元2025 8月 オランダ
突然カミナリが落ちたように起こる激しい頭痛は、ときに命に関わる重大な病気のサインである。特にくも膜下出血はその代表で、放置すれば致命的になりうる。
しかし、救急外来には頭痛を訴える患者が数多く訪れ、すべてのケースで命に関わる病気を見分けるのは簡単ではない。これまで「突然の激しい頭痛」で受診した患者の実態や診断の精度については十分な調査がなされていなかった。
そこで、ある病院における実際の症例を振り返り、その全体像をくわしくしらべてみたそうな。
元2025 8月 オランダ
元2025 2月 ギリシャ
元2024 3月 スペイン
元2024 3月 アメリカ
元2023 8月 アイルランド
元2023 5月 デンマーク
元2023 2月 中国
元2021 9月 ハンガリー
元2021 9月 ノルウェー
元
Stroke-mimics in stroke-units. Evaluation after changes imposed by randomized trials
2020 2月 フランス
元
Rate and Prognosis of Brain Ischemia in Patients With Lower-Risk Transient or Persistent Minor Neurologic Events
2019 9月 カナダ
・135人(13.5%)がDWIポジティブで急性脳卒中と診断された。
・最終的に、脳卒中の取り消しも含め 308人(30.0%)の診断が覆った。
・これらローリスク患者の1年後再発率は0.7%で非常に低かった。

元
Incidence and Etiologies of Stroke Mimics After Incident Stroke or Transient Ischemic Attack
2019 ノルウェー
・この間に339人で480回の脳卒中類似症状イベントが確認された。
・その頻度は年間1000人あたり58.7回で、再発の頻度34.0回を上回った。
・脳卒中類似症状と再発のリスクは初回脳卒中後1年間がもっとも高かった。
・脳卒中類似症状でもっともおおかった原因は、脳梗塞の後遺症(19.8%)、脳血管障害を疑わせる観察結果(15.6%)、感染症(14.0%)、けいれん発作(9.6%)、めまい(8.3%)、頭痛 片頭痛(7.7%)、失神(7.1%)だった。
・とくに上位2つの原因は初回脳卒中後の1ヶ月間に集中していた。
じつは脳卒中でなかった割合 in Japan
元
Sex Differences in Presentation and Outcome After an Acute Transient or Minor Neurologic Event - Acute Coronary Syndromes
2019 5月 カナダ
・70歳前後の患者1648人を対象とした。
・MRIを撮っていても、女性が脳梗塞と診断される割合は相対比0.88で男性よりも低かった。
・しかし90日時点での再発や死亡のリスクに差はなかった。
・入院時の症状(局在 or 非局在)にあきらかな男女差はなかった。
じつは脳卒中でなかった割合 in Japan
元
Stroke Mimics and Accuracy of Referrals Made by Emergency Department Doctors in Japan for Patients with Suspected Stroke
2019 1月 日本
・71.7%については診断は正しかった。
・残り28.3%の脳卒中類似症状のうち75%はただの精神症状やめまいなど脳の損傷とは関係のないものだった。
・診断ミスの直接の理由として、思い込みがもっともおおく43.8%、問診不十分32.8%、読影知識の不足、検査結果の見落とし、これらの組み合わせ が挙げられた。
急いで病院に行くと脳卒中でもないのに血栓溶解治療されてしまう危険性について
元
Intravenous Thrombolysis May Not Improve Clinical Outcome of Acute Ischemic Stroke Patients Without a Baseline Vessel Occlusion
2018 6月 オーストラリア
・このうち24%には血管閉塞がみられず、さらにその半数に血栓溶解治療がおこなわれた。
・血管閉塞がみられないのに血栓溶解治療をうけた患者はなにもされなかった患者よりも回復が悪く、
・mRSが0-1に相当する回復良好者の割合は 56% vs. 78.8% とあきらかに少なかった。
元
Do efforts to decrease door-to-needle time risk increasing stroke mimic treatment rates?
2015 6月 アメリカ
・この間に "病院到着から血栓溶解療法開始までの時間"は89分→56分に短縮した。
・脳卒中類似症状だった患者の割合は、6.7%→6.7%→12.9%→30.0% と増加した。
元
Safety of Intravenous Thrombolysis in Stroke MimicsProspective 5-Year Study and Comprehensive Meta-Analysis
2015 3月 ギリシャ
・5年間に516人の患者に血栓溶解療法を施した。
・そのうち脳卒中類似症状の患者は75人いた。
・血栓溶解療法後に脳内出血を起こした類似症状患者は1人のみで、舌の血管浮腫事例も無かった。
・ついでに 8942件の血栓溶解治療データを含む9件の過去の論文データを再解析したところ、脳卒中類似症状患者への血栓溶解療法後に脳内出血が起きる割合は0.5%だった。
・類似症状患者が治療後に脳内出血を起こすリスクは明らかに低く、回復も良好だった。
元
Four Year Follow Up of Transient Ischemic Attacks, Strokes, and MimicsA Retrospective Transient Ischemic Attack Clinic Cohort Study
2015 3月 イギリス
・患者の内訳はTIA32%、軽症脳卒中18%、類似症状50%だった。
・その後脳卒中になった者は、TIAの7.1%、軽症脳卒中の10.9%、類似症状の2.0%だった。
・TIAまたは軽症脳卒中患者が90日後に脳卒中になる割合は1.3%だった。
・類似症状者と比べた時の死亡リスクは、TIAで1.7倍、軽症脳卒中で2.2倍だった。
元
Differentiation of true transient ischemic attack versus transient ischemic attack mimics.
2014 7月 イラン
・310人の患者(男性59%、女性41%)がTIAを疑われた。
・そのうち10%の患者がTIA類似症状だった。
・類似症状の患者は本当のTIA患者より14歳ほど年齢が若かった。
・本当のTIA患者には高血圧、失語、症状の継続、高齢といった特徴があった。
・TIA類似症状の主な原因は片頭痛だった。
・麻痺、感覚障害、片目が見えなくなるなどの症状では類似症状との区別がつかなかった。
高齢者の脳卒中のうち13%は脳卒中ではなかった
『妻が脳卒中に... orz』、医師『ただの偏頭痛でした』
元
Stroke Mimics under the Drip-and-Ship Paradigm.
2013 8月 アメリカ
・20人(16.7%)は最終的に脳卒中類似症状と診断され、すぐに退院した。
・このうち14人はヒステリー、6人はけいれん発作、片頭痛、低血糖だった。
・彼らは若く、精神疾患のあるものが多かった。
・脳卒中類似症状の20人のうち18人(90%)はtPAを注射された。
・この割合は、一般の急性脳梗塞患者のtPA注射率(65%)よりも高かった。
・tPAを打たれた脳卒中類似症状患者に出血などの合併症はなく、すぐに全員自宅へ帰った。
・搬送まえにtPAを打たれた患者83人のうち実に18人(21.7%)が脳卒中類似症状患者であり、一方 基幹病院でのその割合は5.4%に過ぎなかった。