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2019年8月22日

ミラー療法 3つの重要ポイント


How to perform mirror therapy after stroke- Evidence from a meta-analysis
2019  8月  ドイツ

ミラーセラピーが誕生して20年、この間に62のランダム化比較試験が行われ効果を肯定するおおくのエビデンスが蓄積された。

しかしミラーセラピーをもっとも効果的におこなうためのプロトコールについてはいまひとつはっきりしていない。

そこで、脳卒中患者への上肢ミラーセラピーについてのこれまでの研究をメタアナリシスして効果的なやり方をあきらかにしてみたそうな。



関係するこれまでの研究を厳選してデータを統合再解析した。

とくに いまだ考え方のおおきく異なる3つのテーマ、
1)ミラーのおおきさ?
2)麻痺手も訓練するべきか?
3)手を映すだけでオブジェクト操作をしなくてもいいのか?
についてしらべた。



次のことがわかった。

・コクランレビューされた51のランダム化比較試験からさらに32に絞り込んだ。

・おおきなミラーのときにより効果的だった。

・動かすのは麻痺のない手だけで、麻痺手は動かさないほうが効果的だった。

・手をミラーに映せばよく、カップを持たせるなどの行為はさせないほうが効果的だった。

・これらの差は統計学的有意というほどではなかった。

脳卒中の上肢ミラーセラピーでは、麻痺手はそのままに おおきなミラーに健常手のみを映してオブジェクト操作はしないことが より効果的と考えられた、


というおはなし。

図:ミラーセラピー3つのポイント



感想:

麻痺手をうごかすことなく、イメージをふくらませるためにミラーを用いる。まさに↓。
エビデンスレベルⅠ 推奨度Aの脳卒中リハビリ法とは

2019年8月19日

拡大レンズリハビリの持続効果


Increasing perceived hand size improves motor performance in individuals with stroke- a home-based training study
2019  7月  アメリカ

手元をレンズ拡大して観察する状況下では運動誘発電位が高まり対応する運動野の活動領域も拡がり、また触覚の2点弁別能も向上するという報告がある。

前回の実験では拡大鏡を装着させただけの慢性期脳卒中患者25人のうち8人で握力や指の機能に改善がみられた。

こんかい、この8人について自宅での2週間の訓練と、さらに2週間後の改善度をしらべてみたそうな。



1日30分間の拡大鏡下での手の機能訓練を2週間おこない、その効果を2週間後までフォローしたところ、



次のようになった。

・2人はわけあって脱落し、6人が訓練を完遂した。

・6人中5人でテスト項目すべてで改善を示した。

・このうちの2人は訓練直後にあきらかな改善をしめし、

・別の2人は2週間後に有意な改善がみられた。

・いくつかの項目で2週間後のほうが良いスコアを示した患者が4人いた。

拡大鏡下での脳卒中患者の上肢訓練は期待できるかも、、


というおはなし。

図:拡大鏡リハビリ 脳卒中患者



感想:

この方法もそうだけど、ミラー療法、イメージ訓練、動作観察いずれも 麻痺して意識にのぼりにくくなっている手に「注意をあつめる」ための方法なんだよな。

だから麻痺側の指にリボンを巻いてもいいし、カッコいい手袋や高級腕時計をはめてもいいとおもう。龍の入れ墨でもしたらちからが湧いてきそう。

ハズ○ルーペで上肢機能が改善する可能性について

2019年7月6日

クロスエデュケーション+ミラーセラピーで背屈筋アップ


Unilateral dorsiflexor strengthening with mirror therapy to improve motor function after stroke- A pilot randomized study
2019  7月  アイルランド

クロスエデュケーションは片側の手脚を鍛えると もう片方の手脚にも筋力増強効果が現れる現象で、脳卒中患者の下肢では30%を超える背屈筋力向上の報告もある。

いっぽうミラーセラピーではミラーニューロンシステムの活性化により両側の一次運動野の働きが強化され、さらに鏡像による感覚フィードバックは脳半球抑制バランスを改善するという。

これまでクロスエデュケーションとミラーセラピーを組み合わせた研究は少ないので、下肢についてその効果をくわしくしらべてみたそうな。



平均年齢62の慢性期の脳卒中経験者35人について、
クロスエデュケーションのみ、と
クロスエデュケーション+ミラーセラピー、の2グループにわけた。

非麻痺足首の背屈筋アイソメトリックトレーニングを週3回x4週間おこなった。

最大随意筋力 MVC、
歩行速度 10-m walk test,
timed up and go (TUG),
Modified Ashworth Scale (MAS),
London Handicap Scale (LHS)
をトレーニング前後で測定したところ、



次のようになった。
・31人が訓練を完遂し、有害事象はなかった。

・クロスエデュケーション+ミラーセラピーグループで、歩行速度のあきらかな向上(0.09m/s)がみられた。

・歩行速度を除いていずれの項目もグループ間での有意な差はなかった。

クロスエデュケーションにミラーセラピーを組み合わせた訓練は、麻痺側の訓練がむつかしい患者の運動機能を改善できるかもしれない


というおはなし。

図:ミラーセラピーとクロスエデュケーション



感想:

効果のほどはそれほどではないにしても、麻痺側をひたすら訓練させるような考え方にくらべたらずっと好感がもてる。
ミラーセラピーは両側性転移を促す

ミラー訓練がクロスエデュケーションを強化する...

上肢ミラーセラピーの効果的なやり方

2018年12月15日

上肢麻痺へのミラー療法と振動療法


Mirror and Vibration Therapies Effects on the Upper Limbs of Hemiparetic Patients after Stroke- A Pilot Study
2018  11月  ブラジル

脳卒中患者の上肢麻痺の改善は日常生活上のもっともおおきなテーマである。その治療法としてミラー療法と振動療法がある。

おのおの治療メカニズムは異なると考えられるので、その効果をくらべてみたそうな。


脳卒中から12ヶ月未満で上肢麻痺のある21人について、

ミラー療法、振動療法(電動マッサージ器をつかう)、比較グループの3つにわけ、

1回15分間x週3回x4週間のセッションののち、
上肢の運動機能を3つの指標で評価 比較したところ、


次のようになった。

・3つの評価 Mobility Index Rivermead, Motor Function Wolf Test, Jebsen Taylor Test のいずれもミラー療法と振動療法でおおきくスコアが改善した。

ミラー療法と振動療法により脳卒中片麻痺患者の上肢運動機能がおおきく改善した、


というおはなし。

図:Wolf test MT VT 脳卒中


感想:

療法士さんが鏡に向かってブツブツ言ったり、電動マッサージ器をあちこちに当てたりすると「なにか特別なことをしてくれているんだなぁ」と察する。
そして機能テストを普段よりがんばってあげる。
だからスコアが伸びる。

治療に携わる方々は患者のやさしさに支えられていることを忘れないでほしい。

2018年12月12日

中低所得国で成果をあげている脳卒中リハビリとは


A systematic review of physical rehabilitation interventions for stroke in low and lower-middle income countries
2018  12月  アイルランド

脳卒中による障害や早死による世界全体の人的損失年数の78%は中低所得国で発生しているという。

これらの国々では脳卒中リハビリにあてられるあらゆるリソースが限定的であり高所得国の真似をすることができない。

そこで中低所得国で効果的とされる脳卒中の身体リハビリテーションの種類についてこれまでの成果をまとめてみたそうな。


中低所得国の成人脳卒中患者を対象とした身体リハビリテーションに関係する質の高い研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者2115人を含む62の研究がみつかった。大半はインドのものだった。

・内訳は、上肢関連が26件、下肢22件、その他14件だった。

・研究の質的には、強7件、中16件、弱39件と分類でき、

・全体として身体リハビリテーションにより患者の回復が促された。

・特にエビデンスレベルが高かったものは、CI療法とミラーセラピーによる上肢リハビリおよび、

・運動イメージ訓練による歩行リハビリだった。

・次いで、立ち上がり訓練(sit-to-stand training)でのバランス改善効果だった。

中低所得国の脳卒中リハビリ研究の結果、ミラーや運動イメージによる脳内トレーニングおよび上下肢の繰り返し運動が効果的でかつ低コスト シンプルな方法として評価されていた、


というおはなし。

図:中低所得国の脳卒中リハビリ


感想:

むしろこういう環境でこそ真の実力が試される。

CI療法(=課題指向型訓練)はナンセンスであることが最近あきらかになったので除外するとして、

ミラーセラピーの発案者はインド人だから一番人気は納得。

そして安定のメンタルプラクティス(運動イメージ訓練)か。

2018年7月23日

コクランレビュー:ミラーセラピーの効果は?


Mirror therapy for improving motor function after stroke
2018  7月  ドイツ

脳卒中患者のミラーセラピーは 手足のあいだに立てかけた鏡に映る健常側の動きを正常動作と錯覚させることで脳を刺激して運動や感覚、疼痛、視野の改善を期待するものである。

ミラーセラピーがほんとうに運動や日常生活動作、疼痛、半側空間無視の改善になるものなのかこれまでの研究をまとめてみたそうな。


関連する研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者1982人を含む62(うち57はランダム化比較試験)の研究がみつかった。

・ミラーセラピーの施行条件は平均すると1回30分間x週5回x4週間 だった。

・ミラーセラピーでは上下肢の運動機能と日常生活動作が改善し、慢性期でも効果があった。

・疼痛緩和にも効果があったがおもに複合性局所疼痛症候群の場合だった。

・半側空間無視への効果は確認できなかった。

・運動機能への効果は6ヶ月持続するものもあった。

・有害事象の報告はなかった。

脳卒中患者へのミラーセラピーでは運動機能と日常生活動作の改善に中レベルのエビデンスがあった。しかし疼痛や半側空間無視緩和のエビデンスレベルは低かった、


というおはなし。
図:ミラーセラピー脳卒中

感想:

ミラーセラピーは問題を直接解決しようとするものではなくて、治ったと勘違いさせることが発想のベースになっている。

例えると「プラシーボ効果」にも似ているんだけど、最初っから偽の訓練であることを公言している点がちがう。

たとえ偽物であっても確信的だと 一周回って「本物」扱いされる良い例なのではないか、、と思うんだ。

2017年10月23日

メンタルプラクティスとミラーセラピーのちがい


Immediate effect of mental practice with and without mirror therapy on muscle activation in hemiparetic stroke patients.
2017  10月  ブラジル

メンタルプラクティスとミラーセラピーは実際の運動をともなわないという点で共通している。

これらの違いをさぐるべく、筋肉反応を測定してみたそうな。


脳卒中で上肢麻痺の男女4人ずつについて、

a)手首を曲げるイメージを繰り返す。(メンタルプラクティス)
b)麻痺手を隠すようにおいた鏡の前に健常手を置き、鏡に映る手首曲げ動作を麻痺手の動きであると考える。(ミラーセラピー)
c)実際に手首を曲げる。

これら3つの動作時の筋電図をとり比較した結果、


次のようになった。
・実際の動作よりもメンタルプラクティスとミラーセラピー時に筋電活動が大きかった。

・メンタルプラクティスとミラーセラピーで筋電活動の大きさに明らかな差はなかった。

・これらの反応は麻痺手および健常手にも同様に観察できた。

メンタルプラクティスとミラーセラピーで筋電活動にすぐに反応がでた。その反応の大きさに両者の違いはなかった、


というおはなし。
図:メンタルプラクティスとミラーセラピー

感想:

ようするにミラーセラピーはメンタルプラクティスとおなじ。
鏡に映すのはイメージしやすくするための方便であって、ミラーニューロンがどうのこうのはあとづけの理屈にすぎない。

2017年8月27日

タブレットPCをつかった顔面麻痺のミラーセラピー


Effects of Mirror Therapy Using a Tablet PC on Central Facial Paresis in Stroke Patients.
2017  8月  韓国

脳卒中のあとよだれが垂れたり、口から食べ物がこぼれる、ことばが不明瞭になるなど中枢性顔面神経麻痺の症状を示す患者はすくなくない。

この問題にたいして口腔顔面運動訓練が勧められているが効果はいまひとつである。

こんかい、ミラーセラピーを組み合わせてさらなる改善を試みたそうな。


脳卒中患者21人について1回15分間の口腔顔面運動訓練を、2回/日x14日間行った。

このとき10人の患者グループはミラーセラピーを併用した。

ミラーセラピーでは、タブレットPCの自撮りモードを左右反転するアプリで自分の顔を映し、さらに画像の麻痺側をおおいかくして あたかも麻痺していないかのように見える工夫をした。

顔面麻痺の評価はHouse-Brackmann法を用い、笑ったときの口角から耳たぶまでの距離の変化も測定した。


次のようになった。

・両グループともに顔面麻痺の程度と顔の運動量のおおきさが改善した。

・とくにミラーセラピーグループでの改善程度が著しかった。

タブレットPCを用いたミラーセラピーは脳卒中後の顔面神経麻痺によいかも、


というおはなし。
図:中枢性顔面神経麻痺のミラーセラピー タブレットPCを使って

感想:

これを機に意識してスマホ自撮りやってみた。シャッター押すまでは鏡を見てるのと同じで、撮った写真はその左右反転になってる。

つまり撮るまでは鏡像になるように あえて左右を反転していたんだな。気が付かなかったよ。

2016年12月31日

ミラーセラピーだけのほうが効果がでる理由


Systematic review of mirror therapy compared with conventional rehabilitation in upper extremity function in stroke survivors.
2016  12月  オーストラリア

脳卒中上肢のミラーセラピーの効果を通常のリハビリとくらべてみたそうな。


2009以降の関連する研究を厳選し データを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・15の研究がみつかった。

ミラーセラピーは急性期 慢性期ともに、通常リハビリのみ またはそれと組み合わせた場合よりもミラーセラピー単体でおこなったほうが効果的だった、


というおはなし。


感想:

複数の方法を組み合わせると「あっ ミラーセラピーだけじゃきっと効果が薄いんだ...」と患者に見透かされてしまう。

その結果スパシーバ効果が弱くなる と考える。

2016年11月3日

ミラーセラピー vs 神経筋電気刺激 vs 理学療法


Comparison of the effects of mirror therapy and electromyography-triggered neuromuscular stimulation on hand functions in stroke patients: a pilot study.
2016  12月  トルコ  

ミラーセラピーと神経筋電気刺激の上肢リハビリ効果を比べてみたそうな。


平均年齢58、発症5ヶ月前後の脳卒中で上肢麻痺の患者24人を、
ミラーセラピー、神経筋電気刺激、通常リハビリ(理学療法)のみの3グループに分けた。

1回30分x週5日x3週間の治療をおこなった。

ミラーセラピーグループのみ自宅へも持ち帰り訓練を続けた。


次のことがわかった。

・手首の伸展範囲と握力について 通常リハビリグループはまったく改善がなかった。

・ミラーセラピーと神経筋電気刺激グループでは上肢運動機能と握力、手首可動域に改善が見られた。

・さらにハンドスキルはミラーセラピーのほうが神経筋電気刺激よりも明らかに向上していた。

ミラーセラピーは通常リハビリに優れているばかりか神経筋電気刺激よりも効果的かもしれない。これはミラーセラピーが自宅へ持ち帰り可能だからではないか、、


というおはなし。
図:Adnan Menderes University

感想:

ミラーセラピーのようにいまだ効果のさだかでない治療法であっても、長時間取り組むことができさえすれば標準治療や先端機器治療をしのぐことができる
ってことなのかね。

2016年9月22日

ミラーセラピーは両側性転移を促す


Mirror Visual Feedback Training Improves Intermanual Transfer in a Sport-Specific Task: A Comparison between Different Skill Levels.
2016  8月  ドイツ

ミラーセラピーは脳卒中で片麻痺のリハビリにも用いられ その効果はミラーニューロンネットワークを介した両側性転移またはクロスエディケーションで説明できる。

これをスポーツスキルの異なる健常者で確かめてみたそうな。


健康でバスケットボール経験のある39人と ほとんど素人の41人について、
右手でドリブル訓練を行った。

このとき、高さ120cmのミラーボックスの前で鏡像を見るグループと、
ドリブルを直視するグループに分けた。

4日間の訓練の後、左右各々の手でのドリブルパフォーマンスの改善度を比較したところ、


次のようになった。

・ミラー無しグループのパフォーマンス改善度を明らかに上回っていたのは、ミラーフィードバックがあるバスケ経験者の左手ドリブルのみだった。

両側間の運動能力転移がミラーフィードバックにより強化されたと考えられた。しかしこの効果は個人のスキルレベルに影響される、


というおはなし。
図:ミラーフィードバック ドリブル

感想:

なるほどねぇ~

[クロスエデュケーション OR 両側性転移]の関連記事

2016年3月18日

下肢のミラーセラピーをfMRIで観察してみた


The neuronal correlates of mirror therapy: a functional magnetic resonance imaging study on mirror-induced visual illusions of ankle movements.
2016  3月  中国

脳卒中患者へのミラーセラピーは効果的であるとされているが そのメカニズムはよくわかっていない。

そこで下肢のミラーセラピーを脳機能MRIで調べてみたそうな。


健常者5人と左片麻痺の脳卒中患者5人について、

右足首の屈伸運動の鏡像が左足に重なるよう設定し、鏡の有無で脳の活動状況がどう変化するか実験したところ、


次のことがわかった。

・鏡像ありの場合、健常者では両側の運動野に強い活動があった。

・脳卒中患者の場合も同様に、損傷脳側の運動野、後頭部、前頭前部の脳皮質にも明らかな活動を確認した。

足首のミラーセラピーが脳卒中患者の損傷脳側の感覚運動野の活動を促した、


というおはなし。

写真:下肢のミラーセラピー


感想:

ホントかな?と思って原文みたんだけど図貼り間違えてるとしか思えないんだよな、、、

[ミラーセラピー 下肢]の関連記事

2016年1月18日

ミラー訓練がクロスエデュケーションを強化する...


Mirror Training Augments the Cross-education of Strength and Affects Inhibitory Paths.
2016  1月  オランダ

左右一方の手を筋力トレーニングすると反対側の手の筋力も増加する いわゆるクロスエデュケーションは 効果がそれほど強くない。

そこで訓練手を鏡に映し観察させた場合、クロスエデュケーション効果に違いがあるか調べてみたそうな。


健常者をミラーグループ11人と非ミラーグループ12人分けて、
右手首を最大筋力の80%で曲げる訓練を3週間施した。
ミラーグループには鏡像を観察しながら訓練させた。

その後の左手首の最大屈筋力と運動野との誘発電位を測定したところ、


次のようになった。

・両グループともに右手首の筋力は72%増強した。

・クロスエデュケーション効果である左手首の筋力は、ミラーグループで61%、非ミラーグループでは34%強くなった。

・運動誘発電位の静止時間はミラーグループで15%減少し、非ミラーグループでは12%増えた。

・脳半球間抑制度はミラーグループで11%増加、非ミラーグループで15%減少した。

鏡を使って訓練中の動作を観察するとクロスエデュケーションが強化される。脳卒中患者のリハビリに応用できるかもしれない


というおはなし。

図:クロスエデュケーション

感想:

これ↓思い出した。
上肢ミラーセラピーの効果的なやり方

2015年12月31日

ミラーセラピーは早く始めた方がいいのか?


The effects of very early mirror therapy on functional improvement of the upper extremity in acute stroke patients.
2015  11月  トルコ

脳卒中上肢麻痺へのミラーセラピーの効果を、発症後早い時期に適用した場合で調べてみたそうな。


発症後10日前後の8人の脳卒中患者を2グループに分け、一方にはミラーセラピーを施した。

両グループには通常のリハビリも併行した。

これらを3週間継続したのち 上肢の感覚運動機能を比較したところ、


次のことがわかった。

・一連の治療後、両グループで有意な改善の差はなかった。

・ミラーセラピーグループに有害事象はなかった。

脳卒中発症後 早期の上肢ミラーセラピーに特筆すべき効果は確認できなかった、


というおはなし。

写真:ミラーセラピー


感想:

ふつーに考えたら早い方が効果的。

CI療法もそうなんだけど、早期に適用すると効果がない治療法っていうのはメンタル効果がとても大きいんだと思う。

2015年9月29日

ミラーセラピーが効く患者の特徴がわかった


Potential determinants of efficacy of mirror therapy in stroke patients - A pilot study.
2015  8月  ドイツ

ミラーセラピーは脳卒中患者の運動機能のリハビリによいとされる。一方その効きは患者ごとに大きく異なる。

ミラーセラピーが効く患者とそうでない患者の違いを調べてみたそうな。


亜急性期脳卒中で重度の上肢麻痺の患者11人についてミラーセラピーを4週間行った。

この前後での脳皮質の活動度を近赤外線分光で測定した。

測定箇所は左右の一次運動野と楔前(けつぜん)部で、

鏡像への反応度を左右信号強度変化の和と定義して運動機能の回復度との関連を解析した。


次のことがわかった。

・5人の患者は指の動きにまったく改善がなかった。6人には指の動きに改善効果が認められた。

・楔前部での脳活動変化が大きい患者ほど改善効果も大きかった。


鏡像に対する楔前部の反応の大きさがミラーセラピーの効きを決めているのかもしれない、


というおはなし。

図:楔前部
センサー位置 緑が楔前部


感想:

だまされやすい人とそうでない人の違いは メンタル面ではなく脳のハードウェアに理由があるってことなのかな。

2014年10月21日

最先端医療機器MEG(脳磁図)でミラーセラピーの効果を確認した


Cortical Mechanisms of Mirror Therapy After Stroke.
2014  10月  イギリス

ミラーセラピー中の脳の変化を、脳磁図(MEG)を使って調べてみたそうな。


10人の脳卒中片麻痺患者と13人の健常者について、次の2つの条件下で両手運動をしているときの運動野の事象関連同期信号(15-30ヘルツ)を測定した。

*両手を直接目で見て運動   または
*麻痺手の横に置いた鏡の像をみながら運動(ミラーセラピー)


次のようになった。

・健常者では事象関連信号の左右対称性はミラーセラピー時も変わらなかった。

・患者では事象関連信号が全体的に弱かったが、非損傷側の脳半球で信号が大きかった。

・ところがミラーセラピー中には この左右の信号がより対称的になった。

ミラーセラピーは脳卒中患者の脳の働きの非対称性を正すように作用するのではないか、


というおはなし。
MEG

感想:

MEGの脳卒中ミラーセラピーは初めてみた。おもしろい。

2014年9月22日

CIミラーセラピーの効果とは


Effect of constraint-induced movement therapy and mirror therapy for patients with subacute stroke.
2014  8月  韓国

CIセラピーにミラーセラピーを加えてみたときの効果を調べてみたそうな。


亜急性期の脳卒中患者26人を次の3グループに分けた。

*通常リハビリ+CIセラピー+ミラーセラピー
*通常リハビリ+CIセラピー
*通常リハビリ

2週間の訓練の後、上肢機能を7種類の指標で評価、比較した。


次のようになった。

・CIセラピーを行ったグループは通常リハビリグループよりも高い改善度を示した。

・さらにCIセラピーにミラーセラピーを組み合わせたグループはCIセラピーのみのグループよりも box and block test, 9-hole Pegboard test, grip strengthの3テストで優れたスコアを出した。


CIセラピーにミラーセラピーを組み合わせるとCIセラピーのみ よりも効果的である、


というおはなし。
CIミラーセラピー


感想:

よく見ると
「実験意図をよーく理解したやる気マンマンの患者を選んだ」って書いてある。しかもCIセラピーなので最初から指が動く患者のみを対象にしているし、、

なるほどこういう結果が出てもなんの不思議もない。

2014年6月2日

バーチャル・リアリティで麻痺した手が自由に動く装置


New Device “Tricks” Stroke Victims Out of Paralysis
2014  5月  スイス

大学発ベンチャー企業が上肢リハビリの画期的な装置を開発したそうな。


チューリッヒ工科大学の研究者たちが立ち上げたMindMaze社が開発したMindPlayPROは、被験者の動作を3次元的に読み取り、そのアバターをリアルタイムにスクリーンに表示する。

ただしその左右は反転されているので、片麻痺患者は健常側でのトレーニング映像があたかも麻痺側の上肢が動いているかのように錯覚する。

この効果により脳の可塑性が促されることが期待できる、


というおはなし。

写真:マインドプレイプロ
(ビデオページにリンク)



感想:

社長の志が立派すぎて、鏡を1枚置けば済む話じゃん と言えない空気。

2014年1月19日

ミラーセラピーが効く理由を確かめてみた


Mirrored Feedback in Chronic Stroke: Recruitment and Effective Connectivity of Ipsilesional Sensorimotor Networks.
2013  12月  アメリカ

ミラーセラピーの鏡像フィードバックで脳にどんな影響があるのか調べてみたそうな。


15人の慢性期脳卒中患者について、健常な側の手指の曲げ伸ばし運動中の脳機能MRIを撮影した。

この際、手の動きに連動するバーチャルハンドが患者に表示された。
そのまま表示する場合と、鏡像反転して表示する場合との脳の反応の違いを観察した。


次のようになった。

・鏡像フィードバックと麻痺手を司る病側脳の活発化と関連があった。

・鏡像フィードバック時の体性感覚野と運動野との強いつながりが確認できた。


鏡像表示することで損傷した側の脳の活動が活発になった。ミラーセラピーは本当にリハビリに効くのかもしれない、


というおはなし。

写真:fMRIとバーチャルグローブ

2013年12月26日

未来のミラーセラピーはこうなる


An augmented reality home-training system based on the mirror training and imagery approach.
2013  12月  ドイツ

ミラーセラピーは幻肢痛や脳卒中片麻痺治療に効くと言われている。
そこで、自宅でもできるミラーセラピー向け拡張現実装置を作ってみたそうな。


・健常な側の手の動きがヘッドマウントディスプレイに左右対称に表示される装置を製作した。

・スクリーン上でいくつかの仮想的なゲームをプレイすることで運動イメージを促す。

・このパフォーマンスデータはインターネットを介して自宅から医療施設へ転送され解析される。

・7人の健常人で動作を確認したところ、トラブルもなく、飽きもせず 順調に動作した。


将来遠隔ミラーセラピーができるようになるかも知れない、


というおはなし。


写真:拡張現実ミラーセラピー



感想:

鏡にただ手を映すだけのことに拡張現実技術を持ち出すギャップが興味深い。


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ランセット誌:握力よわくなったら脳卒中が近いと知りなさい
だいたい5年後に脳卒中経験者が悩んでいること
ハゲを治そうとして脳卒中になってしまった日本人2例
退院したての元患者が感じていること
麻痺側の触覚を刺激し続けると梗塞を最小限にできる可能性について
脳卒中経験者は自動車運転をナメきっていることが判明
減塩に真面目な人ほど脳卒中で死亡するという事実

納豆を食べると脳卒中で死なない 2万9千人調査
NEJM誌:幹細胞ツアーに参加したら癌ができた
脳梗塞から脳出血へ コレステロールとの関連が明らかに
脳出血で死なないための睡眠時間が判明!
音楽サポート療法の「音楽」はほんとうに必要なのか?
患者に毎日好きな音楽を聴かせたところ、脳に構造改革が起きた模様
感情失禁になる患者の割合について
脳の可塑性のおかげで2年経っても運動機能が回復することが判明
【悲報】脳卒中後、杖を使い続けると麻痺していない手まで動かなくなる
血圧が高いひとは、他人の気持ちがわからない

生活習慣を改めれば脳卒中の再発は防げるの?
カニ歩きと後ろ歩き 片麻痺リハビリに効果的なのは、、
鍼治療の「得気」は小脳のはたらきだった
脳梗塞実績No.1漢方薬 → ほようかんごとう
閉じ込め症候群の患者にあえて生活の質を問うてみた結果、、
砂糖の代わりに甘味料を使うと脳梗塞がさらにひどくなることが判明
ダメージを負った脳組織が勝手に再生する仕組みが明らかに
指ストレッチはいいらしいから さっそくこのビデオで実践することにした
【肥満パラドックス】脳梗塞で長生きするBMIが判明
リハビリの合間のお昼寝は大切 → 訓練がはかどるゾ

刺激豊富な環境で脳梗塞が治る理由
猫を飼う女性は脳卒中で死なないことが判明!
美容院で脳卒中になる女性が続出!
「ストレスが原因」と語る脳卒中患者ほど実はなにもわかっていない
傷ついた脳に効くBDNFが増えるサプリメントが明らかに
運転リハビリに良さそうなおすすめドライブゲーム
【アロマテラピー】ラベンダーの香りが脳梗塞にすごく効く
脳卒中後の疲労感は 只の疲労とはわけが違う
脳卒中がきっかけでホモになることがあるらしい
ダイエットコーラを毎日飲むと脳卒中になることが判明

高コレステロールに朗報 葉酸サプリの脳卒中予防効果
BDNFが7年かけて脳を修復してくれるという根拠について
朝ごはんを食べない日本人は脳内出血になることが判明!
脳卒中予防に最適なビタミンBサプリメントの組み合わせがわかった!
脳卒中経験者の血圧を十分に下げたら死亡者が続出した
痙縮が治る ただの風呂と温泉を比較した
歩きスマホが脳卒中患者のリハビリに適しているという根拠について
磁気嵐が脳卒中を引き起こす と判明!
リハビリは動かせばイイってもんじゃぁない. 本人がやる気になるまで待て.
『足首を鍛えたいのに麻痺して動かないの』→『もう一方の足を鍛えなさい』