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2016年8月25日

脳卒中のサインはFASTだけではなかった!


Delays in the presentation to stroke services of patients with transient ischaemic attack and minor stroke.
2016  8月  イギリス

TIA(一過性脳虚血発作)や軽微な脳卒中で病院にかかった人たちの 症状があってから病院までの過程を調べてみたそうな。


150人の患者にアンケートしたところ、


次のことがわかった。

・34%はすでにTIAの経験があり、23%は病院へゆくまでの5日以前に症状があった。

・30%は急な視力の低下を経験していたが、多くは脳の問題とは考えなかった。

・61%は症状から1日以上経ってから病院へ行った。

・59%は脳卒中とは思っていなかった。

・36%は脳卒中の初期症状FAST(Face, Arm, Speech, Time)について知らなかった。

TIAや軽微な脳卒中患者の3分の2は 脳卒中の認識がなく、初期症状についての知識もなかった。また3分の1は急な視力の低下を理由に病院を訪れた。脳卒中の初期症状リストに目の症状を加えてFASTER (Face, Arm, Speech, Time, Eyes, React)にしたほうがいいのでは、、


というおはなし。



感想:

じつは脳卒中やってから 風呂あがりに頭を左に傾けると視界全体でなにも見えなくなる。再現性は9割。頭を起こすとなおる。
なにか通じるものがあるんだろね。

2016年8月24日

脳梗塞の出血性変化ってよくあるの?


Haemorrhagic transformation in ischaemic stroke is more frequent than clinically suspected - A neuropathological study.
2016  8月  ハンガリー

脳梗塞をきっかけに脳内出血に至る出血性変化(出血性脳梗塞)の診断は主にCTに頼っている。これがどのていどあてになるのか、死亡した患者の脳を解剖して確かめてみたそうな。


100人分の解剖サンプルを再検証したところ、


次のことがわかった。

・64人(平均年齢62)は 入院時に急性脳梗塞と診断された。

・このうち10人(16%)にはCTで出血性変化が確認されていた。

・解剖により24人(38%)にあらたに出血性変化がみつかった。

・やや大きめの出血性変化のほとんどは血栓溶解治療を受けた患者だった。

脳梗塞の出血性変化の頻度は思っていた以上で、一生気付かれないものも少なくなかった。これらは解剖すればわかるけど せめて退院の直前にCTを撮ってはどうだろう、


というおはなし。




感想:

もう5年以上 CTのたぐい 撮ってない。このまま知らぬが仏でいたいんだ。
脳梗塞から脳出血へ コレステロールとの関連が明らかに

2016年8月23日

左右脳卒中の違いで入院後の扱いに差はあるのだろうか


Stroke Laterality Bias in the Management of Acute Ischemic Stroke.
2016  8月  アイルランド

脳卒中が右脳か左脳かで入院後の扱いに差がでるものなのか確かめてみたそうな。


平均年齢73、左脳梗塞の71人と右脳梗塞の70人の入院患者について、

入院までの時間、CT撮るまでの時間、脳卒中専門病棟へ移されるまでの時間、生存率などを調べ左右損傷脳との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・発症から入院までの時間とCT撮るまでの時間に損傷脳の左右で差はなかった。

・入院してから脳卒中専門病棟へ移されるまでの時間は、右脳損傷患者のほうが左脳患者よりも平均14時間長かった。

・10年間の生存率に差はなかった。

神経症状が軽く非優位脳が損傷した急性脳梗塞患者は、脳卒中専門病棟への移送が遅れがちである、


というおはなし。

図:脳卒中左右脳で専門病棟までの時間の違い


感想:

CT撮ってなお 左脳患者のほうが医師には重症そうに見えるってことか、

気丈に振る舞ってはいかんね。

2016年8月22日

脳卒中予防に最適なチーズの量がわかった


Cheese consumption and risk of cardiovascular disease: a meta-analysis of prospective studies.
2016  8月  中国

チーズには飽和脂肪酸が多いものの他の栄養素も豊富である。

チーズの摂取量と脳卒中との関連を調べてみたそうな。


関連する過去の研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・15件の研究がみつかった。

・チーズをほとんど摂らないグループにくらべ多く摂るグループの脳卒中リスクは0.90倍だった。

・摂取量と脳卒中リスクの低下は直線関係にはならず、

・1日あたり40gの摂取量のとき脳卒中予防効果がもっとも大きかった。

これまでの研究からチーズ摂取量と脳卒中予防効果の関係がわかった、


というおはなし。

図:チーズの量と脳卒中リスク

感想:

これ↓思い出した。
脳卒中を防ぐミルクとチーズの量が明らかに

2016年8月21日

話し方の変化から脳卒中後うつを予測できる


Affective Prosody and Depression After Stroke
2016  8月  フランス

脳卒中後のうつになりやすい患者を見分けることができればのちのリハビリ計画に役立つ。

脳卒中患者の話す声の調子や抑揚からその後のうつを予測できるものか調べてみたそうな。


失語症のない発症から4日以内の脳梗塞患者49人について、音読課題を与え これを録音した。

音声の基本周波数およびその変動、声の裏返り率、音量のゆらぎ等を解析して3ヶ月後のうつ検査との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・3ヶ月後、22.5%がうつと診断された。

・うつグループでは、基本周波数の明らかな低下と

・声の裏返り率の上昇があり、

・音声周波数と音量のゆらぎは小さくなった。

・脳梗塞の発症部位とうつとの関連は見られなかった。

脳卒中患者の音声を韻律解析すればうつになりやすいかどうかがわかりそうである、


というおはなし。

図:感情音声と脳卒中後うつ

感想:

低く淡々とした無感情な口調になって たまに声が裏返る、、ってことか。

これ↓思い出した。
失感情症と脳卒中後のうつ

右脳卒中の患者は声に感情が乗らない

2016年8月20日

頭痛の無い脳梗塞は動脈硬化の証、、


Role of atherosclerosis, clot extent, and penumbra volume in headache during ischemic stroke
2016  8月  オランダ

脳梗塞発症時の頭痛の理由はよくわかっていない。

これが動脈硬化によるのか血管拡張や脱分極が原因なのか調べてみたそうな。


発症後9時間以内の急性脳梗塞患者284人について各種CT,MRI検査を行い、アテローム性動脈硬化、血栓の拡がり、ペナンブラの体積 および頭痛との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・患者の38%に頭痛があった。

・35% vs. 48%でアテローム性動脈硬化の患者に明らかに頭痛が少なかった。

・血栓の拡がり、ペナンブラ体積と頭痛との関連はなかった。

脳梗塞時の頭痛はアテローム性動脈硬化のある患者で少なかった。頭痛が起きるためには血管の弾力性が必要なのではないか


というおはなし。

図:脳梗塞頭痛患者の特徴


感想:

それでこうなるんだね。↓
脳梗塞発症時、頭痛があればラッキー!

2016年8月19日

失語症アバターで言語訓練できるEVA Park とは


Evaluating the Benefits of Aphasia Intervention Delivered in Virtual Reality: Results of a Quasi-Randomised Study
2016  8月  イギリス

バーチャルリアリティ環境で失語症の治療を行う実験をやってみたそうな。


EVA Park という小さな島をバーチャル空間上に設けた。この上で患者と療法士が自らのアバターを介してコミュニケーションの訓練を行う。

平均年齢58、20人の失語症患者について1回1時間x5週間、計25セッションの訓練を行ったところ、


次のようになった。

・途中脱落者はゼロで、ほとんどがセッションの88%以上をこなした。

・コミュニケーション能力の明らかな改善があり、

・その効果が持続した。

・しかし会話への自信や孤立感の改善までには至らなかった。

バーチャル空間EVA Parkを通した言語訓練の楽しさと効果を確認できた、


というおはなし。

これが↓EVA Park だ(動画4分間)


感想:

10年以上前に流行ったセカンドライフそのまんま。当時から技術的に1mmも進歩していないところに惹かれた。

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