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2016年7月21日

脳梗塞後の一人暮らし 早く亡くなるのは女か男か


Living alone predicts mortality in patients with ischemic stroke before 70 years of age: a long-term prospective follow-up study.
2016  5月  スウェーデン

一人暮らしは心筋梗塞後の死亡率の上昇を招くことがわかっている。脳卒中ではどうか さらに男女での違いについて 調べてみたそうな。


平均年齢57、600人の脳梗塞患者と健常者600人について9年ほどフォローしたところ、


次のことがわかった。

・28%が一人暮らしだった。

・患者の一人暮らし死亡率は36%  同居人ありだと17%で、

・健常者ではそれぞれ 15%、9%だった。

・この関連は男性でのみ明らかで、女性では確認できなかった。

一人暮らしだと脳梗塞男性の長期的死亡率がおおきく上昇した、


というおはなし。

図:一人暮らしと脳卒中死亡率

感想:

なぜ女性は一人暮らしに強いのか?
脳卒中の高齢一人暮らしがすぐに死んでしまう理由

2016年7月20日

脳卒中は腸内細菌に影響し うんこ移植で治る


Microbiota Dysbiosis Controls the Neuroinflammatory Response after Stroke
2016  7月  ドイツ

脳が虚血になると免疫システムが刺激される。これには腸内細菌叢が深く関わっているとされ 腸脳相関の働きと考えられる。

そこで、脳虚血と腸内細菌叢、免疫反応についてネズミで実験してみたそうな。


次のことがわかった。

・脳虚血後 ネズミの腸内細菌叢の構成が大きく変わり、消化管の蠕動運動も弱くなった。

・脳梗塞にしたネズミの腸内細菌を移植されたネズミを脳虚血にしたところ、偽移植よりも梗塞が酷かった。

・この時の腸で発生した免疫細胞の移動を追跡したところ、数日かけて脳に到達していた。

・逆に 健康ネズミの腸内細菌を脳梗塞ネズミに移植したところ、脳卒中の症状が改善した。

脳卒中の免疫反応に腸内細菌叢が強く関わっていた。腸内細菌を通じて脳卒中治療ができるかもしれない


というおはなし。

図:脳卒中ネズミのウンコを移植

感想:

うんこパワーをバカにしてはいかんね。
nature.com:糞便移植で脳卒中が治るかも

2016年7月19日

悪玉善玉比 L/Hが低いと脳内出血で死ぬことが明らかに


LDL-C/HDL-C ratio and risk of all-cause mortality in patients with intracerebral hemorrhage.
2016  7月  中国

コレステロールは脳梗塞のリスク要因であるが 少ないと脳内出血を起こしやすくなる。

さいきんではHDLコレステロールが高いと脳内出血が増えそうなこともわかってきた。

そこで LDLとHDLの比であるL/Hと脳内出血患者の予後との関連を調べてみたそうな。


脳内出血患者356人を3ヶ月ほどフォローして死亡者を確認した結果、


次のことがわかった。

・この間に47人が死亡した。

・L/Hは総死亡率に関連があり、低いほど死亡率は高かった。

・L/Hがもっとも高い者にたいする低い者の総死亡率は3.55倍だった。

LDLとHDLの比であるL/Hが低いと脳内出血患者の3ヶ月後の死亡率が明らかに高かった、


というおはなし。

図:コレステロールL/H比と死亡率

感想:

上のグラフ、L/Hが2を切るあたりがヤバいね。

HDL高いと脳内出血が増えるはコレ↓
Cholesterol levels and risk of hemorrhagic stroke: a systematic review and meta-analysis. (2013 Stroke)


追記:(2017)
HDLコレステロールが高いと脳内出血

2016年7月18日

半側空間無視が治るネットワーク的理由


Normalization of network connectivity in hemispatial neglect recovery.
2016  7月  イタリア

半側空間無視は脳卒中患者の20-30%に影響し多く は3ヶ月程度で回復するがそのメカニズムはよくわかっていない。

そこで脳機能ネットワークの結合(Functional Connectivity)と半側空間無視からの回復との関連を経時的に調べてみたそうな。


脳卒中患者77人と31人の健常者について、

安静時fMRIと注意力検査を、発症後2週間、3ヶ月、12ヶ月に行い、関連を解析したところ、

次のことがわかった。

・半側空間無視の患者が25人いた。

・ほとんどの患者で3ヶ月後には半側空間無視が治っていた。

・注意力が回復するにしたがって脳半球間の機能的結合が正常者のそれと同じになった。

機能的結合からみた異常から正常パターンへの変化が半側空間無視の症状の回復によく対応していた


というおはなし。

図:半側空間無視の機能的結合

感想:

解析過程がわけわからなすぎて 結論きいてもすなおになっとくできない。

2016年7月17日

脳梗塞が再発しやすい家族歴の条件とは


Family History and Risk of Recurrent Stroke
2016  7月  韓国

脳梗塞と家族歴についての報告は少なくない。

そこで脳梗塞の「再発」と家族歴との関連を調べてみたそうな。


脳梗塞で入院して7日以内の患者7642人について、両親、兄弟など第一近親者の脳卒中経験を調査し(発症年齢、父方、母方、兄妹、経験者人数など)、

その後の再発をフォローしたところ、


次のことがわかった。

・12.3%に第一近親者の脳卒中経験があった。

・1年ほどのあいだに6.2%が再発した。

・全体としては家族歴と脳卒中再発との関連は見られなかったが、

・脳卒中経験のある近親者を50歳未満に限定した場合、再発率は2.14倍に、

・または 兄妹が脳卒中の場合、再発率は1.67倍になった。

・これらの関連は患者本人が55歳未満の若い場合に顕著だった。

脳卒中患者の近親者で 若くして脳卒中を経験した者や兄妹の脳卒中経験者がいる場合、本人は再発しやすかった、


というおはなし。

図:脳卒中が再発しやすい家族関係

感想:

再発しやすさも遺伝的影響が少なくないってことなんだろな、、

2016年7月16日

糖尿病だとどれくらい脳卒中になりやすいのか


Stroke Risk among Patients with Type 2 Diabetes Mellitus in Zhejiang: A Population-Based Prospective Study in China.
2016  6月  中国

糖尿病患者の脳卒中のなりやすさについてアジア人での研究は多くない。

中国浙江省の住民について大規模に調べてみたそうな。


2型糖尿病患者327268人について2007-2013まで脳卒中の発生を種類別にフォローしたところ、


次のことがわかった。

・この間に8615件の脳卒中があった。

・一般人にくらべ糖尿病患者の脳卒中発症率は明らかに高く、

・女性で3.87倍、男性3.38倍だった。

・これは主に脳梗塞発症率が4倍以上になるためだった。

糖尿病と脳卒中の関連は強く 特に女性で顕著だった。糖尿病患者の脳卒中発症率は一般人の3倍以上で、主に脳梗塞が高かった、


というおはなし。

図:糖尿病と脳卒中 男女

感想:

詳しく触れてないけど 60歳以上に限定すると糖尿病があったほうがくも膜下と脳内出血の発症率は0.7倍ほどに下がってるんだよね、、、

2016年7月15日

脳卒中の失語症を予測するコネクトームマッピングとは


Multivariate Connectome-Based Symptom Mapping in Post-Stroke Patients: Networks Supporting Language and Speech.
2016  6月  アメリカ

言語処理ネットワークは脳にひろくまたがっているため脳損傷の位置を確認しただけではどのような言語障害が現れるのか予想しにくい。

そこで 脳にひろがる領野の接続状態を表す地図 いわゆるコネクトームを作成して実際の患者の状態との関係を調べてみたそうな。


左脳損傷の脳卒中患者90人について脳の解剖情報、壊死した組織、拡散テンソルを表す画像 を撮影し、機械学習アルゴリズムも用いてコネクトームマッピングを行った。

言語機能(流暢さ、理解、反復、命名能力)を調べ対応させたところ、


次のことがわかった。

・コネクトーム画像から得られた失語症状予測は、通常のMRI検査の結果とよく一致していた。

・特に流暢さの点で頭頂領域が重要そうであることがコネクトーム画像でわかった。

コネクトームマッピングが従来の画像診断に相補的な役割を担えるようになるかもしれない、


というおはなし。

図:コネクトームマッピング

感想:

この研究があちこちのニュースサイトで紹介されていたので関心をもった。

拡散テンソルイメージングは白質繊維の間隙にある水分子の動きやすさの方向を可視化したもので 神経シグナルの流れを追ったものではない。
だから解剖をよく知る者にとっては新たに得る情報はほとんどない。もう15年以上まえからあるが 綺麗なグラフィックス以外に役立つところを見たことがない。

しかし同じコネクトものでも安静時fMRIの Functinal Connectivity解析はまったく別で、とても期待している。

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