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2017年2月14日

桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)の脳梗塞治療効果


The neuroprotective effects of Tao-Ren-Cheng-Qi Tang against embolic stroke in rats.
2017  2月  台湾

伝統中国医学と西洋医学のくみあわせは多くの疾患に応用されている。

こんかい、桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)とアスピリンの脳卒中治療効果について実験してみたそうな。


人為的にに脳梗塞にしたネズミについて、
桃核承気湯およびアスピリンの組み合わせごとにグループ分けした。

30日後まで治療をつづけ、梗塞ボリュームなどを評価したところ、


次のことがわかった。
・桃核承気湯のみ またはアスピリンとの組み合わせは、蒸留水グループにくらべ梗塞ボリュームが明らかに小さく神経症状も改善していた。

・同様に、炎症関連タンパク質がはっきりと減少し、

・細胞死関連のタンパク質も減少した。

・活性酸素レベルも低下していた。

桃核承気湯は脳卒中後の炎症や細胞死を抑えることで梗塞を小さくし神経症状を改善した、



というおはなし。
図:

感想:

アスピリンはほとんど効果なかったようだ。
ツムラ漢方桃核承気湯エキス顆粒(12日分 2500円)

2017年2月13日

脳梗塞の発生率が低下している理由


Declining Incidence of Ischemic Stroke
What Is the Impact of Changing Risk Factors? The Tromsø Study 1995 to 2012
2017  2月  ノルウェー

この数十年で脳梗塞の発生率が低下している。なにが理由で低下しているのかしらべてみたそうな。


ノルウェー・トロムソの住民26329人を対象とした1995-2012の調査記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・この間に1226人の脳梗塞があった。

・心血管リスク要因の変化が脳梗塞発生率の低下の57%に影響していた。

・とくに収縮期血圧の平均値と喫煙率の低下がもっとも関連していた。

・いっぽう糖尿病率の増加は脳梗塞発生率の低下傾向を相殺していた。

近年の脳梗塞発生率の低下は おもに収縮期血圧と喫煙率の低下によるもの と考えられた、


というおはなし。
図:脳梗塞の発生率推移

感想:

でも脳内出血の発生率はさがってないんだって。↓
脳内出血の48時間致命率の年代推移

2017年2月12日

慢性期脳卒中の下部尿路症状について


A questionnaire survey to assess lower urinary tract symptoms in patients with chronic stroke.
2017  2月  日本

排尿困難や頻尿などの下部尿路症状は脳卒中患者の30-50%にみられ 生活の質におおきく影響する。

慢性期脳卒中患者について下部尿路症状の特徴をしらべてみたそうな。

2017年2月11日

降圧薬いっぱい飲むと歩みが遅くなるの?


Effect of Intensive Blood Pressure Control on Gait Speed and Mobility Limitation in Adults 75 Years or Older: A Randomized Clinical Trial.
2017  2月  アメリカ

収縮期血圧を厳格コントロールする大規模な臨床試験(SPRINT)の結果、120mmHg未満を目標にすることで心血管疾患の有病率、死亡率がさらに低下するとわかった。

特に75歳以上で歩行スピードの遅い高血圧患者に この傾向があきらかだった。

歩行スピードは健康状態の反映とも考えられることから、厳格な血圧コントロールが歩行スピードに影響していた可能性を検証してみたそうな。


糖尿病や脳卒中経験のない75歳以上の高血圧患者2636人について、収縮期血圧を120mmHgを目標にするグループと140mmHgのグループにわけ、歩行スピードを3年間フォローしたところ、


次のようになった。
・歩行スピードの経年的な低下の度合いは両グループで差はなかった。

・年齢、性別、人種、他の病気を考慮に入れても差はなかった。

75歳以上の収縮期血圧目標を140→120mmHgにしても歩行スピードには影響なかった、


というおはなし。
図:

感想:

頻尿のため降圧薬は2015の1月1日をもって完全にやめた。勝手に。

頻尿は瞬時に治ったし血圧も高くない。やめてよかったと思ってる。
NEJM誌:脳卒中で死なない血圧は120未満だからね

SPRINTの結果発表を受けて:厳格な降圧治療の有用性と有害事象への注意(日本高血圧学会)

2017年2月10日

片麻痺の両手訓練と日常生活動作


Effectiveness of Bilateral Arm Training for Improving Extremity Function and Activities of Daily Living Performance in Hemiplegic Patients.
2017  2月  韓国

上肢の運動支配は 左右それぞれ対側の脳半球が90%、同側の脳半球が10%を担っている。また、損傷した脳皮質は 麻痺手のみを動かす場合に比べ 両手運動時により活発になることがわかっている。

これらの事実から脳卒中の上肢リハビリには両手を用いる運動が推奨できるが、日常生活動作への影響はよくしらべられていない。


脳卒中で片麻痺の患者30人について、両手訓練と通常リハビリのみのグループにわけた。

両手訓練では皿洗い、コーヒー準備、タイピング、くだものをむく、洗濯物たたみ の5つの動作を訓練した。

両グループには通常のリハビリも行い、8週間後の上肢機能と日常生活動作を評価 比較したところ、


次のことがわかった。

・両グループともに上肢機能、日常生活動作がおおきく改善した。

・それらの改善度は両手訓練グループであきらかにすぐれていた。

脳卒中で片麻痺の患者には両手を使う訓練を加えると 日常生活動作の改善により効果的である、


というおはなし。
図:両手運動リハビリの効果

感想:

かつて麻痺手のみの強制訓練がベストであると かたくなに信じられていた時代があった。それを知らないと なぜことさらに "両手" をアピールするのか理解できないだろう。

2017年2月9日

若い脳卒中患者の不眠状況を1年間フォローした


The Course and Impact of Poststroke Insomnia in Stroke Survivors Aged 18 to 65 Years: Results from the Psychosocial Outcomes In StrokE (POISE) Study.
2017  2月  オーストラリア

脳卒中のあとの不眠症は患者の12-37%に起き、うつや自殺 復職に影響すると考えられている。

不眠症が時間的にどう推移するかの研究はおおくない。そこで労働年齢に限定してしらべてみたそうな。


65歳未満の脳卒中患者441人について、発症後28日、6ヶ月、12ヶ月の不眠、うつ、不安、復職状況を調査したところ、


次のようになった。

・いずれの時点でも不眠症は30-37%の患者に見られ、女性におおかった。

・16%は1年をとおして慢性的な不眠症だった。

・このグループはうつ、不安、なんらかの障害や復職できない者がおおかった。

若年脳卒中患者の慢性的な不眠は 1年後の障害 復職状況に影響した。不眠対策が機能回復の助けになるかもしれない、


というおはなし。

図:不眠症と復職 脳卒中のあと

感想:

睡眠だけは困ったことがないので不眠には共感ができない。

2017年2月8日

脳卒中の幹細胞治療に前向きな患者の割合


Attitudes to Stem Cell Therapy among Ischemic Stroke Survivors in the Lund Stroke Recovery Study.
2017  1月  スウェーデン

脳卒中からの回復に幹細胞治療が期待され 臨床試験では安全性の確認が進んでいる。

脳卒中患者の幹細胞治療にかんする知識と意欲についてしらべてみたそうな。


20-75歳で重症でない脳卒中患者108人についてアンケート調査したところ、


次のことがわかった。

・幹細胞治療の事前知識があった者は12%。

・学習後、63%は好意的で 36%が臨床試験に参加したいと述べた。

・細胞移植に不安を示したのは5-8%のみだった。

・男性で回復良好な者ほど幹細胞治療へ前向きだった。

脳卒中患者はもともと幹細胞治療の知識がすくなかったが、一旦それを知ると多くは前向きだった。性別や回復度が幹細胞治療への態度に影響しているようだった、


というおはなし。


感想:

だいぶん前に勤め先の同僚30人以上の脳をMRIで撮って体積を比べたことがある。

いちばん大きかったのがじぶんで1655cc(←動画)
いちばん小さかったのが総務の女性で1170cc←動画)だった。

ペットボトル1本ぶんほども脳の量が違うのに当時おそらく彼女の方が社員ランクは上だったと思う。
図:脳の体積の比較

脳はボリュームじゃない。壊死して空いた脳の隙間をよそからの細胞で埋めることができたとして、それで以前の働きが戻ると考えるのは楽観的にすぎる。

だから脳卒中の幹細胞治療にはぜんぜん期待していないんだ。

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