~ 5000超の記事をシンプルな単語で検索するよ!

2017年8月28日

高齢者のくも膜下出血はどうしたらいいの?


Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage in the Elderly over Age 75: A Systematic Review.
2017  8月  日本

くも膜下出血の発生率は年齢が上がるほど高く、特に女性におおい。しかも高齢のくも膜下出血患者は入院時の症状が重く、予後不良も少なくない。

75歳以上の高齢くも膜下出血患者の予後に影響する要因と治療法について過去の研究をまとめてみたそうな。


関係する論文を厳選して、データを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。
・816例を含む12の研究がみつかった。

・患者の83.2%は女性で、33.8%は入院時に重度の症状だった。

・25.5%に血管攣縮がみられ、31.1%に水頭症があった。

・全体の35.0%は回復良好で、治療法別ではクリッピングの45.3%、コイリングの36.3%、保存療法の9.0%で回復良好だった。

・入院時に重症で、高齢、手術なしだと回復不良で死亡率も高かった。

85歳未満で入院時に重症でなければ手術をすすめるべき、


というおはなし。
図:くも膜下出血

感想:

くも膜下出血の再発予防手術の必要性には 個人的にとてもつよい疑いをもっている。

自分にその選択をせまられたら、たぶん断ると思う。

2017年8月27日

タブレットPCをつかった顔面麻痺のミラーセラピー


Effects of Mirror Therapy Using a Tablet PC on Central Facial Paresis in Stroke Patients.
2017  8月  韓国

脳卒中のあとよだれが垂れたり、口から食べ物がこぼれる、ことばが不明瞭になるなど中枢性顔面神経麻痺の症状を示す患者はすくなくない。

この問題にたいして口腔顔面運動訓練が勧められているが効果はいまひとつである。

こんかい、ミラーセラピーを組み合わせてさらなる改善を試みたそうな。


脳卒中患者21人について1回15分間の口腔顔面運動訓練を、2回/日x14日間行った。

このとき10人の患者グループはミラーセラピーを併用した。

ミラーセラピーでは、タブレットPCの自撮りモードを左右反転するアプリで自分の顔を映し、さらに画像の麻痺側をおおいかくして あたかも麻痺していないかのように見える工夫をした。

顔面麻痺の評価はHouse-Brackmann法を用い、笑ったときの口角から耳たぶまでの距離の変化も測定した。


次のようになった。

・両グループともに顔面麻痺の程度と顔の運動量のおおきさが改善した。

・とくにミラーセラピーグループでの改善程度が著しかった。

タブレットPCを用いたミラーセラピーは脳卒中後の顔面神経麻痺によいかも、


というおはなし。
図:中枢性顔面神経麻痺のミラーセラピー タブレットPCを使って

感想:

これを機に意識してスマホ自撮りやってみた。シャッター押すまでは鏡を見てるのと同じで、撮った写真はその左右反転になってる。

つまり撮るまでは鏡像になるように あえて左右を反転していたんだな。気が付かなかったよ。

2017年8月26日

脳卒中とメタアンフェタミンの関係


Stroke and methamphetamine use in young adults: a review.
2018  8月  オーストラリア

若年者の脳卒中が増えている理由のひとつに薬物中毒が考えられる。

メタアンフェタミンと脳卒中との関連を過去の研究からまとめてみたそうな。


関係するこれまでの論文を厳選して内容を分析したところ、


次のことがわかった。
・77の論文がみつかった。

・81の脳出血と17の脳梗塞の事例が含まれていた。

・いずれの脳卒中も男性のほうが2倍おおかった。

・メタアンフェタミンは飲んだり注射で摂ることができ、とくに喫煙摂取と脳梗塞の関連がつよかった。

・脳出血の1/3は高血圧や血管の炎症と関連があった。

・脳出血の1/4は完全回復して1/3は死亡した。

・脳梗塞の1/5は完全回復して1/5は死亡した。

メタアンフェタミンが関係する脳卒中は脳出血がおもで 亡くなる者もおおかった、


というおはなし。
図:メタアンフェタミンと脳卒中

感想:

メタアンフェタミンといったらドラマのブレイキング・バッドとのりピーを思い出す。

合法的に試せるのなら体験してみたい気もあったが 脳出血と聞いてどうでもよくなった。

2017年8月25日

貧乏だと脳梗塞の回復もよくないの?


Is there a correlation between socioeconomic disparity and functional outcome after acute ischemic stroke?
2017  7月  中国

社会経済的地位が低いと脳卒中になりやすくその死亡率も高いという報告が数多くある。

回復度との関連についての研究はおおくないので、大規模にしらべてみたそうな。


中国の脳卒中患者データベースから2007-2008で教育歴、職種、収入のわかる脳梗塞患者11226人分の記録を抽出して、3ヶ月後の生活自立度との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・教育歴6年以上の非肉体労働者にくらべ、教育歴6年未満の肉体労働者は生活自立度が低い傾向にあった。

・年齢、性別、喫煙、飲酒、病歴などを考慮にいれると、肉体労働者の生活自立度は明らかに低く、収入の少ない(160ドル未満/月)者では有意な差はなかった。

・これらの関連は65歳未満の男性で顕著だった。

社会経済的地位が低い脳梗塞患者の回復度はよくなかった。収入の少なさよりも低教育歴、肉体労働者であることのほうが回復不良につよく関連していた、


というおはなし。
図:貧困と脳梗塞

感想:

肉体労働者のほうが病気にたいしてタフなイメージがある。たぶんこういう人はよほど重症でなければ病院に来ないんじゃないかな。

これ↓おもいだした。
自殺したくなる脳卒中患者の特徴が明らかに

2017年8月24日

リハビリ中の正確な歩数を知る方法


Consumer-Based Physical Activity Monitor as a Practical Way to Measure Walking Intensity During Inpatient Stroke Rehabilitation
2017  8月  カナダ

脳卒中のあとのリハビリ入院ではとてもおおきな回復が起きるので、その訓練量を正確に把握することは重要である。

とくに歩行リハビリでは 腰に歩数計を着けた場合、測定精度は低く 歩行スピードが遅いとさらに誤差は拡大する。

StepWatch ActivityMonitor(SAM:modus health社の製品)を用いればビデオ解析の結果と96.1%の精度で測定値が一致することがわかっているが、価格が高く データ解析が難しい。

こんかい、市販の活動計 Fitbit One をもちいたときの歩数測定値をSAMとくらべてみたそうな。


発症から6週以内でリハビリ入院中の脳卒中患者21人について、健常側の足首にFitbit OneとSAMを装着し、理学療法セッション471時間分の記録を比較解析したところ、


次のようになった。

・Fitbit Oneの測定値はSAMのそれと ほぼ一致した。

・その誤差は歩行スピードで異なり、0.4m/s未満では10.9%、0.4-0.8m/sでは6.8%、0.8m/sより速いと4.4%だった。

脳卒中患者の健常足に着けたFitbit Oneでリハビリ訓練中の歩数をかなり正確に測定することができた、


というおはなし。

図:Fitbit SAM 脳卒中患者の歩行

感想:

Fitbitって やたら期待されてたわりにはぜんぜん普及してないね。

2017年8月23日

太った小学生は将来 若くして脳梗塞に


Association of Childhood Body Mass Index and Change in Body Mass Index With First Adult Ischemic Stroke
2017  8月  デンマーク

先進国では脳卒中の発生率は低下傾向にあるものの、若年者の脳梗塞は増加している。これは子供のころになんらかのリスク要因にさらされていることが理由かもしれない。

そこで子供のころの肥満とのちの脳梗塞との関連についてしらべてみたそうな。


デンマークの国民健康データベースから1930-1987生まれの307677人の記録を2012までフォローして、年齢7-13時の体重 身長と脳梗塞事例との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・この間に 女性3529人、男性5370人の脳梗塞があった。

・7-13歳にボディマス指数BMIが平均以上だと 55歳以下で脳梗塞になるリスクはあきらかに高く、いっぽう55歳以降での梗塞リスクは変わらなかった。

・この関連は出生時の体重に依らなかった。

・BMIが平均よりも低いときの脳梗塞リスクの上昇はなかった。

・7→13歳でBMIが増加すると男女ともに55歳以下での脳梗塞リスクも上昇した。

子供のころの平均を超えるBMIの増加は、55歳までに脳梗塞になるリスクを上昇させた、


というおはなし。
図:子供の肥満は若年脳梗塞のもと

感想:

このくらいの年齢って背が伸び始める直前だから横にひろがってる子はすくなくないと思うんだ。

2017年8月22日

降圧薬の順守率と脳卒中リスク


Adherence to Antihypertensive Medications and Stroke Risk: A Dose-Response Meta-Analysis.
2017  7月  中国

高血圧は脳卒中のおもな要因の1つで、薬物治療が可能である。

降圧薬の服薬順守率が低いと脳卒中や再発のリスクが高くなると考えられているが、そうでないとする報告も少なくない。

そこで、これまでの研究成果をまとめて降圧薬の順守率と脳卒中リスクとの関連を検証しなおしてみたそうな。


関係する過去の研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者1356188人を含む18の研究が見つかった。

・調査期間に対する服薬した日数の割合(%)を順守率としたとき、順守率が高いと脳卒中リスクはあきらかに低かった。

・脳梗塞と脳出血で分けても同様のリスク低下が得られた。

・致死性、非致死性の脳卒中についてもリスクはおおきく下がった。

・服薬順守率が20%高くなるごとに脳卒中リスクが9%低下する用量関係が見られた。

降圧薬の服薬順守率が高くなるほど高血圧患者の脳卒中リスクは低下した、


というおはなし。
図:降圧薬の服薬遵守率と脳卒中リスク

感想:

副作用の頻尿がひどかったので 2015の元日に降圧薬を断った。おもいきってやめてよかったと思ってる。

ご意見 ご感想はこちら

名前

メール *

メッセージ *