうけてみたそうな。


脳卒中経験者50人に性的ウェルビーイングについてのアンケートをとり、
これとは別に脳卒中病棟の医療関係者6人と患者6人を1時間ほど話し合わせて内容を分析したところ、


次のことがわかった。

・アンケートによると性的テーマについて医療関係者と話し合ったことのある脳卒中経験者は1人もいなかった。

・脳卒中経験者はリハビリの場で性的ウェルビーイングの問題をとりあげてほしいと考えていたが、医療関係者は身体機能と医療行為にしか関心がないように感じられた。

・おおくの医療関係者が患者と性的テーマについて話し合うことを意識的に避けていた。個人的に恥ずかしい感情と専門家として必要な知識を持ち合わせていないことが主な理由だった。

・性的ウェルビーイングの問題を公式にみとめて情報提供用の資料を手渡すだけでも状況は改善すると考えられた。

ニーズにかかわらず医療関係者は脳卒中患者の性的ウェルビーイングの相談にのるために必要な訓練はおろか知識すらまったく持ち合わせていなかった、


というおはなし。
図:セクシャルウェルビーイング質問結果

感想:

相談したくないなぁ、、、担当のOTが芸っぽかったんだ。

2018年6月15日

食事コレステロールがおおいひとの脳卒中リスク


Dietary cholesterol intake and stroke risk: a meta-analysis
2018  5月  中国

食事から摂るコレステロールと脳卒中との関連について 過去20年おおくの研究がおこなわれてきたが、コレステロール摂取量の推定がグラムであったり食事回数、相対比であったりとまちまちであった。

そこでこれまでの研究をまとめてメタアナリシスしてみたそうな。


信頼性の高い研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者269777人と脳卒中4604件を含む7つの研究がみつかった。うち3つは日本の研究だった。

・コレステロールを1日300mg以上摂ることの 摂取量がもっとも少ないグループに対する脳卒中リスクは0.98で、

・60歳以上の女性に限定しても1.18だった。

食事からのコレステロールを多く摂っても脳卒中リスクとの関連はなかった、


というおはなし。

図:コレステロールと脳卒中 メタアナリシス

感想:

300mgって玉子1個半程度。上限はなくなったので この5倍くらいの量での調査を期待。

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