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2017年2月28日

脳卒中急性期に上体を起こしておくのは意味があるの?


In Stroke, No Clear Benefit for Head Positioning
2017  2月  オーストラリア

脳卒中の急性期に上体を起こしておくと脳の浮腫や肺炎の防止によいかも...といわれている。

ほんとうのところはどうなのか大規模に調べてみたそうな。

先週の国際脳卒中会議での発表。


世界114病院の脳卒中患者11000人以上について、入院直後の24時間を水平寝または上体起こし(30度以上)で過ごす2グループに分けて90日後の状態を比較したところ、


次のようになった。

・水平寝の13%、上体起こしの4%がなんらかの理由で姿勢維持を中断した。

・90日後、完全回復でなかった者の割合は 水平寝47.7%、上体起こし48.2%だった。

・水平寝の29%、上体起こしの40%が要介護または死亡で、

・両グループともに7%が死亡した。

・ぜんたいとして、頭の位置で障害の重さに明らかな差はなかった。

・年齢、脳卒中の種類、重症度などによらず 頭の位置の違いで結果の優劣はなかった。

急性期脳卒中患者のあたまの位置は、水平寝または上体起こしにかかわらず 予後に影響がなかった、


というおはなし。

図:脳卒中急性期の上体起こしの効果


感想:

片方の鼻が詰まっているときその側を上にして寝ると鼻が通る。だから左向きに寝れば右脳の腫れがひくかなとおもった。初期はまだ肩は痛くなかったけど左腕の感覚がゼロで、下にして寝ると腕が変な角度に折れ曲がっていた。ほうっておくとそのまま腕が壊死しそうな気がしてけっきょく左向きでは寝れなかった思い出。

2017年2月27日

末梢感覚刺激で脳梗塞が治る


Peripheral sensory stimulation is neuroprotective in a rat photothrombotic ischemic stroke model.
2016  8月  シンガポール

げんざい脳梗塞の有効な治療法はrtPAしかなくしかも適応になる患者は限られる。

末梢感覚刺激による脳の回復効果の報告があるので実験でたしかめてみたそうな。


ネズミを人為的に脳梗塞にした直後から 片方の前脚もしくは両前脚に微弱な電気パルス(末梢感覚刺激)を与えた。

脳波や梗塞体積を評価したところ、


次のことがわかった。

・末梢感覚刺激により体性感覚誘発電位、脳波がもとの状態にもどった。

・梗塞の体積は両前脚に刺激を与えたグループで最小になった。

脳梗塞直後の末梢感覚刺激による神経保護効果を確認できた、


というおはなし。
図:末梢感覚刺激と脳梗塞ボリューム

感想:

これら↓もおなじような理由かな。
太ももの裏をサワサワするとリハビリがはかどる

触覚刺激で脳がすぐに回復し その効果が10年以上続く可能性について

2017年2月26日

糖尿病の脳卒中への影響を生涯リスクで比較してみた


Diabetes and lifetime risk of stroke and subtypes in an urban middle-aged population.
2017  2月  日本

糖尿病は脳卒中のリスク要因ではあるがどのていど影響するものなのか直観的に理解しにくい。

年齢のある時点から死亡するまでに疾患を発症する確率 "生涯リスク" で糖尿病の影響を比較してみたそうな。


大阪 吹田市民5515人を1989から2007までフォローし、脳卒中の生涯リスクを解析したところ、


次のようになった。

・40歳時点では、男性の脳卒中生涯リスクは糖尿病なしで15.98%、糖尿病があると26.64%で、

・女性の脳卒中生涯リスクは、糖尿病なしで17.29%、糖尿病があると30.72%だった。

・これら糖尿病による生涯リスクの増加度は 計算開始時点の年齢をあげても同じだった。

・脳卒中の種類別では脳梗塞で同様の結果が得られた。

糖尿病は中年の男女ともに脳卒中の生涯リスクにつよく影響することがわかった、


というおはなし。

図:糖尿病 脳卒中の生涯リスク


感想:

糖尿病があると脳卒中患者数がだいたい10%増えるんだな。

2017年2月25日

脳卒中の音楽感情と脳半球支配


Post-stroke acquired amusia: A comparison between right- and left-brain hemispheric damages.
2017  2月  イラン

脳卒中が感情に与える影響については言葉や韻律、音声、表情についての研究がすでに行われている。

音楽への感情反応について実験してみたそうな。


31-71歳、慢性期の脳卒中で右脳損傷の25人、左脳損傷の20人と健常者25人について
短い音楽から感情をよみとる正確さを評価する「音楽感情テスト」"Musical Emotional Bursts"を行い比較したところ、


次のようになった。

・脳卒中グループはいずれも音楽感情スコアが明らかに低かった。

・右脳損傷グループは左脳損傷にくらべ「悲しみ」「中性」感情の認識力が有意に低かった。

・全グループで年齢がたかいほど音楽感情スコアは低下し、特に右脳損傷で顕著だった。

左脳よりも右脳の脳卒中で失音楽症がおきやすいと考えられた。右脳がネガティブな感情をつかさどるとする"感情価仮説"(valence hypothesis)を支持する結果になった、


というおはなし。
図:感情価仮説と右脳優位仮説

感想:

たしかに音楽聴いて心震わすことはなくなったね、とくにさいきん。

ちなみに脳の感情支配のもうひとつの説に、感情の種類によらず右脳がつかさどるとする"右脳優位仮説"がある。

2017年2月24日

脳内出血のあとのうつ そして認知症


Bleeding stroke survivors at higher risk of depression, dementia
2017  2月  アメリカ

脳内出血後のうつと認知症との関連をしらべてみたそうな。

今週の国際脳卒中会議での発表ないよう。


脳内出血経験者695人について、うつや認知障害の有無を6ヶ月ごとに電話でフォローした結果、


次のことがわかった。

・50ヶ月以内に脳内出血経験者の40%がうつになった。

・この比率は年に7%相当で、一般人よりも高かった。

・うつと認知症を併発した者は全体の63%におよび、

・かれらのうち80%は、うつのあと平均18ヶ月後に認知症を発症していた。

脳内出血のあと うつになりやがて認知症になる割合はとても高かった、


というおはなし。

図:うつと認知症

感想:

いままで 脳内出血→認知症ってはなしはよくでてきた。うつが前兆ってとこがあたらしい。

[脳内出血 認知症]の検索結果

2017年2月23日

ブルーライトセラピーが脳卒中うつをいやす


After Stroke, 'Blue' Light May Help Beat the Blues
2017  2月  デンマーク

精神科医のあいだでは青色光が記憶力やうつを改善する効果がよく知られている。
脳卒中後のうつにも効くものか実験してみたそうな。

今週水曜日の国際脳卒中会議での発表内容。


脳卒中でリハビリ入院した患者84人について、
リハビリ室の照明を *通常光または *青色光の2グループに分けた。


次のことがわかった。

・14日間のリハビリ後、青色光グループのうつレベルが 通常光にくらべ有意に低かった。

・ブルーライトが概日リズムに影響すると考えられた。


脳卒中患者は屋内で過ごすことが多く、青色光を多く含む日光をじゅうぶんに浴びることができない。青色光療法は薬や副作用のない脳卒中うつ対策になるかも、


というおはなし。

図:青色光療法


感想:

病人があつまる部屋が青色照明だったら ますます病的に見えてかえってひどくなりそうな気がするよ。

2017年2月22日

脳卒中で入院中に運転指導はあるの?


Shifting gears: An inpatient medical record audit and post-discharge survey of return-to-driving following stroke/transient ischaemic attack.
2017  2月  オーストラリア

オーストラリアでは 脳卒中患者はすくなくとも4週間 自動車運転を控えること、とされている。

いっぽうで 脳卒中患者は自分の運転能力を過大評価するという報告もある。

軽症脳卒中患者への運転復帰指導の現状をしらべてみたそうな。


平均年齢67、軽症脳卒中で自宅に退院した患者78人の医療記録とアンケート調査の結果を解析したところ、


次のことがわかった。

・35%の患者にのみ運転復帰の指導記録があった。

・運転を控える期間を明示された患者は13%のみだった。

・アンケートに回答した31人のうち20人が自動車運転を再開していた。

・21人は運転復帰指導のために呼び出しを受け、

・7人は運転を控えるべき1ヶ月以内に運転を再開していた。

脳卒中患者への運転復帰指導にかんする記録には整合性が欠けていた。必要とする患者に指導がおこなわれたかはよくわからない、


というおはなし。
図:

感想:

上のグラフ、運転再開の理由 1位「できると思ったから」。

あと数十年でほとんどの車は自動運転になる。
『あのころはすごかった。ボケ老人やてんかん、片麻痺患者が好き勝手に運転していたよ、、』と振り返る。
脳卒中経験者は自動車運転をナメきっていることが判明

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