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2018年7月21日

脳幹梗塞のデフォルト・モード・ネットワーク


Decreased functional connectivity within the default-mode network in acute brainstem ischemic stroke
2018  7月  中国

脳幹部の梗塞患者には認知障害がおおいと言われている。

いっぽうMRIで安静時の脳画像を時系列的に撮影したときに0.1ヘルツ未満の信号強度変化が観測される。この信号変化と脳の各部位との関係性の一部をデフォルトモードネットワーク(DMN)と呼ぶ。これまでDMNの結合性低下と認知障害との関連がいくつも報告されている。

そこで、脳幹梗塞患者のDMNと関連要因についてしらべてみたそうな。


急性脳幹梗塞の患者21人と健常者25人について安静時MRI撮影を行い、independent component analysis (ICA)でDMNを検出した。

DMNの機能結合性と臨床パラメータとの関連を解析したところ、


次のようになった。

・脳幹梗塞患者では右内側前頭前皮質および右楔前部の機能結合性が低下していた。

・脳幹梗塞患者でのこの機能結合性の低下は 高ホモシステインレベルとあきらかな関連をしめしていた。

脳幹梗塞でのデフォルトモードネットワークの機能結合性の低下はホモシステインレベルの上昇と関連していた。これは脳幹梗塞と認知障害についての神経病理的プロセスを反映しているのかも、、


というおはなし。
図:脳幹梗塞のデフォルト・モード・ネットワーク

感想:

なにも考えずに寝ているだけの脳活動から 「ボケ」がわかっちゃうのがDMN。

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2018年7月20日

復職から7-8年後の感想


Experiences of returning to work and maintaining work 7 to 8 years after a stroke: a qualitative interview study in Sweden
2018  7月  スウェーデン

脳卒中後の復職に影響する要因については これまでおおくの研究がなされてきた。しかし復職から長く仕事をつづけてきた者の経験談をまとめたものは少ないのでしらべてみたそうな。


スウェーデンのヨーテポリ大学病院に2009-2010に脳卒中で入院しその後復職を果たした82人について面談調査を試みたところ、


次のようになった。

・女性5人、男性8人で調査を完了できた。

・全員が復職への強い意志をもち、障害をもちながらも徐々に適応していった。

・障害により失った機能を嘆く気持ちと、ふたたび働ける喜びが入り混じっていた。

・復職後7-8年たったのちもほとんどが後遺症によるなんらかの制限を経験していた。

・疲労や認知機能障害により仕事を減らしたり休憩しなければならない状況がうまれ、自由時間はいつもぐったりとしていた。

・症状の悪化と再発のおそれから仕事上のストレスをできるだけ避けるようになった。

・仕事を続けるうえで上司や同僚の理解とサポートはなくてはならないものだった。

脳卒中からの復職後、仕事の継続は疲労や認知障害といった目に見えない問題とのたたかいである。ながく続けるには周囲の理解とサポートを得ることが必要、


というおはなし。
図:脳卒中から復職後のなやみ

感想:

上の表みると、集中力、マルチタスク、情報処理、疲労、頭痛、めまい、半身に力が入らない、ってところが解決しない問題なんだよね。

2018年7月19日

閉じ込め症候群に運動させる効果


Effect of Exercise on Physical Recovery of People with Locked-In Syndrome after Stroke: What Do We Know from the Current Evidence? A Systematic Review
2018  7月  中国

閉じ込め症候群は脳幹部の梗塞や出血によっておこることがおおい。

閉じ込め症候群には3つのタイプ、
1)クラシカル型:身体は動かないが垂直眼球運動とまばたきができる状態
2)不完全型:いくつかの自発的な動きができるまで回復した状態
3)完全型:身体も眼球もまったく動かない状態、
がある。

彼らは動かないことにより筋肉の委縮、関節の拘縮化、心肺障害などの合併症をおこしやすい。

そこで彼らに「運動させる」ことの効果をこれまでの報告からまとめてみたそうな。


関連する研究論文を厳選してデータを解析したところ、


次のことがわかった。

・35の事例を含む5つの論文がみつかった。

・このうち26例については身体パフォーマンスになんらかの改善がみられ、9例ではなんの変化もなかった。

・運動の種類や方法は論文ごとにことなり、全例で複数の方法をミックスしたリハビリが行われていた。

・評価方法もそれぞれ異なっていた。

脳卒中で閉じ込め症候群の患者への運動の効果はおおむねポジティブであった。複数の運動方法がミックスされていた。しかしその効果はあきらかではなく、有害事象はなかったものの事例報告ばかりでエビデンスレベルは低かった、


というおはなし。
図:脳卒中で閉じ込め症候群の運動リハビリ

感想:

閉じ込め症候群では意識は清明、それを表現する手段がほとんどないだけで感覚も正常という。

だからうごかない身体を動かすのはリハビリというよりはメンタルヘルス的に重要とおもう。

2018年7月18日

突発性難聴と脳梗塞


Sudden Sensorineural Hearing Loss Predicts Ischemic Stroke: a Longitudinal Follow-Up Study
2018  7月  韓国

突発性難聴患者の脳卒中リスクをくわしくしらべてみたそうな。


韓国の国民健康保険データベースから突発性難聴の患者4944人と性別、年齢、収入、居住地などのいっちする一般の19776人を抽出し、脳出血、脳梗塞、高血圧などの病歴をフォローしたところ、


次のことがわかった。

・脳梗塞は突発性難聴の4.2%、一般人の3.5%にみられ、

・このとき突発性難聴の脳梗塞リスクは1.22倍だった。

・50歳以上に限定するとそのリスクは1.40倍になった。

・脳出血は突発性難聴の0.7%、一般人の0.6%にみられ あきらかなリスク上昇はなかった。

突発性難聴だと脳梗塞リスクが高かった。特に高齢になるとハイリスクになった。脳出血リスクとは関連がなかった、


というおはなし。
図:突発性難聴

感想:

さいきん突発性難聴の脳梗塞が身近なところにいておどろいた。

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2018年7月17日

動作観察刺激と優位脳半球の関係


Laterality of Poststroke Cortical Motor Activity during Action Observation Is Related to Hemispheric Dominance
2018  5月  アメリカ

脳卒中の脳機能イメージングの研究により、損傷脳半球の活動レベルの向上が機能の回復に重要であることがわかってきた。

しかし優位脳半球との関連についてはよくわかっていない。

そこで、動作観察刺激を与えたときの左右脳半球の活動をしらべ優位脳半球と活動の側方性との関連をしらべてみたそうな。


右利きで左脳半球が優位の脳卒中患者で

右脳損傷の12人と
左脳損傷の12人について、
健常者12人とを比較した。

動作観察刺激として左右それぞれの手をつかった動作ビデオを見せたときのfMRIを撮影し、左右脳半球の活動ボクセル数から側方性(laterality index)を求め関連を解析した。


次のことがわかった。

・右脳損傷のとき優位脳半球である左脳の活動が右脳よりもずっとおおきかった。

・この左脳優位状態は、左脳損傷の脳卒中でも同様であり健常者のそれと異なっていた。

動作観察刺激では脳卒中患者の脳活動は損傷脳側よりも優位脳側に偏っていた、


というおはなし。

図:側方性と左右脳損傷 動作観察

感想:

いまいちよくわからない。
左手の動作をみせても左脳にかたよる部位のある不思議ってことか。

2018年7月16日

感覚障害も比例回復則するの?


Is There Full or Proportional Somatosensory Recovery in the Upper Limb After Stroke? Investigating Behavioral Outcome and Neural Correlates
2018  7月  ベルギー

近年、脳卒中で麻痺した上肢の運動機能は リハビリの有無にかかわらずその機能低下ぶんの70%が数ヶ月内に自発的に回復することが確認され、比例回復則(proportional recovery rule)と呼ばれている。

しかし皮質脊髄路の健全性に問題がある患者では このルールに則らない(nonFitter)ことがあると考えられている。

今回、上肢の体性感覚機能についても比例回復則があてはまるものかくわしくしらべてみたそうな。


32人の脳卒中患者について発症から4日、7日、6ヶ月後の感覚機能をEm-NSA(Erasmus MC modification of the revised Nottingham Sensory Assessment)で評価した。

Em-NSAでは、体性感覚機能を
1)感覚の有無
2)シャープさや鈍さを受動的に識別する能力(パッシブ処理)
3)感覚を統合して立体物を能動的に識別する能力(アクティブ処理)
にわけて評価した。

また、MRIを使って視床-皮質、島-弁蓋路の病変量を測定し関連を解析したところ、


次のようになった。

・上肢運動機能には比例回復則がみられ、nonFitterグループも確認できた。

・上肢の体性感覚は6ヶ月後にはほぼ全員が回復していた。

・パッシブおよびアクティブ感覚処理には比例回復則が確認でき、それぞれ86%、69%が自発的に回復した。

・4,7日時点で感覚障害のあった患者には視床-皮質、島-弁蓋路の病変量がおおきかった。

今回のサンプルでは全員がはやくに体性感覚を取り戻したが、パッシブおよびアクティブ感覚処理の回復は比例回復則にしたがっていた、


というおはなし。
図:比例回復則 上肢の運動機能と体性感覚

感想:

たしかに今も左腕の感覚は弱いものの、まったくの「ゼロ」だった期間は短く数週間だったよ。

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2018年7月15日

片麻痺が速くターンできる方向は


Effect of turning direction on Timed Up and Go test results in stroke patients
2018  7月  韓国

脳卒中で片麻痺の患者では 歩行中の方向転換動作で転倒リスクが高くなる。

タイムアップアンドゴー(TUG)テストは方向転換動作をふくむため歩行能力にくわえバランス能力の評価にも用いられている。

そこで方向転換の際に麻痺している側と健常な側のどちらに廻り込むのがたやすいのか、TUGテストでしらべてみたそうな。

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