~ 5000超の記事をシンプルな単語で検索するよ!

2017年6月11日

日本の新規脳卒中患者数と種類別発生率


Incidence, Management and Short-Term Outcome of Stroke in a General Population of 1.4 Million Japanese - Shiga Stroke Registry.
2017  6月  日本

50年以上にわたり日本人の脳卒中は死亡率が低下傾向にあるものの、いまだ主要な死亡原因のひとつである。

日本の最新の脳卒中状況をまとめてみたそうな。


滋賀県の脳卒中患者データベースから2011の急性脳卒中患者および死亡事例を抽出して解析したところ、


次のようになった。

・トータル2956件の脳卒中のうち、2176件は初回脳卒中だった。

・10万人あたりの年間発生率は脳梗塞91.3人、脳内出血36.4人、くも膜下出血13.7人だった。

・2011 日本全体では22万人のあらたな脳卒中の発生があったと推定できた。

・2956件の脳卒中事例のうち、ほとんどの患者が画像検査を受け、268人は手術や血管内治療を、2158人はリハビリを、78人は血栓溶解治療を受けた。

・退院時、1846人の患者は死亡または要介護状態で、発症後28日以内に390人が死亡した。

日本の脳卒中の新規患者数と種類別発生率が推定できた。半数以上の患者が死亡か要介護状態にあった、


というおはなし。
図:滋賀県の位置

感想:

いま2017なのに2011の結果もどうかな、、とおもったけど、脳卒中治療ガイドラインも2009以来ネット公開されていないのをおもいだした。
2015の書籍版があるみたいなんだけど、中身はなにも変わっていないってことなんだろうね きっと。

2017年6月10日

脳卒中から2年以上たっても解決されない課題とは


Long-term unmet needs and associated factors in stroke or TIA survivors
2017  5月  オーストラリア

脳卒中を経験すると障害や日々の生活での解決できない課題をかかえることになる。

これら解決されない脳卒中患者のニーズの種類と特徴についてしらべてみたそうな。


脳卒中またはTIAから退院して2年以上経った患者485人をアンケート調査した。

解決されない課題(unmet needs)は、以下の5つに分類した。

*社会参加
*環境
*身体機能
*慢性期のケア
*再発予防


次のことがわかった。

・81%から回答を得た。

・そのうち87%が1つ以上の解決されない課題を抱えており、特に71%が再発予防でなやんでいた。

・これら解決されない課題に絡む要因に 高齢、機能回復度、かかりつけ医の質 との関連度は低く、

・うつや地域サービスとの関連は強かった。

脳卒中やTIA患者は退院後2年以上たっても解決されない課題を少なからず抱えていた。とくに再発予防問題でなやんでいた、


というおはなし。
図:解決されないニーズの関連要因


感想:

再発予防策は 脳梗塞 脳出血いずれも なっとくのいくエビデンスないからなぁ、、そら解決しないわ。

2017年6月9日

半側空間無視と失語症にも比例回復則はアリ?


Principles of proportional recovery after stroke generalize to neglect and aphasia.
2017  6月  スイス

脳卒中患者の運動機能は、低下したぶんの70%がおよそ3-6ヶ月間で勝手に回復するグループとほとんど回復しないグループに別れる。これを比例回復則 "proportional recovery rule"とよぶ。

運動機能にみられる比例回復則が半側空間無視や失語症にもあらわれるとする報告があるので確かめてみたそうな。


脳卒中で半側空間無視の患者35人と失語症の患者14人について、3週間後と3ヶ月時点での機能評価を行い回復度を比較したところ、


次のことがわかった。
・患者の回復度は良好と不良の2グループにはっきりと分かれた。

・半側空間無視の30人と失語症の10人は低下した機能ぶんの71%が回復した。

・残りの計9人の回復ぶんは25%未満だった。

脳卒中患者の半側空間無視や失語症にも 運動機能の回復にみられた比例関係と2分化が確認できた。運動機能と認知機能の回復には共通の可塑的プロセスがあるのではないか、、


というおはなし。
図:脳卒中半側空間無視の比例回復則

感想:

「治る人はすぐ治るし、治らない人は治らない」
言ってしまっては身も蓋もないテーマを語れるようになったのはおおきな進歩だとおもう。
Stroke誌:下肢運動機能の比例回復則からわかること

[比例回復則 "proportional recovery rule"]の関連記事

2017年6月8日

日本人の脳卒中予防に適した運動量が明らかに


Daily Total Physical Activity and Incident Stroke
2017  6月  日本

身体活動量がふえると高血圧や肥満、糖尿病などが改善され脳卒中の予防効果がきたいできる。

東アジア人は西洋人にくらべ脳出血がおおいことなどから、こんかい日本人を対象に日々の運動量と脳卒中リスクとの関係をしらべ直してみたそうな。


50-79歳で健康な日本人男女74913人を2000-2012にフォローしたところ、


次のことがわかった。
・この間に 747の脳内出血、260のくも膜下出血、1206の非塞栓性脳梗塞、515の塞栓性脳梗塞があった。

・脳卒中全体、脳内出血、くも膜下出血、非塞栓性脳梗塞には日々の運動は中強度量のとき脳卒中リスクがもっとも低かった。

・塞栓性脳梗塞では運動量が多いほどリスクは低下した。

・脳出血のリスクは運動が強くなるほど高くなった。

日本人のばあい 強い運動が脳出血リスクを高めることから、ウォーキングなどの ほどほどな強度の運動が脳卒中の予防に適していると考えられた、


というおはなし。
図:運動強度と脳出血リスク

感想:

塞栓性の脳梗塞予防にはキツイ運動量がいいんだね。
図:塞栓性脳梗塞と運動量
スポーツやってた脳卒中患者は再発しないのか?

2017年6月7日

睡眠が6時間を切ると脳卒中経験者は死ぬ:米国睡眠学会


Short Sleep Linked to Death in Patients With Heart Disease, Stroke
2017  6月  アメリカ

睡眠時無呼吸症でなくても脳卒中など心血管疾患を経験した患者は不眠をうったえることがすくなくない。

睡眠時間調査は自己申告が多いが、こんかいポリグラフを使って客観的に睡眠時間を測定して脳卒中経験と死亡率との関連を調べてみたそうな。

今週の米国睡眠学会での発表。


1741人の男女を研究室によんで睡眠時間を測定した。

彼らの脳卒中経験の有無もしらべおよそ16年間の死亡率との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

脳卒中経験があるばあい 睡眠時間が6時間を下回ると死亡リスクは2.4倍だった、


というおはなし。

図:短時間睡眠と脳血管障害リスク


感想:

そういえば数日前、「睡眠不足が続くとミクログリアが脳を食い始める」って記事が話題になってたは。

2017年6月6日

メタボリックシンドロームのみでは脳梗塞は再発しない


Recurrent Stroke in Minor Ischemic Stroke or Transient Ischemic Attack With Metabolic Syndrome and/or Diabetes Mellitus.
2017  6月  中国

メタボリックシンドローム(血圧、中性脂肪、血糖、BMIが高い)だと脳梗塞になりやすい。

しかし再発への影響についてはよくわかっていないので しらべてみたそうな。


軽い脳梗塞またはTIAの患者3044人についてメタボまたは糖尿病の有無の組み合わせで4グループに分けて、その後90日間での脳卒中の再発との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・ぜんたいの17.2%がメタボのみ、19.8%が糖尿病のみ、9.8%は両方あり、53.2%はどちらも該当せず、だった。

・90日間にあらたな293件の脳梗塞、6件の脳出血があった。

・糖尿病のみまたはメタボ+糖尿病のときに明らかな再発リスクの上昇があり、

・メタボのみだと再発リスクの上昇はなかった。

・アスピリンの使用と再発リスクとの関連はみられなかった。

軽症脳梗塞やTIA患者はメタボリックシンドロームと糖尿病を併せ持っているときに脳卒中再発リスクが高くなった、


というおはなし。
図:メタボリックシンドローム 糖尿病 脳卒中の再発リスク

感想:

「死の四重奏」とかいって恐怖を煽りまくっていただけに メタボリックシンドロームのヘタれっぷりがはんぱない。

2017年6月5日

再発して脳梗塞になる割合と抗凝固薬


Transient ischemic attack and ischemic stroke patients with or without prior stroke.
2017  6月  スウェーデン

TIA(一過性脳虚血発作)や脳梗塞の患者で過去に脳卒中になったことのある者は少なくないという。

それがどのくらいの割合で、どんな特徴があって、再発予防になにをしていたかしらべてみたそうな。


スウェーデンの脳卒中患者データベースから 2011-2013のTIAと脳梗塞25000人ぶんの記録を抽出して解析したところ、


次のことがわかった。

・脳卒中(脳梗塞や脳出血)歴はTIA患者の19.3%、脳梗塞患者の24.6%に確認できた。

・脳卒中歴のある患者には、高齢、男性、心房細動、高血圧、糖尿病がおおかった。

・脳卒中歴があって心房細動もある患者は、脳卒中歴のない患者にくらべて抗凝固薬を処方されている割合があきらかに低かった。

TIAや脳梗塞の患者のうち過去に脳卒中歴のある者には高血圧、心房細動、糖尿病がおおかった。再発リスクが高いはずの彼らへの抗凝固薬治療の割合は低かった、


というおはなし。
図:心房細動ありで抗凝固薬処方の割合 脳卒中経験の有無別


感想:

抗凝固薬の処方わりあいが低い理由として、少なからぬ現場のお医者さんが

・脳出血をやった患者には抗凝固薬を出しにくい、
・抗凝固薬は再発予防には効果がないばかりか危ないだけ、と考えている。

そういうことじゃないかな。

ご意見 ご感想はこちら

名前

メール *

メッセージ *