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2018年6月28日

下肢装具をやめてしまう理由


The regularity of orthosis use and the reasons for disuse in stroke patients
2018  6月  トルコ

下肢装具は脳卒中患者の歩行リハビリによく用いられる。

下肢装具の使用頻度と使わなくなった理由についてくわしくしらべてみたそうな。


リハビリ病院から退院して6ヶ月以内の 亜急性期脳卒中で下肢装具の処置を受けた男女64人について調査したところ、

2018年6月27日

認知症への準備は5年前からはじまっていた


Increased risk for dementia both before and after stroke: A population-based study in women followed over 44 years
2018  6月  スウェーデン

脳卒中のあとに認知症リスクが高まることが数多く報告されている。いっぽうで発症から5年以降の長期にわたる認知症リスクについての研究はすくない。

さらに、脳卒中以前の認知症リスクを長くにしらべた報告はほとんどない。

そこで 住民を長期にフォローして大規模にしらべてみたそうな。


スウェーデンのヨーテボリの女性1460人を1968年から44年間フォローした研究データを解析したところ、


次のことがわかった。

・この間に362人が脳卒中に、325人が認知症になった。

・脳卒中と認知症の年齢ごとの発症パターンはほぼ同じだった。

・認知症の発症割合は 脳卒中を起こした者に 33.7% vs. 18.5% でおおかった。

・認知症リスクの上昇は脳卒中の5年前に始まっていて、

・脳卒中の1年後がもっともリスクが高く、

・11年以降もリスクが高い状態がつづいた。

認知症リスクは脳卒中の5年前から高まり 11年以降も続いた、


というおはなし。
図:脳卒中前後での認知症リスク

感想:

脳卒中のせいで認知症になるというよりは、認知症になるような人がついでに脳卒中になるんだな。

2018年6月26日

結婚と脳卒中リスク


Marital status and risk of cardiovascular diseases: a systematic review and meta-analysis
2018  6月  イギリス

脳卒中など心血管疾患のリスク要因として 高血圧や喫煙、糖尿病といったもののほかに「結婚ステイタス」が考えられる。

心筋梗塞や脳卒中の予後は 結婚している患者で良いことが報告されているが、将来の心血管疾患リスクとしての結婚ステイタスには一致した見解が得られていない。

そこでこれまでの研究をメタ解析してみたそうな。


結婚ステイタスと心血管疾患にかんするこれまでの研究を厳選し データを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者200万人を含む34の研究が見つかった。

・非婚者の心血管疾患リスクは配偶者がいる者の1.42倍で、

・冠動脈疾患や脳卒中による死亡リスクもあきらかに高かった。

・同様に離婚者では冠動脈疾患リスクが高く、

・パートナーと死別した者については脳卒中リスクのみが高かった。

結婚ステイタスは脳卒中など心血管疾患のなりやすさとその予後に影響していた、


というおはなし。
図:離婚

感想:

これ↓思い出した。

[結婚 離婚 死別]の関連記事

2018年6月25日

4分の1が血栓溶解治療で悪化


Intravenous Thrombolysis May Not Improve Clinical Outcome of Acute Ischemic Stroke Patients Without a Baseline Vessel Occlusion
2018  6月  オーストラリア

血栓溶解治療の薬であるアルテプラーゼは脳梗塞の発症から4.5時間以内であれば有効とされている。

いっぽう脳梗塞患者の39%はCTの血管撮影であきらかな血管閉塞が確認されていないという報告がある。この理由として CT検査時での自然開通、血行動態による脳梗塞、じつは脳卒中でない、などが考えられる。

アルテプラーゼの有効性についてこれまでの研究のおおくは血管閉塞の有無を区別していないので、あらためて血管閉塞していない患者へのアルテプラーゼの効果を検証してみたそうな。


発症から4.5時間以内に入院できた脳梗塞患者でCT血管撮影をしたラクナ梗塞でないタイプ1277人の記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・このうち24%には血管閉塞がみられず、さらにその半数に血栓溶解治療がおこなわれた。

・血管閉塞がみられないのに血栓溶解治療をうけた患者はなにもされなかった患者よりも回復が悪く、

・mRSが0-1に相当する回復良好者の割合は 56% vs. 78.8% とあきらかに少なかった。

血栓溶解治療に適した患者のうち4分の1には血管閉塞がみられず、彼らへの血栓溶解治療により状態がさらに悪化した、


というおはなし。
図:完全塞栓していない患者の血栓溶解療法の予後

感想:

CT血管撮影は注射1本ですぐできる。これ↓わたしのCT脳血管動画。

2018年6月24日

クリッピング手術後の認知障害


Study of Cognitive Impairments Following Clipping of Ruptured Anterior Circulation Aneurysms
2018  6月  インド

これまで破裂脳動脈瘤のクリッピング手術後の認知障害は過小評価されてきた。

そこで どれくらいの患者がこの問題を抱えているのかしらべてみたそうな。


前方循環系の脳動脈瘤破裂でクリッピング手術をうけた患者87人について、
退院後3ヶ月時点での認知機能(記憶、言語流暢性)を評価した。


次のことがわかった。

・特定の文字で始まる単語をできるだけおおく書き出す「音素流暢性」が66%の患者で低下していて、

・56%は記憶関連の障害がおきていた。

・近接記憶の重度障害が7%で、遠隔記憶の重度障害が14%でおきていた。

・前大脳動脈の動脈瘤手術の場合に近接記憶、遠隔記憶へ影響を受ける患者がもっともおおかった。

・どうように前大脳動脈の動脈瘤手術では音素流暢性にあきらかな障害がおきていた。

前方循環系の破裂脳動脈瘤のクリッピング手術のあとの認知障害はめずらしくなかった。とくに前大脳動脈の手術で記憶 言語流暢性の障害がおおきかった、


というおはなし。

図:Anterior Circulation Aneurysms

感想:

さすがは21世紀をリードする超大国 インドの人は目のつけどころがちがう。

2018年6月23日

脳出血のあと降圧薬をやめた患者の末路


Effect of Adherence to Antihypertensive Medication on the Long-Term Outcome After Hemorrhagic Stroke in Korea
2018  6月  韓国

脳内出血やくも膜下出血などの出血性の脳卒中は再発して重症化しやすい。

再発するいちばんの要因は高血圧であり、降圧薬をやめてしまうことがおおきなリスクになる。

そこで、降圧薬の順守率と長期の生存率との関連をしらべてみたそうな。


2002-2013に出血性の脳卒中で入院した高血圧患者について降圧薬の処方記録から服薬順守率をもとめ、
その後の脳卒中の再発や心筋梗塞、総死亡率との関連を解析したところ、


次のようになった。

・脳内出血1354人、くも膜下出血518人の記録を対象とした。

・服薬順守率80%以上の患者割合は、1年後46.8%、3年後43.2%、5年後41.7%だった。

・服薬順守率40%未満が再発や死亡するリスクは高順守率患者の1.80倍だった。

出血性の脳卒中で降圧薬を途中でやめてしまう場合の再発 死亡リスクはあきらかに高かった、


というおはなし。
図:降圧薬の遵守率と生存率

感想:

1年後ですでに半数以上が降圧薬を見限るんだな。

じぶんは降圧薬を完全にやめるのに5年以上かかった。それまでの数年間は2日に1粒飲むとかのペースでだらだらとつづけてた。

やめたら頻尿がビタッととまった。

2018年6月22日

喫煙量と脳動脈瘤の破裂リスク


Number of Cigarettes Smoked Per Day, Smoking Index, and Intracranial Aneurysm Rupture: A Case-Control Study
2018  5月  中国

未破裂の脳動脈瘤は成人の3%ちかくにみつかるという。

脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血は非常に死亡率が高いものの、未破裂の脳動脈瘤が破裂する年間リスクはそれほど高くない。

したがってクリッピングなどの手術を受けるよりも生活習慣から破裂予防に徹する方がメリットが大きいとする考え方もある。

いっぽう 喫煙習慣は脳動脈瘤破裂のあきらかなリスク要因であり、破裂患者の50-60%は喫煙者という報告がある。

喫煙を定量的にあつかった調査は少ないので、1日あたりの本数(CPD:cigarettes smoked per day)と喫煙インデックス(CPD x 喫煙年数)をつかって破裂リスクを評価してみたそうな。


脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血患者127人と、
同性同年齢の未破裂脳動脈瘤をもつ患者254人について喫煙状況を調査し、関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・破裂リスクと喫煙量は相関し、

・現在喫煙者の破裂リスクは非喫煙者の2.3倍、

・CPD20以上のヘビースモーカーでは2.8倍、

・喫煙インデックス800(1日20本40年間相当)以上だと11.4倍だった。

・1年以上吸っていない喫煙経験者のリスクは1.1倍だった。

1日の喫煙量と継続年数が脳動脈瘤の破裂リスクと用量関係にあった。喫煙習慣は改めることができるので禁煙で破裂予防しましょう、


というおはなし。
図:1日の喫煙量とくも膜下出血リスク

感想:

たまたま血管がこぶになっているところをクリップでつまむことを治療と称する考え方には「信念」以上の根拠はないと思っている。

その理由↓

1) 再出血予防のクリッピング手術のRCTは存在しない。(by ガイドライン

2) 入院が遅れるほど死亡率は下がる。

3) もっとも再出血しやすい24時間以内の手術にまったく効果がない。

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