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2011年10月8日

1月の憂うつな月曜日には脳卒中に注意


Seasonal and Weekly Patterns of Occurrence of Acute Cardiovascular Diseases: Does a Gender Difference Exist?
2011  10月  イタリア



脳卒中や心筋梗塞などの発症は季節や曜日などと

関連があると言われている。

この関連に、性別も影響するかどうかを調べたそうな。



・季節について:

13万人あまりの心血管系患者について調べたところ、

発症ピークの季節は1月 冬、性別による違いはなかった。


・曜日について:

16万人あまりの患者について、

そのピークは月曜日、性別の違いはなかった。




心血管系疾患の季節、曜日による違いは

性別とは関連がなかった、


というおはなし。





感想:

以前、3月に脳卒中が多いというはなしがあった。



でもなぜか月曜日は共通している。


サザエさん症候群と関連があるかも知れない。

写真:サザエさん症候群

2011年10月7日

触覚麻痺はセルフタッチで改善する


The role of self-touch in somatosensory and body representation disorders after stroke.
2011  10月  オランダ



体性感覚の障害は脳卒中患者の約半分が経験する。

これらの障害は、単に触覚の鈍さ や

物や自身の体への認識低下までさまざまである。

そこで、セルフタッチ(自分で自分に触れる)による体性感覚への影響を調べたそうな。


セルフタッチの研究は多くないながらも、

健常人ではセルフタッチが身体表象

(Body Representation:自分の身体の具体的なイメージ)に

影響を与えることがわかっている。


脳卒中で四肢不一致症や片麻痺憎悪になった患者に

セルフタッチの身体表象への影響について聞き取りした結果、

身体保持感覚を得るまでの時間はさまざまだった。


セルフタッチは身体保持感覚の低下を改善し、

身体表象を再獲得するための助けになるかも知れないことがわかった、


というおはなし。
図:セルフタッチと身体表象

感想:

なんとなくわかるような気がする。

自分も左手足の触覚がほとんど無い。


触覚の正常な右手で左の手や腕、脚などに触れると右手の平 表面に生じた触覚があたかも感覚の麻痺した左手足の側に生じたような錯覚を起こす。

これが触覚を取り戻した気持ちにさせるためなのか、とても心地が良いのである。

2011年10月6日

認知障害への作業療法の効果は不明


The Cochrane review of occupational therapy for cognitive impairment in stroke patients.
2011  9月  オーストラリア




脳卒中後の認知障害にたいする

作業療法の効果について再検証したそうな。



様々な論文データベースを検索して

信頼のおけそうな研究のみを厳選した。



1639件の検索結果から

17件の論文を抽出し、さらに精査したところ、

1件の研究論文のみが残った。



これは認知障害への

作業療法のポジティブな効果を示すものではなかった。

また 被験者数も少ない(33人)ことから

その有効性について結論を出すには至らなかった。




作業療法の効果を検証できる

規模の大きいちゃんとした研究が必要、


というおはなし。







感想:

発症後間もない脳卒中患者ができることは とても少ない。

だから作業療法は貴重な 楽しい暇つぶしの時間でもある。



効率やエビデンスばかり求めていると人との関係がギスギスしてくる。


こういう仕事があってもイイんじゃないかな と思う今日この頃。



写真:作業療法

2011年10月5日

脳卒中 縮む余命は 約10年


Premature mortality due to stroke and trend in stroke mortality in Japan (1980-2005).
2011  10月  日本

日本人の脳卒中による損失生存年数を調べたそうな。


1980-2005の脳卒中死亡率をWHOデータベースから取得し解析した。


この間、脳卒中死亡率は男性で68%、女性が74% 低下した。

年毎の損失生存年数平均値
(ある健康リスク要因が短縮させる余命年数)は、

以下のとおりだった。


男性
1980→20.6
1995→11.2
2005→11.7


女性
1980→19.4
1995→10.5
2005→10.5



というおはなし。

図:脳卒中患者の余命男女



感想:

意外に少ない と感じた。

たとえ脳卒中で死んだとしても、すでに十分に長生きしている人が多い、ってことなんだと思う。

2011年10月4日

HALを片麻痺患者の歩行訓練に使ってみた


Efficacy of a hybrid assistive limb in post-stroke hemiplegic patients: a preliminary report.
2011  9月  日本



ロボットスーツHALを使った脳卒中片麻痺患者の

歩行訓練効果を調べたそうな。




16人の片麻痺患者で試したところ、

12人がHAL装着後歩行スピードが

著しく低下した。




HALで効果を得るためには

事前にある程度歩行ができるようになっている

必要があることがわかった。




もうちょっと研究すれば

HALが歩行リハビリに役立つようになるかも知れない、


というおはなし。








感想:

このリハビリ手法の目的は、

片麻痺患者の歩行をHALがアシストして

たくさん歩行できる機会を作り、

それが神経の可塑性を促して、

やがては自力で歩行できるようになること

を期待する点にある  と考える。




ところが現実は、

患者側にHALに対する非常に高い順応力が求められる。



その歩行は危なっかしくて理学療法士が

常に付きっきりでいなくてはならない。


この状況は簡単には改善されないと思う。





手すりでも付けたトレッドミル訓練の方が

患者を選ばず、安全性も高く、療法士の負担も軽く、


多くの点ではるかに ずっと優れているだろう。




追記:

HALリハビリ 期待外れだった

2011年10月3日

いつも満腹食べていると、治る脳梗塞も治らなくなる


Calorie restriction and stroke.
2011  9月  オーストラリア




動物実験では、食事のカロリー制限や断食によって

寿命が伸びたり病気にかかりにくくなったりすることが知られている。


脳梗塞患者へのカロリー制限がもたらす影響について考えてみたそうな。




マウスの実験では、

脳梗塞前のカロリー制限によって

神経保護を促すタンパク質やホルモンの増加が見られ、


結果として脳組織への白血球の侵入やグリア化を防ぐことができ、

脳細胞の壊死を抑えることができた。


ただしこの効果は高齢になるほど小さくなった。





食事のカロリー制限が脳梗塞治療に

活かせるようになる日が来るかもしれない、


というおはなし。





感想:

病院食の量が少なくて

いつもお腹が空いていたのにもわけがあった。

なるほど。




写真:脳梗塞のカロリー制限効果

2011年10月2日

“元気・やる気”がリハビリテーションによる運動機能回復と関連することを脳科学的に証明


“元気・やる気”がリハビリテーションによる運動機能回復と
関連することを脳科学的に証明

2011  9月  日本



神経損傷後のうつ症状が運動機能回復の妨げになっていたことを、

サルを使った実験で明らかにすることが目的。



脊髄損傷後のサルの脳を調べたところ、

やる気を司る部位と、運動機能を司る部位との間に

強い関連が見られた、とのこと。




神経損傷後の運動リハビリには、

やる気を維持するための心のサポートが必要であろう、



という ありがたいお話。






感想:

科学の進歩は凄まじい。

いつの間にかサルの 気持ち までわかるようになっている。



動物愛護団体の思うツボと思う。





そのうちサルが市民権を得るようになって…
写真:サルの気持ち

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