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2016年10月26日

くも膜下出血 20年間 発症率と致命率の推移


Stable incidence but declining case-fatality rates of subarachnoid hemorrhage in a population
2016  10月  アメリカ

近年のくも膜下出血の診断 治療技術の進歩は著しい。

くも膜下出血の発症と予後の傾向を調べてみたそうな。


1988-2010のアメリカでの非外傷性くも膜下出血の発症率、致命率を調べたところ、


次のことがわかった。

・この間のくも膜下出血発症率は10万人あたり年間8.8→9.2→10.0→9.0→7.7人と推移しほぼ一定だった。

・5日間致命率は32%→18%、30日間は46%→25%、90日間は49%→29%へ減少した。

・明らかな脳動脈瘤破裂事例に限定してもこの傾向は見られたが 有意なほどではなかった。

くも膜下出血の発症率は過去20年間でほとんど変わっていなかったが、医療技術の進歩により5日間、 30日間、 90日間致命率は明らかに低下した、


というおはなし。

図:くも膜下出血の5日間の致死率推移

感想:

20年前って昨日のことのようだけど 酷かったんだなぁ、、、

2016年10月25日

tPA治療受けられるのにスルーされる患者の特徴


Why are acute ischemic stroke patients not receiving IV tPA? Results from a national registry.
2016  10月  アメリカ

急性脳梗塞ですぐに病院に到着できて特に禁忌事項にふれていなくても血栓溶解治療を受け損なっている患者が一定数いる。

その割合の推移と患者の特徴について調べてみたそうな。


2003-2011 の全米脳卒中患者登録システムから、急性脳梗塞の発症から2-3時間内に病院に到着できてtPA治療に適した条件の患者記録を抽出して解析したところ、


次のことがわかった。

・平均年齢73、6万人あまりの適応患者のうち25%が禁忌でもないのにtPA治療を受け損なった。

・この割合は2003-2011に55%→18%に推移した。

・これら患者の特徴として、高齢、女性、非白人、糖尿病、脳卒中歴、心房細動、人工弁、軽症、営業時間外、年始、田舎 などがあった。

急性脳梗塞ですぐに病院に到着できて血栓溶解治療に適した患者のうち25%がtPA治療を受け損ねていた。この治療は非常に効果があるにもかかわらず 高齢、軽症、女性、非白人への適用が見過ごされがちである、


というおはなし。
図:tPA治療を受けない脳卒中患者推移

感想:

重症度の判定には裁量の幅がけっこうあるはず。じつは軽症の患者をたくさんtPA治療できれば病院の実績は簡単にあがる。

見過ごされる率25%は良心のあるお医者さんが滅びていない証拠かもね。

2016年10月24日

帯状疱疹後の脳卒中リスク 短長期的影響


The Short- and Long-Term Risk of Stroke after Herpes Zoster: A Meta-Analysis.
2016  10月  中国

帯状疱疹のあとは脳卒中になりやすいことが多くの研究で明らかになっている。

短期的、長期的な影響をこれまでの研究からまとめてみたそうな。


関係する過去の研究を厳選し データを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・8つの研究が見つかった。

・帯状疱疹後 2週間内の脳卒中リスクは2.36倍、

・1ヶ月間では1.56倍、1年間では1.17倍、

・それ以降は1.09倍だった。

帯状疱疹のあと脳卒中リスクは上昇し、そのリスクは時とともに小さくなった、


というおはなし。
図:帯状疱疹のあとの脳卒中リスク

感想:

お腹の右や左にときどきできるんだよ帯状疱疹、、
自己免疫疾患で脳卒中リスクが50%アップ

帯状疱疹なったら脳卒中に注意しなさい

帯状疱疹のあとの脳卒中リスクはどのくらいヤバイのか

帯状疱疹と脳卒中との関連が明らかに

2016年10月23日

近所が貧乏人ばかりだと脳卒中になりやすい


Neighborhood socioeconomic index and stroke incidence in a national cohort of blacks and whites
2016  10月  アメリカ

近隣住人の社会経済的ステータスが脳卒中のなりやすさに影響するものかどうか調べてみたそうな。


脳卒中死亡率の高い州の住民について 収入、資産、教育歴、職種などから地域住人の社会経済的レベルを評価し、そのうち脳卒中歴のない45歳以上の白人、黒人 計24875人を7年半フォローしたところ、


次のことがわかった。

・最上位の25%にくらべ近隣住人の社会経済的ランクが1つ下がるごとに脳卒中のなりやすさが1.28倍→1.38倍→1.56倍と上昇していった。

・個人の社会経済状況と脳卒中リスク要因を考慮に入れてもこれら関連は有意なままだったが、人種や性別による差は消滅した。

近隣住人の社会経済的レベルが低いと脳卒中リスクは高くなった。この関連は人種や性別に依らなかった、


というおはなし。

図:


感想:

貧困度ハンパない途上国に引っ越したひとの脳卒中率をしらべてほしい。

2016年10月22日

頸動脈乖離で脳卒中 起きやすい季節


Seasonal Variation in Spontaneous Cervical Artery Dissection: Comparing between UK and Australian Sites.
2016  10月  オーストラリア

頸部動脈の乖離は若年脳梗塞のおもな原因のひとつである。おおくは突発的に起きるとかんがえられるが環境要因も指摘されている。

そこで季節で頸部動脈乖離が増減するものか調べてみたそうな。


オーストラリアとイギリスの頸部動脈乖離が原因の脳卒中患者242人の医療記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・北半球、南半球ともに頸部動脈乖離は秋冬に多く、夏よりも春に起きやすかった。

・椎骨動脈乖離よりも頸動脈乖離件数がわずかに多かった。

・血圧や脈圧との関連はなさそうだった。

頸部動脈乖離の脳卒中は地域によらず涼しい季節に起きやすかった、


というおはなし。

図:季節と頸動脈乖離件数

感想:

若いひとの血栓の由来を特定するのってかなりむつかしいハズ。

2016年10月21日

音の追加で上肢が改善 スパイクタイミング依存可塑性とは


Spike Timing-Dependent Plasticity in the Long-Latency Stretch Reflex Following Paired Stimulation from a Wearable Electronic Device
2016  10月  イギリス

上肢の運動伝達はおもに皮質脊髄路をとおる。 歩行や姿勢制御を司る網様体脊髄路も一部関わっている と考えられている。

脳卒中で損傷した皮質脊髄路の代わりに 網様体脊髄路のコネクションを強化できれば上肢麻痺のリハビリがはかどるかもしれないと考えた。

脳幹網様体の活性化には音刺激が有効であることから、クリック音と目標筋肉を収縮させる電気刺激を組み合わせて実験してみたそうな。


健常者の上腕二頭筋に電極を貼り、長潜時反射を観測した。

このとき電気刺激に先立つかまたは遅れてクリック音をイヤフォンから流し、反射強度との関連を調べた。

電気刺激装置は小さなウェアラブルタイプに設計し、身体に7時間装着して日常生活をさせたところ、


次のようになった。

・長潜時反射強度は 電気刺激→クリック音 の順番のとき49%アップし、

・クリック音→電気刺激の順だと31%低下して いわゆる "スパイクタイミング依存可塑性"を示すようになった。

ウェアラブル装置による音と電気刺激の組み合わせで脳幹網様体からの上肢運動経路の強化に成功した、


というおはなし。
図:Spike Timing-Dependent Plasticity

感想:

別のニュース記事だと あまりにも結果がよかったのでインドの病院で患者150人の臨床試験を開始して年末に成果がでる予定とある。

当初はTMSで動物実験してたんだけど、よくしらべると磁気刺激ではなくコイルの放電時に生じるバチンって音に反応していることがわかって 「よっしゃ 磁気は捨てて音刺激で行こう!」ってことになったという。↓
Reticular formation responses to magnetic brain stimulation of primary motor cortex

2016年10月20日

脳卒中で中枢性疼痛 感覚ふつうなのに、、、


Central Poststroke Pain Can Occur With Normal Sensation.
2016  10月 インド

脳卒中で中枢神経系にダメージを受けると知覚異常や痛みを感じることがある。これを中枢性疼痛という。
これまで視床と関係があると考えられてきたが 必ずしもそうでもなさそうである。

そこで中枢性疼痛の頻度、期間、部位、特徴を調べてみたそうな。


25-80歳 319人の脳卒中患者について調べたところ、


次のことがわかった。

・20.7%の患者で中枢性疼痛がおきた。

・中枢性疼痛患者の平均年齢は55、31.8%は女性、

・疼痛が始まる時期、期間はさまざまで、

・焼けるような痛みが56%、他に ヒリヒリ感、刺すような痛みなどがあった。

・疼痛の強さと脳のダメージ部位に関連はなかった。

・42.3%で脊髄視床路にもとずく感覚(温覚、痛覚、触覚)が正常だった。

・プレガバリン(商品名リリカ)が半数の患者に有効だった。

脳卒中患者の20.7%に中枢性疼痛が確認できた。中枢性疼痛に脊髄視床路の障害は必須ではなかった。脳の損傷位置も中枢性疼痛の重症度に関係しなかった、


というおはなし。
図:中枢性疼痛の脳卒中患者

感想:

ますます原因不明ってことなんだね。

最初のころは金属が痛かった。水に触れてもショックを感じた。

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