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2017年5月2日

くも膜下出血の男女のちがい


Gender-related differences in aneurysmal subarachnoid hemorrhage: A hospital based study.
2017  4月  スイス

くも膜下出血は男性にくらべ女性のほうが 1.5倍くらい起きやすいといわれている。これには出産回数やホルモン、喫煙といった要因が考えられる。

くも膜下出血が起きたあとにも男女の違いがあるものか、しらべてみたそうな。


動脈瘤性くも膜下出血の患者120人の入院記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・69%は女性だった。

・男女の平均年齢は 51 vs. 58 で女性が高かった。

・年齢層が上がるほど女性患者が増えた。

・入院時の全体的な病態は女性のほうが重かったが、

・病歴やくも膜下出血自体の重症度は男性と差がなかった。

・6ヶ月後の死亡率は 28% vs.16% で女性が高かったが統計的に有意なほどではなかった。

動脈瘤性くも膜下出血患者は女性がおおかった。特に年齢層が高くなると顕著で 入院時の病態も重かった。他の点ではあきらかな男女の差はなかった、


というおはなし。
図:くも膜下出血と性別 年齢

感想:

女性がおおいってつい最近知ったんだよね。
いつからクモ膜下出血に女性が多くなったのか?

2017年5月1日

とりあえず鍼打っとけばうつにならないの?


Acupuncture Therapy and Incidence of Depression After Stroke
2017  4月  台湾

脳卒中後のうつは患者のQoLや予後に影響する合併症の1つである。

これまでの研究から鍼治療が一定のうつ治療効果を示すことがわかっているが、いずれもうつ症状が起きたあとの対症療法効果である。

早くに鍼治療をはじめた患者が そもそもうつになりにくくなるものかどうか、しらべてみたそうな。



退院後3ヶ月以内に鍼治療を受けたことのある脳卒中患者1714人と鍼治療を受けなかった1714人についてうつ症状の発生をフォローして関連を解析したところ、


次のことがわかった。
・うつ発生率は、鍼治療グループで年間1000人あたり11.1人、

・鍼治療なしグループでは9.7人だった。

・鍼治療と脳卒中後うつの発生には関連がみられなかった。

脳卒中からの退院後3ヶ月以内にうけた鍼治療とうつには関連がなかった、


というおはなし。
図:鍼治療と脳卒中後うつリスク


感想:

鍼治療がなんにでも効く魔法のようなものと考えられているがゆえの疑問だと思う。

2017年4月30日

飲酒量と脳内出血の関係


Alcohol use and risk of intracerebral hemorrhage
2017  4月  アメリカ

これまで飲酒量と脳卒中について 脳梗塞ではU字型の関連で、脳出血では非線形な関連が報告されている。

飲酒量と脳内出血リスクについて、人種や出血位置との関連もふくめてしらべてみたそうな。


脳内出血をおこした白人、黒人、ヒスパニックの各1000人ずつについて、それまでの飲酒状況を面談調査した。

飲酒量ごとに

*まったく飲まない:(基準)
*たまーに:月に1杯未満
*ほどほど:月に1杯以上、1日に2杯未満
*そこそこ:1日に2杯以上 5杯未満
*ヘビー:1日に5杯以上

に分類して関連を解析したところ、


次のことがわかった。
・まったく飲まない場合にくらべて各リスクは、 たまーに0.57倍、ほどほど0.65倍、そこそこ0.82倍、ヘビー1.77倍だった。

・たまーに とほどほどグループでは皮質下と深部の脳内出血の両方でリスクが低下した。

・ヘビーグループでは皮質ではない視床などの深いところでの出血と強く関連していた。

・ヘビーグループのこの関連は黒人とヒスパニックでのみ顕著だった。

たまーにもしくはほどほどの飲酒には脳内出血を予防する効果があった。たくさん飲むとリスクは上昇し、特に黒人とヒスパニックで非脳葉性の出血が顕著だった、


というおはなし。
図:飲酒量と脳内出血リスク


感想:

酒はすきじゃないから予防になるとしても飲む気しないな、、

2017年4月29日

鍼の脳卒中リハビリ効果を機能的接続性で評価した


Enhanced Functional Connectivity between the Bilateral Primary Motor Cortices after Acupuncture at Yanglingquan (GB34) in Right-Hemispheric Subcortical Stroke Patients: A Resting-State fMRI Study.
2017  4月  中国

最新のニューロイメージング技術を応用した脳卒中リハビリ研究が増えてきている。

そこで 中国伝統医学の鍼の効果検証に応用してみたそうな。


右脳損傷の脳卒中患者20人と健常者20人について、

片麻痺患者の治療によく用いられる脚にあるツボ 陽陵泉(ようりょうせん:GB34)への鍼刺激前後での安静時fMRI検査をおこなった。

このデータから左右脳の一次運動野間の機能的接続性(Functional Connectivity)の変化を解析し 比較したところ、


次のことがわかった。
・脳卒中患者の機能的接続性は健常者にくらべ低下しており、

・鍼刺激によって増強された。

脳卒中で低下した両半球の運動野間の機能的接続性が鍼刺激によって強まった。このあたりにリハビリメカニズムがあるのかも、、


というおはなし。
図:鍼刺激前後の脳の機能的接続性変化

感想:

患者の空気を読む力に影響をうけないこのような手法が鍼治療研究にもちこまれるのはとても喜ばしい。

しかしこの解析アルゴリズムのブラックボックス感がきもちわるい。変数を少々いじるだけで望みの結果画像をだせそうな、、、

2017年4月28日

ほんとうに "回復良好" な脳卒中患者とは


“Good Outcome” Isn’t Good Enough
Cognitive Impairment, Depressive Symptoms, and Social Restrictions in Physically Recovered Stroke Patients
2017  4月  カナダ

脳卒中からの回復はおもに日常生活動作についてのみ評価される。
しかし脳卒中患者は身体機能が回復したのちも社会参加や精神機能、孤独感、生活の質に困難をおぼえることが考えられる。

そういった問題がどのくらいの割合で起きているのかしらべてみたそうな。


発症から2-3年経つ脳卒中患者142人について複数の指標で回復程度を評価したところ、


次のことがわかった。
・全体の68%の患者は日常生活動作にあきらかな障害がないレベル(modified Rankin Scale<2)の回復を遂げていた。

・彼らのうち54%は "Montreal Cognitive Assessment" で認知障害が認められ、

・52%には "Reintegration to normal living index" で社会復帰に制約があった。

・また32%は " Patient Health Questionnaire-2" でうつ症状が認められた。

・mRS上での活動制限の有無は他の指標のスコアにほとんど反映されなかった。


日常生活動作の点で回復良好な脳卒中患者であっても 半数以上が認知障害や社会参加、3分の1がうつになやんでいた。なにをもって回復良好とするか考え直したほうがいいのではないか、


というおはなし。
図:脳卒中患者のmRSと他の指標


感想:

せっかく手足がうごくようになっていい気でいるのに『君には認知障害、社会不適合、うつの兆候がある』なんてわざわざ言って欲しくないわな。

2017年4月27日

糖質制限ダイエットで脳梗塞に強くなる理由


Ischemic preconditioning with ketogenic diet improves brain ischemic tolerance through increased extracellular adenosine levels and hypoxia-inducible factors.
2017  4月  中国

炭水化物を摂らず脂肪を多く摂る いわゆるケトン食を続けると、脳細胞はぶどう糖の代わりにケトン体をエネルギー源とするようになる。

これまでケトン食にはてんかん、アルツハイマー病、パーキンソン病などの神経変性疾患への治療効果が認められている。

そこでケトン食が脳梗塞にも影響するものか実験してみたそうな。


ネズミにケトン食を3週間与えたのち脳を一時的に虚血状態にした。

梗塞の体積や関連タンパク質などを測定したところ、


次のことがわかった。

・ケトン食ネズミの梗塞体積は明らかに小さかった。

・また、局所脳血流と細胞外アデノシンが増加していた。

・脳が酸素不足になったときに誘導されるタンパク質(低酸素誘導因子)がケトン食ネズミで増えていた。

3週間のケトン食で脳虚血への耐性が強化された。背景メカニズムとして 細胞外アデノシン、局所脳血流、低酸素誘導因子の関与が考えられる、


というおはなし。

図:ケトン食と脳梗塞体積

感想:

軽い糖質制限をはじめて1年半くらい経つ。気を失うような食後の眠気がなくなった。
低炭水化物ダイエットで脳卒中を治す ケトン食療法とは!?

2017年4月26日

肉や玉子で脳梗塞が起きやすくなる仕組み


Gut Microbe-Generated Trimethylamine N-Oxide From Dietary Choline Is Prothrombotic in Subjects
2017  4月  アメリカ

肉や卵黄に多く含まれるコリンの 腸内細菌代謝産物であるトリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)が血小板凝集をうながし脳梗塞の原因になるという報告がある。

これをたしかめるべく人で実験してみたそうな。


健康で完全菜食主義の8人と雑食の10人について、コリンサプリメントを2ヶ月間与えて血中のTMAOレベルと血小板凝集能を調べた。

またコリンサプリメント以前にあらかじめ低用量のアスピリンを1ヶ月間与えたグループも用意してしらべたところ、


次のことがわかった。

・両グループともに血中TMAOレベルが10倍になり、

・血小板凝集反応も強くなった。

・アスピリングループでも同様にTMAOレベルが増加したが、血小板凝集反応はずっと弱かった。

肉などに含まれるコリンを多く摂ることで腸内細菌産物であるTMAOのレベルが増加して血小板凝集が起きやすくなった。アスピリンにはこの効果を弱める働きがあるかも、


というおはなし。
図:コリンサプリメントと血小板凝集反応


感想:

これ真に受けて 肉や玉子を食べないと脳出血まっしぐらなんだよな、、経験的に。

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