~ 5000超の記事をシンプルな単語で検索するよ!

2018年11月28日

家族歴 父 母 兄弟 リスク最強は?


Different Types of Family History of Stroke and Stroke Risk- Results Based on 655,552 Individuals
2018  11月  中国

家族歴は脳卒中リスクのおおきな要因の1つである。2004年のメタアナリシスでは家族歴があると脳卒中リスクが30%高くなることはあきらかになった。

その家族の内訳が父方、母方、兄弟でどれがいちばんハイリスクなのかについては調査により結論がことなっている。

そこでこれまでの研究をまとめてみたそうな。


1990-2017の関係する研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のようになった。

・被験者655552人を含む16の研究がみつかった。

・年齢、性別、他の関連要因で調整した脳卒中相対リスクは、父方で1.40、母方が1.36、兄弟1.44だった。

・コホート研究に限定して解析すると、相対リスクはそれぞれ、1.33、1.28、1.24で、

・サンプル数のおおきな研究に限定すると、それぞれ、1.30、1.30、1.26となった。
父方、母方、兄弟の脳卒中歴があるといずれも脳卒中リスクは高くなりそれぞれのあきらかな差は認められなかった、


というおはなし。

図:脳卒中の家族歴と相対リスク

感想:

じぶんは maternal history が豊富。

2018年11月27日

運動イメージ訓練に適した時間の長さ


Does the duration of motor imagery affect the excitability of spinal anterior horn cells?
2018  11月  日本

実際の運動をしなくても頭のなかで動作を思い描くだけで脳の関連領域が活性化し、神経伝達路の興奮性がたかまることが報告されている。これは運動イメージ訓練とも呼ばれ脳卒中患者のリハビリにも用いられている。

運動イメージ訓練のもっとも効果てきな時間については報告によりことなる。20年前のメタアナリシスによると、長ければ良いというわけでもなく20分程度が適当と結論している。

そこで、末梢神経を電気刺激したときに脊髄前角で返ってくるF波の観点から運動イメージ訓練に適した時間をしらべてみたそうな。


健常者11人について、左腕の正中神経を刺激して運動イメージ中のF波を測定した。

この間、母指球筋に力を込めるイメージを5分間継続した。


次のことがわかった。

・運動イメージ開始1分から3分後のF波はあきらかに増強していた。

・5分後にはそのレベルは低下し、主観的なイメージの質も大きく低下した。

運動イメージ訓練の継続時間は1-3分が適当であろう、


というおはなし。

図:

感想:

これは同感。具体的にイメージするほど頭がハンパなく疲れる。

2018年11月26日

日本人の脳梗塞とむずむず脚症候群


Restless legs syndrome and its variants in acute ischemic stroke
2018  11月  日本

日本でのむずむず脚症候群の有病率は1.8%で欧米の7-10%にくらべ低い。また、むずむず脚症候群は脳卒中との関連が疑われてもいる。

そこで日本人の脳梗塞患者についてむずむず脚症候群との関連をくわしくしらべてみたそうな。


急性脳梗塞患者104人について、

むずむず脚症候群とその変異型(脚以外の部位のむずむず)の有無と脳の損傷位置を確認したところ、


次のようになった。

・計8人(7.7%)が該当した。(2人は変異型)

・脳卒中のあとに発症した者は3人で、脳卒中の2日以内に症状がでていた。

・脳卒中まえから症状がでていた者の40%は脳卒中後に症状が悪化していた。

・むずむず脚症候群では寝付きが悪かったが、日中の眠気、合併症や回復度に差はなかった。

・脳の損傷部位は延髄(25%)、橋(15.4%)、放射冠(14.8%)、基底核(3.8%)の順におおかった。

むずむず脚症候群は急性脳梗塞患者の8%にみられた、


というおはなし。

図:むずむず脚症候群


感想:

名前のひびきがおもしろいだけでチヤホヤされている病気。深刻さがまったく感じられない。

[むずむず脚症候群]の関連記事

2018年11月25日

マグネシウムと脳卒中後の認知障害


Low levels of serum magnesium are associated with poststroke cognitive impairment in ischemic stroke patients
2018  11月  中国

脳卒中後の認知障害はリスク要因として年齢や性別が挙げられるがこれらは対策のしようがない。

いっぽう急性脳梗塞患者では血中のマグネシウム濃度のあきらかな低下と回復不良との関連が報告されている。

動物実験でマグネシウムが学習や記憶力の改善効果をしめすことから脳卒中患者の認知機能にも関係していることが推測できる。

そこで、脳卒中後の認知障害と血中マグネシウム濃度との関連をくわしくしらべてみたそうな。


急性脳梗塞患者327人の入院時の血中マグネシウム濃度と、1ヶ月後の認知症検査(MMSE)スコアとの関連を解析したところ、


次のようになった。

・1ヶ月後32.1%の患者が認知障害と診断された。

・認知障害グループも非認知障害グループいずれも健常者よりもマグネシウム濃度があきらかに低かった。

・さらに認知障害グループは非認知障害グループよりもマグネシウム濃度がひくかった。

・マグネシウム濃度が0.82mmol/L以下だと認知障害になるリスクが高齢者と同様に高かった。
脳梗塞患者のうち入院時の血中マグネシウム濃度が低い者は1ヶ月後に認知障害になりやすかった、


というおはなし。

図:マグネシウムと脳卒中後の認知障害


感想:

マグネシウムは葉緑素を多く含むほうれん草などに多く、スパイスやナッツ、豆、ココア、全粒穀物にも含まれる。

これ↓おもいだした。
マグネシウムが少ないと脳動脈瘤が破裂する?

マグネシウムと脳卒中後うつ

食事から摂るマグネシウムの脳卒中予防効果

2018年11月24日

仕事での運動は脳卒中予防になる?


Occupational and leisure-time physical activity differentially predict 6-year incidence of stroke and transient ischemic attack in women
2018  11月  アメリカ

余暇時間の強い運動で心血管疾患リスクが低下することはあきらかになっている。

いっぽう仕事での運動強度と心血管疾患リスクとの関連はかならずしもあきらかでなく、最近のレビューでは仕事の運動強度が高いほど心血管疾患になりやすいという結論がでている。

これらの研究はおもに男性についてのもので、女性を対象とした調査はほとんどない。

そこで、仕事の運動強度と脳卒中やTIAとの関連を女性についてくわしくしらべてみたそうな。


35-74歳の女性31270人についてアンケートをとり、
仕事の運動強度を6段階に分類した。

脳卒中やTIAの発生を約6年間フォローして関連を解析したところ、


次のようになった。

・この間に 脳卒中441件、TIA274件があった。

・現在の仕事またはこれまででもっと長く勤めた仕事の運動強度が高いほど、立ち時間が長いほど脳卒中やTIAのリスクが高かった。

・ほとんど座っている仕事にくらべ現在仕事の運動強度が高いとTIAリスクが1.57倍で、

・もっとも長く勤めた仕事の強度が高いと脳卒中リスクは1.44倍だった。

・心血管疾患の既往のある者のリスクは座り仕事でも立ち仕事でも2倍近かった。

・余暇時間の運動強度は逆相関にあった。

女性は仕事での運動強度が高いほど脳卒中やTIAのリスクが高かった。心血管疾患の既往がある場合リスクはさらに高かった。いっぽう余暇時間の運動はリスク低下になった、


というおはなし。

図:仕事の運動強度レベル6つ

感想:

仕事ではじぶんのすきなタイミングでやすみを入れられず疲れきってしまう。そのけっか炎症がすすみ ついにはアテローム性動脈硬化になるから、っていってる。
ランセット誌:通勤や家事は脳卒中予防にならないの?

2018年11月23日

ビタミンEの脳卒中予防効果は?


Vitamin E intake and risk of stroke- a meta-analysis
2018  11月  中国

さいきんのメタアナリシスではビタミンEサプリメントは脳卒中予防に効果なしと結論がでている。
しかしこれらの研究で用いられたビタミンEは量がおおく調査期間も短かった。

食事から摂るビタミンEについても脳卒中との関連は調査によって異なっている。

そこで食事から摂るビタミンEと脳卒中との関連をメタアナリシスしてみたそうな。


関係する研究報告を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・3156の論文から9の研究(脳卒中3284件、被験者220371人を含む)を選んだ。

・ビタミンEの摂取量がおおいほど脳卒中リスクはさがった。とくにフォロー期間10年未満のグループで顕著だった。

・この関連は非線形で、どれか1つの研究を除いても結論は変わらなかった。

・脳出血リスクの上昇はなかった。

食事から摂るビタミンEと脳卒中リスクは逆相関にあり、おおく摂るとリスクは下がった、


というおはなし。

図:


感想:

だいぶんまえだけどこういう↓報告があった。
ビタミンEサプリで脳出血リクスアップ!

追記:

栄養素つながりで。

数日前のためしてガッテンで「エゴマ油の心血管疾患予防効果」が話題になった。翌日スーパーからエゴマ油が姿を消したという。

エゴマ油はω3脂肪酸であるαリノレン酸を多く含みシソ油ともよばれ、亜麻仁(アマニ)油も成分はおなじ。

ω3脂肪酸を多く含む魚油サプリメントをつかった最新の大規模実験では、、、↓
NEJM誌:魚油サプリメントの脳卒中予防効果
エゴマ油は予防ではなく脳ダメージの回復によいようだ。↓
これまでの[関連記事]

2018年11月22日

脳梗塞の回復不良と関係の深い遺伝子を特定


PATJ Low Frequency Variants Are Associated with Worse Ischemic Stroke Functional Outcome- A Genome-Wide Meta-Analysis - Circulation Research
2018  11月  スペイン

脳梗塞の予後は神経症状の重さや脳梗塞の種類、その他血管リスク要因を考慮にいれても個人によってかなりことなる。

その回復には遺伝的な要因も考えられるが どの遺伝子が関与しているのかは未だあきらかになっていない。

そこで、DNA配列1文字ぶんの変異(SNP)と疾病との関連を調査する「ゲノムワイド関連解析」のデータをつかって脳梗塞の回復に関係する遺伝子をさがしてみたそうな。

ご意見 ご感想はこちら

名前

メール *

メッセージ *