2026年10月21日

血栓回収を増やしても脳梗塞死は減らない?――欧州39カ国が突きつけた不都合な結果

元
2026  10月  ドイツ


脳梗塞に対する血栓回収術(EVT)は、重症患者の障害を軽減する治療法として普及が進んでいる。

しかし、血栓回収術が盛んに行われている国が、実際に脳梗塞による死亡が少ないかはわかっていない。

血栓回収術を実施するには、救急搬送、画像診断、専門医の配置、脳卒中専門病棟など、整備された医療体制が必要である。

そこで、血栓回収術の実施件数が、その国の脳卒中医療体制の充実度を示す指標として利用できるかどうかをくわしくしらべてみたそうな。



欧州および周辺の39カ国を対象に、2016年、2019年、2020年のデータを分析した。
各国の人口10万人あたりの血栓回収術の年間実施件数と、世界疾病負担研究(GBD)による脳梗塞の死亡・発症比(MIR)との関係を調べた。
MIRは、人口あたりの脳梗塞死亡率を発症率で割った指標であり、実際の患者を追跡して求めた致死率ではない。

分析では、次の2つを区別した。
① 国同士の比較:血栓回収術の多い国ほど、脳梗塞の死亡・発症比が低いか。
② 同じ国内の経年比較:血栓回収術の実施件数が増えると、死亡・発症比も低下するか。
さらに、社会経済的発展度、高齢者人口の割合、医療費、医療サービスの普及度などの影響を考慮した。
2023年のデータが得られた27カ国についても補足的な分析を行った。



次のようになった。

① 国同士の比較では、血栓回収術の実施件数が多い国ほど、脳梗塞の死亡・発症比が有意に低かった(標準化回帰係数β=−0.42、p=0.027)。

② ところが、同じ国内で血栓回収術の実施件数が増えても、死亡・発症比が低下するという関連は確認できなかった(β=+0.10、p=0.24)。

③ さらに、国民1人あたりの医療費と医療サービスの普及度を考慮すると、国同士で認められた関連は弱まり、統計学的有意性を失った(β=−0.28、p=0.051)。

④ 血栓溶解療法の実施率、CT装置の普及度、脳卒中専門病棟の密度については、死亡・発症比との有意な関連が認められなかった。一方、医療費や医療サービスの普及度は、死亡・発症比の低さと関連していた。

・また、血栓回収術の実施件数と、脳梗塞後の障害を抱えて生存する期間を示す指標(YLD)との間にも、有意な関連は認められなかった。


血栓回収術の実施件数が多い国ほど、脳梗塞の死亡・発症比が低いという関連が認められた。
しかし、同じ国内で血栓回収術を増やすことが、死亡・発症比の改善につながるという証拠は得られなかった。
国同士の関連についても、医療資源の豊富さなどによる影響を十分に区別できなかった。
したがって、血栓回収術の実施件数は、国同士の脳卒中医療体制を比較するための候補指標にはなるものの、医療の質の改善を評価する指標にはならない、


というおはなし。

血栓回収と死亡率



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感想:

『血管内治療による血栓回収って、ほっといても勝手に良くなりそうな若くて側副つよい患者を選んでかつ、脳出血の影響を無視して得られた成果を仲間内で褒めあって成立しているいわばインチキ治療でしょ。その証拠に血管内治療医のツイッターを見ると過大な成果と害の過小評価ばかり(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30219792)なわけ。そんなものが国全体の死亡率低下に寄与できるわけがないとおもうの。むしろ悪くなっているって報告(https://doi.org/10.1016/j.amjms.2025.06.005)もある。言い過ぎか?』



以下、医師国家試験正答率98%AIの次の進化版GPT-6の回答コピペ↓



血栓回収術は、本当にそれほど素晴らしい治療なのだろうか。

まず疑問なのは患者の選び方である。

血栓回収術の臨床試験では、画像診断によって救済可能な脳組織が残っている患者などが選ばれてきた。側副血行が良好で、血流が再開すれば回復する余地の大きい患者である。

こうした患者は、血栓回収をしなくても比較的良好な回復を示す可能性がある。

ただし、ランダム化比較試験(RCT)では、選ばれた患者を血栓回収群と通常治療群に無作為に分けている。したがって、患者選択だけで両群の成績差を説明することはできない。実際、主要な大血管閉塞のRCTでは、90日後の機能的転帰の改善が認められている。

問題は、その成果をどこまで一般化できるかである。

2019年のJournal of NeuroInterventional Surgery誌には、血管内治療医がTwitterで紹介した血栓回収症例を検証した研究が掲載された。

Twitter上の症例では、ほぼ完全な再灌流率が94%、神経症状がほぼ消失した割合が81%だった。一方、比較対象となったHERMES試験のデータでは、それぞれ71%、21%だった。

さらに、Twitter上では症候性脳出血も死亡も報告されていなかった。HERMESでは症候性脳出血4.4%、死亡15.3%である。

もちろん、Twitterに報告がないからといって、本当に合併症がゼロだったわけではない。

研究者ら自身が、成功例ばかりを紹介する強い出版バイアスの存在を指摘している。

つまり、血栓回収術の成果がSNS上で著しく美化されていたことは、実際に研究で示されているのである。

さらに2025年、米国の大規模入院データを用いた研究では、患者背景を傾向スコアマッチングで調整した比較において、血栓回収群の院内死亡率は10.4%、非実施群は5.6%だった。

脳内出血も18.58%対9.82%と、血栓回収群で多かった。

観察研究であるため、重症度などの交絡を完全に除去できたとは限らず、血栓回収術が死亡や出血を増やしたと断定することはできない。

それでも、実際の医療現場では、RCTから期待されるような好ましい結果ばかりが得られているわけではないことを示している。

そして今回の欧州39カ国の研究である。

血栓回収術の実施件数が多い国ほど脳梗塞の死亡・発症比は低かったが、同じ国で実施件数が増えても死亡・発症比の改善は確認できなかった。

医療費や医療サービスの普及度を考慮すると、国同士の関連も統計学的有意性を失った。

これは血栓回収術が無効であることの証明ではない。しかし、血栓回収術の普及が国全体の脳梗塞死亡を減らしているという主張を、この研究は裏付けなかった。

血管が再開通したこと、患者の機能的転帰が改善したこと、国全体の脳卒中死亡が減ったことは、それぞれ別の話である。

血栓回収術には、適切に選ばれた患者で機能的転帰を改善するRCTの証拠がある。一方、その効果を対象外の患者にまで拡大してよいとは限らない。

成功例ばかりを強調し、脳出血などの害を過小評価しながら適応拡大を進めるのであれば、そこには厳しい検証が必要である。

「血栓が取れた」という技術的成功と、「患者にとって本当に利益があった」という臨床的成功を混同してはならない。

【参考文献】

1. Dmytriw AA, et al. #Fake news: a systematic review of mechanical thrombectomy results among neurointerventional stroke surgeons on Twitter. Journal of NeuroInterventional Surgery. 2019.

2. Bahar AR, et al. Endovascular therapy in acute ischemic stroke: A six-year national assessment of utilization and outcomes. The American Journal of the Medical Sciences. 2025.

3. Gunzer F, et al. Endovascular thrombectomy activity as a candidate marker of organised acute stroke-service capacity: a global burden of disease-based European panel study. European Stroke Journal. 2026.



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