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2017年9月21日

足湯の慢性期脳卒中への心理生理学的効果


The effects of aroma massage and foot bath on psychophysiological response in stroke patients.
2017  9月  韓国

脳卒中を経験すると筋肉の麻痺や認知能力の低下から多くのストレスを受け 気分や感情の異常、睡眠の障害などがおきやすくなる。

これらの問題にたいしてマッサージや足湯の効果を検証してみたそうな。


発症から6ヶ月-2年の脳卒中患者14人をつぎの2グループに分けた。

*マッサージ+足湯+理学療法
*理学療法のみ

マッサージはアロマエッセンシャルオイルを使用して背中を揉む。足湯は40℃で足首まで30分間。

1週間後 各種ストレス度と体温や睡眠満足度を比較したところ、


次のようになった。

・身体的、心理的ストレスの度合いはマッサージ+足湯グループで明らかに低く、

・体温や睡眠満足度もはっきりと高かった。

慢性期脳卒中患者へのアロママッサージと足湯セラピーで おおくのストレスが癒され睡眠満足度も改善した、


というおはなし。
図:足湯する脳卒中経験者

感想:

こんな やらなくてもわかる実験をなぜ行ったのか?...考えた。

理学療法の専門誌なので、ストレス測定が主目的とは考えにくい。
じつは歩行機能や他の運動能力も測定したのだが アロママッサージ+足湯グループであまりにも改善度が高すぎた。そのまま発表してしまうと理学療法の立場が危うくなると考えた。そして歩行機能測定は無かったことにしてストレスのはなしだけでまとめた。

そういうことかな。

2017年9月20日

熊本地震のあとの脳梗塞の特徴


Clinical characteristics of patients with ischemic stroke following the 2016 Kumamoto earthquake.
2017  9月  日本

おおきな震災のあとには深部静脈血栓症や肺血栓塞栓症、脳卒中などが増加するという報告がすくなからずある。

2016年4月の熊本地震のあとの脳梗塞患者数と彼らの特徴についてしらべてみたそうな。


震災のあとに済生会熊本病院に入院した脳梗塞患者について、過去の同時期の患者と詳しく比べたところ、


次のことがわかった。

・熊本地震のあと12週間に入院した脳梗塞患者は194人で、過去3年間の同時期の平均は165人だった。

・震災前後で患者の病歴や身体的特徴、血液検査の結果に違いはなかった。

・避難所もしくは自家用車での寝泊まり経験のある患者はそれぞれ 13%と28%だった。

・27%の患者は震災直後の2週間を避難所でくらしていた。

熊本地震のあと脳梗塞患者が増加したが、それ以前の患者と臨床上あきらかな違いはみあたらなかった、


というおはなし。
図:熊本地震前後の脳梗塞件数

感想:

避難所や車中泊が原因って言いたかったみたいなんだけど、患者がすくなすぎてあきらめたようだ。

2017年9月19日

ブログから読み取る脳卒中後の人生


Using Blogs to explore the lived experience of life after Stroke: 'A journey of discovery I never wanted to take.
2017  9月  イギリス

脳卒中患者の生の体験談を収集する情報源のひとつとして「ブログ」が考えられる。

そこで語られる内容とブログの役割について実際に調査 分析してみたそうな。


2016時点で、脳卒中経験者が運営し、脳卒中に関連する内容で、1年以上の継続実績があって、現在もアクティブな、イギリスまたはアメリカの、英語の、会員制でない、日記形式 のブログを検索し厳選した。

内容を主題分析したところ、


次のことがわかった。
・8つのブログが分析対象となった。

・次の8つのサブテーマが見つかった。1)自己との対話、 2)感情、3)変化、4)脳卒中の影響、5)健康管理、6)世界の中で、7)人間関係、8)リハビリ

・そしてメインテーマが2つあって、*内面での自己との関係性と、*外の世界との関係性、これら2つの視点。

・彼らのおおくは 失った生活を嘆き、回復して自立を取り戻すために励んでいた。

脳卒中経験者がそれまでの生活からあらたな状況へ適応することは容易ではなく、内面的、外面的関係性を徐々に変化させてゆく必要がある。失った過去を嘆くよりも いまを生き生きと生活する重要性を他者と分かち合う手段が ブログにはある、


というおはなし。
図:脳卒中経験者のブログ

感想:

なるほど脳卒中やるとじぶんとの対話がとても増えて、どんどん内側に落ち込んでいってしまう。それがわるいこととは思わないけど、そとの世界とのバランスをとるためにブログが役に立っている実感がある。


それにしてもアメリカとイギリスあわせたら3億人くらいいるのに、まともな脳卒中ブログは8件って 選別基準厳しすぎやしないか?

日本の現在アクティブな脳卒中ブログは、多めに見積もってもせいぜい100。

通院中の脳卒中患者がおよそ100万人だから、1万人に1人がブログをやってることになる。

1万人に1人の変人が発信する情報が参考になるかは疑わしい。けれどブログの数は8年前に比べるとおおいに増えたので、気に入ったものだけ見ればいい。

2017年9月18日

脳卒中の回復に本当に適した運動強度とは


Effects of High- Versus Moderate-Intensity Training on Neuroplasticity and Functional Recovery After Focal Ischemia
2017  9月  フランス

脳卒中からの回復には中強度の有酸素運動(MOD)が適しているとおおくの実験が示しているいっぽう、その効果は今ひとつである。

高強度のインターバルトレーニング(HIT)がより効果的であるという報告があるので動物で実験してみたそうな。

2017年9月17日

血液サラサラのおくすりで脳内出血が急成長する


Ultra-early hematoma growth in antithrombotic pretreated patients with intracerebral hemorrhage.
2017  9月  スペイン

抗凝固薬が脳内出血の血腫増大におよぼす影響についてはよく研究されているいっぽう、抗血小板薬のそれについては じつはよくわかっていない。

そこで、抗血栓薬治療の有無と脳内出血の予後におおきく関係する「超早期の血腫増大」との関連をくわしくしらべてみたそうな。


発症時刻のあきらかな脳内出血患者について最初のCTまでの時間(h)で血腫体積(mL)を割った値を「超早期血腫増大(uHG)」と定義した。

発症前の抗血小板薬、抗凝固薬の使用の有無と、24時間、3ヶ月後の死亡率との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・197人の脳内出血患者のうち25.4%が抗血小板薬(おもにアスピリン)、18.8%が抗凝固薬を使用していた。

・uHGの中央値は、抗血小板薬使用者で19.7mL/h、抗凝固薬使用者では16.2mL/h、非使用者は8.4mL/h だった。

・uHGは 24時間死亡者では42.1mL/h 、3ヶ月死亡者は28.0mL/hで、生存者の3.9mL/hよりずっと高かった。

・脳内出血の重症度や元の状態を考慮に入れるとuHGは3ヶ月以内に死亡するあきらかな要因の1つだった。

抗血栓薬治療をうけていた脳内出血患者の超早期血腫増大スピードは非常におおきく、高死亡率の理由と考えられた、


というおはなし。
図:抗血栓療法の脳内出血の血腫増大スピードと死亡

感想:

上の表、脳内出血死亡患者にしめる「血液サラサラのおくすり」使用者が20/24=8割って高すぎね?
脳内出血の半数以上が抗血栓薬を使っていた

[抗血小板薬 脳内出血]の関連記事

2017年9月16日

脳卒中のあとのむずむず脚症候群と生活の質


Restless legs syndrome after high-risk TIA and minor stroke: association with reduced quality of life.
2017  9月  カナダ

むずむず脚症候群は西洋人の3.2-11.1%にみられ とくに女性と高齢者におおい。

脳卒中など心血管疾患との関連が数多く報告されており、大脳基底核や脳幹部の梗塞患者におきやすいとされる。

脳卒中後のむずむず脚症候群と生活の質(QoL)との関連についての研究はないので しらべてみたそうな。


軽い脳卒中またはTIAの発症から14日以内の患者94人について、むずむず脚症候群の有無およびQoLを6ヶ月間ほどフォローしたところ、


次のことがわかった。
・23人(24.4%)がむずむず脚症候群(RLS)と診断された。

・11人はあらたにRLSになり、12人は脳卒中まえからRLSだった。

・RLSの脳卒中患者はフォロー期間とおしてQoLが低く、うつ症状もみられた。

・この傾向は機能回復度やうつ症状に依らなかった。

脳卒中後のむずむず脚症候群はめずらしくなく、機能回復度によらず生活の質を低下させた、


というおはなし。
図:脳卒中後のむずむず脚症候群と生活の質

感想:

名前のひびきがおもしろいだけでチヤホヤされている病気だと思う。1日24時間つづく左手足のしびれ感とはきっと比べ物にならないだろう。

[むずむず脚症候群]の関連記事

2017年9月15日

HDLコレステロールが高いと脳内出血


Association of high-density lipoprotein cholesterol concentration with different types of stroke and coronary heart disease: The Japan Public Health Center-based prospective (JPHC) study.
2017  9月  日本

HDLコレステロールはアテローム性動脈硬化を防ぐとされていて、実際 HDLコレステロール値が高いと冠動脈疾患がすくなくなることがわかっている。

しかし脳卒中との関連はあきらかになっていないので、特にアジア人についてしらべてみたそうな。


40-69歳の日本人30736人を15年間ほどフォローした結果、


次のことがわかった。

・この間に296の冠動脈疾患と1712の脳卒中が起きた。

・HDLコレステロール値が低いと男女ともに冠動脈疾患になりやすかった。

・同様に HDLコレステロール値が低い男性は脳卒中リスクがやや上昇し、

・特にラクナ梗塞ではこの傾向が顕著で、男女ともにそのリスクは2倍ちかくになった。

・しかし女性の脳内出血リスクはHDLが高いほど高かった。

HDLコレステロールが高いと冠動脈疾患やラクナ梗塞は減るいっぽう、女性の脳内出血は増えた。HDLコレステロールにはアテローム性動脈硬化を防ぐ以外の働きがあるようだ、


というおはなし。
図:善玉悪玉コレステロール

感想:

HDLって善人のふりした悪者なんだよね、、
悪玉善玉比 L/Hが低いと脳内出血で死ぬことが明らかに

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