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2013年10月31日

医師「頭の血管が狭くなってますねぇ ステントを入れる手術をすると長生きできますよぉ」患者「遠慮します」


Stroke prevention surgery less effective than meds, lifestyle change
2013  10月  アメリカ

脳の血管が狭くなって脳卒中やTIAを何度か起こした患者にはステントを置いて血管を拡げる手術を行うことができる。

このステント治療の効果を検証してみたそうな。


脳内に狭窄度70%以上の血管がありこれまでに脳卒中やTIAを何度も繰り返している患者451人について、ステント留置グループ、ステント無しグループに分けてその後の再発を追跡調査(SAMMPRIS試験)した。

両グループ共に、抗血栓薬の投与と、運動、禁煙、食事といった生活改善指導を行った。


次のようになった。

・2年後、脳卒中の再発はステントなしグループではるかに少なかった。

・計画ではもっと長く追跡調査する予定だったが、あまりに明らかな結果だったのですでに2年前に実験を中止した。


脳内ステントによる脳卒中予防はまったく効果がないばかりか非常に危険であることが明らかになった、


というおはなし。


写真:脳内ステント



2013年10月30日

ビタミンB12が不足すると脳がたいへんなことになるらしい


Vitamin B12 and progression of white matter lesions. A 2-year follow-up study in first-ever lacunar stroke patients.
2013  10月  オランダ

脳室周囲の白質病変は血中ビタミンB12濃度と関連があるとされている。
そこでビタミンB12が不足すると大脳白質病変が進行するのか調べてみたそうな。


ラクナ梗塞の患者107人についてビタミンB12の血中濃度、脳のMRIを2年間追跡調査した結果、


次のようになった。

・脳室周辺の白質病変が進行した患者は進行しなかった患者に比べ、ビタミンB12欠乏症が多かった。

・低ビタミンB12濃度と脳室周辺の白質病変の進行とは関連があった。

・血中ビタミンB12濃度は深部白質病変の進行と関連はなかった。


ラクナ脳梗塞患者の脳室周辺白質病変の進行は、血中ビタミンB12が低い状態と関連があった。ビタミンB12サプリメントでこれが防げるかどうかは不明、


というおはなし。


脳室周辺白質病変ってこんな感じ
写真:白質病変



感想:

実はコレ、 微妙にあるんだ。

全然心配してないけどね。



2013年10月29日

tDCSはリハビリの役に立ちそうなのかい?


Transcranial direct current stimulation (tDCS): Does it have merit in stroke rehabilitation? A systematic review.
2013  10月  オーストラリア

経頭蓋直流電気刺激(tDCS)の効果について過去の研究を見なおしてみたそうな。


厳選した結果、15件、被験者計315人ぶんの研究データが見つかった。

これらのデータを統合し再解析したところ、


次のようになった。

・病側脳にプラス極、健常側にマイナス極または両側脳同時刺激のtDCSすべてについて、直後の運動機能測定では、偽刺激に比べ統計的に有意な改善効果は見られなかった。

・しかし脳卒中の特徴別に限定すると、慢性期患者および軽症、中程度の障害患者では大きな改善効果が確認出来た。


tDCSは患者を選べば一時的な改善効果を得ることが出来そうである。しかし刺激方法が具体的に定まっていないことや脳卒中の状態にもいろいろあることから実用への道のりは遠い、


というおはなし。



2013年10月28日

脳卒中でPTSDになりやすい人 なりにくい人


Correlates of Post-traumatic Stress Disorder in Stroke Survivors.
2013  10月  アメリカ

心的外傷後ストレス障害(PTSD)は命に関わるような事故や病気のあとに起きやすい。

そこで脳卒中とPTSDとの関連を調べてみたそうな。


発症5年以内の脳卒中経験者535人についてPTSD判定テストを行った。このスコアが50以上だとPTSDである可能性が高い。また、関連要因も解析した。


次のようになった。

・95人、18%がスコア50以上だった。平均スコアは35。

・低収入、脳卒中の再発、障害の悪化、合併症の増加がPTSDと関連があった。

・高齢、既婚、相談相手がいるとPTSDになりにくかった。

・PTSDの可能性の高い人は身体的、精神的に健康状態が良くなかった。


脳卒中によるPTSDは年齢が若く、再発、重い障害や合併症があるとなりやすい。社会的なサポートには予防効果があるので早めに手を打ちたいものである、


というおはなし。

2013年10月27日

難しい理屈やマッサージはあとにしてくれ 患者さんは歩きたいんだぞo(`ω´*)o


A mapping study on physical activity in stroke rehabilitation: Establishing the baseline.
2013  10月  スウェーデン

脳卒中になって間もない患者の身体活動状況を調べてみたそうな。


発症7日以上経過している平均年齢70の脳卒中入院患者104人について、ある平日の8:00-17:00の身体活動内容を10分刻みで記録した。


次のようになった。

・患者は概ね発症後20日ほど経過していた。

・患者は8:00-17:00の52%の時間を1人で過ごしていた。

・そして7%の時間が立っているまたは歩いている状態だった。

・PTと一緒にいる時間の43%は立位/歩行状態だった。

・立位/歩行状態にいる時間が長いほど、歩行自立度が向上した。

・また、年齢が高くなるほど立位/歩行状態にある時間が減った。


脳卒中患者の身体活動レベルは低い。もっともっと活動させることで自立を促すことのできる余地がたっぷりあることがわかった、


というおはなし。

写真:PTと一緒

感想:

逆の見方をすれば
PTと一緒にいてさえ そのうち6割の時間は座ってるか寝てるってこと。


なるほどそのとおりで、
1コマ40分のなかでマッサージとか姿勢のチェックみたいなことが延々と続いて、

けっきょく歩く時間は15分とか よくあった。



2013年10月26日

TIAで片目が見えなくなることがあるらしい


Features of Patients with Transient Monocular Blindness: A Multicenter Retrospective Study in Japan.
2013  10月  日本

一時的に片目が見えなくなる一過性単眼盲はTIA(一過性脳虚血発作)と関連があると言われている。
日本人について実際のとこどうなのか、調べてみたそうな。


13の施設での発症7日以内のTIA患者のデータ444件を調査した結果、


次のようになった。

・13人、2.9%が一過性単眼盲だった。

・一過性単眼盲の患者は脳卒中センターへの到着が遅れがちだった。

・一過性単眼盲の患者は頸動脈の狭窄がありがちだった。


一過性単眼盲はTIA患者によくある症状ではなかった、


というおはなし。

2013年10月25日

世界的に若者の脳卒中が増えている原因とは


World faces looming stroke epidemic, health experts warn
2013  10月  イギリス

世界的に若年者の脳卒中が増えているそうな。
・世界の脳卒中の3分の1は20-64歳に起きていて、

・この年齢層の脳卒中は、最近の20年間で25%増加した。
さらに、
・世界全体での総死亡率は低下傾向にあるものの、

・高所得国に比べ中低所得国の脳卒中死亡者数は10倍にのぼり、

・2030年までに脳卒中で早死したり障害を負う人は現在の2倍になるだろう。
イギリスでは、
・貧困地域の住人は富裕層地域に比べ脳卒中死亡率が3倍にのぼる。
・貧困格差によるこの傾向は世界的なものでもある。

・肥満、糖尿、高血圧の増加が原因と考えられる。

ついでに、
・世界の脳卒中死亡者の半数以上、脳卒中障害者のほとんどは脳出血の結果であり、主に高血圧が原因である。

先進国での脳卒中予防活動が一定の成果を上げてはいるものの、世界人口が増加しているので、若者を含め脳卒中人口が増えるのは仕方のないところでもある。

低所得国向けの啓蒙活動が期待される、


というおはなし。

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