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2016年11月30日

コイルとクリップ どっちがいいの?くも膜下出血


Coiling is not superior to clipping in patients with high-grade aneurysmal subarachnoid hemorrhage: a systematic review and meta-analysis.
2016  11月  中国

脳動脈瘤破裂のくも膜下出血でクリッピングに代わりコイル塞栓術がひろく行われるようになったがその有効性はいまいち明らかでない。

これまでの研究を特に重症患者について見直してみたそうな。


過去の関連する研究を厳選しデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・3つのランダム化比較試験と16の観察研究がみつかった。

・回復良好率にクリップとコイルで差はなかった。

・コイル塞栓術の死亡率はクリッピングよりも明らかに高かった。

・コイル塞栓術のほうが再出血率や脳梗塞、血管攣縮、水頭症などの合併症リスクが低いというわけではなかった。

重症くも膜下出血患者へのコイル塞栓術はクリッピングよりすぐれているわけではなく、むしろ死亡率が高かった、


というおはなし。
図:コイル vs クリッピング

感想:

幼いわが子のために健康でいなくては、、と考えた母親が脳ドックを受診した。そして未破裂動脈瘤がみつかった。安全だからと勧められコイル塞栓術をうけたところそのまま帰らぬ人となった。(実話)


くも膜下出血で手術しないとどのくらいヤバイのかな とおもってしらべると、、

唯一みつかったのがこれ↓
図:くも膜下出血でクリップしない死亡率
( 1994年 10.1161/01.STR.25.7.1342 )

病状が深刻でない勝手に治りそうな若い患者を積極的にえらんで手柄にしているようにもみえる。

破裂脳動脈瘤の再出血予防治療は本当に必要なのか? ?


追記:
クモ膜下出血で手術をしなかったときの死亡率

2016年11月29日

お酒の量と脳卒中の種類との関係がわかった


Differing association of alcohol consumption with different stroke types: a systematic review and meta-analysis
2016  11月  スウェーデン

適度な飲酒が脳卒中予防になるのか、アルコールと脳卒中の種類との関係について調べてみたそうな。


関連する過去の研究を厳選し データを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・27の研究がみつかり、さらに4555件の脳卒中事例を含むスウェーデンの調査結果を加えた。

・適度な飲酒(1日にワイン1-2杯)で脳梗塞リスクが低下したが、2杯を超えるとリスクは上昇し 4杯より増えるとリスクは1.14倍になった。

・適度な飲酒での脳出血リスクの低下は認められなかった。

・2-4杯の飲酒でも脳出血リスクの明らかな上昇はなかったが、

・4杯を超えると脳内出血で1.67倍、くも膜下出血で1.82倍のリスク上昇があった。

適度な飲酒は脳梗塞リスクの低下につながった。飲酒量が多くなるとすべての脳卒中でリスクは上昇し、特に脳出血が顕著だった、


というおはなし。
図:アルコールと脳卒中の種類

感想:

脳梗塞やったひとは脳出血にもなりやすいんだから酒飲んじゃダメだと思うよ。

2016年11月28日

パラフィンセラピーは痙縮に効く?


Reduction in spasticity in stroke patient with paraffin therapy.
2016  11月  中国

パラフィンセラピーは温熱療法の一種で 溶かした蝋(ろう)に患部を浸す。

脳卒中後の痙縮に効果があるか調べてみたそうな。


上肢痙縮の脳卒中患者52人をパラフィンセラピーとプラセボにグループ分けした。

パラフィンセラピーでは仰向け患者の肩から手を42-45℃の蝋で30分間パックする。

これをほぼ毎日4週間継続し上肢の痙縮度 疼痛 運動機能を評価したところ、

2016年11月27日

帯状疱疹の位置とタイミング脳卒中の種類が判明


Risk of Stroke after Herpes Zoster - Evidence from a German Self-Controlled Case-Series Study.
2016  11月  ドイツ

帯状疱疹は幼少時に感染した水ぼうそうウィルスの再活性化によって生じ、脳梗塞や脳出血につながる血管障害の原因となることがある。

帯状疱疹の位置とおきやすい脳卒中の種類や時期を調べてみたそうな。


ドイツ2000万人を対象とした薬剤疫学研究データベースを使って調査したところ、


次のことがわかった。

・124462人の脳卒中患者のうち5%が帯状疱疹の診断を受けたことがあった。

・帯状疱疹後3ヶ月間の脳卒中リスクは通常の1.3倍 脳梗塞リスクも同じくらいで、

・脳出血リスクは1.5倍だった。

・特に眼部帯状疱疹で脳卒中リスクが高かった。

・脳卒中リスクは帯状疱疹発症後3-4週間でピークになり そのご減少した。

脳卒中リスクの上昇は帯状疱疹後3-4週間がもっとも高かった。とくに眼部帯状疱疹でリスクが高く脳梗塞よりも脳出血が多かった、


というおはなし。

図:帯状疱疹と脳卒中

感想:

帯状疱疹ネタいくつかあったけど やっと詳しいものがでたって感じ。

2016年11月26日

脳卒中後の骨折リスクが明らかに


Risk of fractures after stroke
2016  11月  カナダ

脳卒中はのちの骨密度の低下や転倒と関連が高く、骨折のリスクが高まると考えられている。健常者にくらべ骨折リスクが4倍に達するとの報告もある。

実際のところどうなのかTIAの場合についてもしらべてみたそうな。


2003-2012カナダの脳卒中患者データベースを使って脳卒中から24ヶ月間の骨折関連情報を抽出し関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・3万4000人あまりの患者記録から、骨折率は脳卒中で5.7%、TIAは4.8%、健常者4.1%だった。

・脳卒中経験者の骨折リスクはTIAに比べ1.32倍、健常者の1.47倍だった。

・骨折関連要因は、高齢、女性、中等度の障害、骨粗しょう症などだった。

脳卒中は骨折リスクの増加と関連する。 脳卒中で骨折のリスク要因を有する患者には骨密度検査と骨折予防治療が必要かも、、


というおはなし。

図:脳卒中後の骨折リスク

感想:

ぜんぜんたいしたことないのね。もっと骨折しまくりかとおもってた。

2016年11月25日

前庭電気刺激は半側空間無視にほんとうに効くのか


Effects of repetitive galvanic vestibular stimulation on spatial neglect and verticality perception-a randomised sham-controlled trial.
2016  11月  ドイツ

脳卒中で右脳を損傷すると左方の半側空間無視を示すことがある。さらに垂直方向への感覚も障害をうける。

直流電流による前庭神経への刺激で半側空間無視が改善するという報告があるが 詳しい研究が少ないので検証してみたそうな。


前庭感覚電気刺激:GVS(Galvanic Vestibular Stimulation)は左右の耳の後ろに電極を付け微弱な電流でプラス極側に身体が傾いたと感じる現象を指す。

右脳損傷で半側空間無視の患者24人について、次の3グループに分けた。
*左にマイナス極
*右にマイナス極
*偽刺激

1.5mAの電気刺激を1回20分間x週5回で10-12セッション行ったのち、空間探索能力、視覚垂直位、触覚垂直位の改善度を4週間後までフォローしたところ、


次のことがわかった。

・いずれのグループも無視症状はあまり改善されなかった。

半側空間無視の脳卒中患者に前庭感覚電気刺激のランダム化比較試験を行ったが効果を確認できなかった、


というおはなし。
図:前庭感覚電気刺激と半側空間無視

感想:

16日のためしてガッテンに阪大教授がきてGVSのデモやってた。被験者の反応がおおげさすぎて興ざめ。
空気を読む力が試される実験であると確信した。

これ↓思い出した。
半側空間無視の新治療法、前庭感覚電気刺激を5日間繰り返してみた

前庭感覚電気刺激で半側空間無視をやっつけろ!

2016年11月24日

リハビリは病院と自宅どっちが効果的なの?


Comparison of Two Post-Stroke Rehabilitation Programs: A Follow-Up Study among Primary versus Specialized Health Care.
2016  11月  スペイン

脳卒中患者のリハビリを自宅で行うものと病院外来の場合とでその効果のちがいをくらべてみたそうな。


145人の脳卒中患者を自宅グループと病院外来グループに分けた。

両グループともにリハビリセッションを週に2-3回おこなった。
自宅グループには療法士と医師のチームを派遣し、患者の生活状況を考慮したリハビリを行った。

これ以上の改善はないと医師が判断するか 患者が希望した時点でリハビリを終了した。


次のようになった。

・両グループともに日常生活動作があきらかに改善した。

・平均セッション回数は 21 vs. 29 で自宅グループが少なかったが、

・回復度は自宅グループのほうが優れていた。

自宅ベースの脳卒中リハビリは少なくとも病院外来リハビリと同程度に効果的だった、


というおはなし。

図:自宅リハと外来リハ

感想:

回復の程度は病院固有の設備や器具にはまったく依らないってことなんだな。

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