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2017年2月11日

降圧薬いっぱい飲むと歩みが遅くなるの?


Effect of Intensive Blood Pressure Control on Gait Speed and Mobility Limitation in Adults 75 Years or Older: A Randomized Clinical Trial.
2017  2月  アメリカ

収縮期血圧を厳格コントロールする大規模な臨床試験(SPRINT)の結果、120mmHg未満を目標にすることで心血管疾患の有病率、死亡率がさらに低下するとわかった。

特に75歳以上で歩行スピードの遅い高血圧患者に この傾向があきらかだった。

歩行スピードは健康状態の反映とも考えられることから、厳格な血圧コントロールが歩行スピードに影響していた可能性を検証してみたそうな。


糖尿病や脳卒中経験のない75歳以上の高血圧患者2636人について、収縮期血圧を120mmHgを目標にするグループと140mmHgのグループにわけ、歩行スピードを3年間フォローしたところ、


次のようになった。
・歩行スピードの経年的な低下の度合いは両グループで差はなかった。

・年齢、性別、人種、他の病気を考慮に入れても差はなかった。

75歳以上の収縮期血圧目標を140→120mmHgにしても歩行スピードには影響なかった、


というおはなし。
図:

感想:

頻尿のため降圧薬は2015の1月1日をもって完全にやめた。勝手に。

頻尿は瞬時に治ったし血圧も高くない。やめてよかったと思ってる。
NEJM誌:脳卒中で死なない血圧は120未満だからね

SPRINTの結果発表を受けて:厳格な降圧治療の有用性と有害事象への注意(日本高血圧学会)

2017年2月10日

片麻痺の両手訓練と日常生活動作


Effectiveness of Bilateral Arm Training for Improving Extremity Function and Activities of Daily Living Performance in Hemiplegic Patients.
2017  2月  韓国

上肢の運動支配は 左右それぞれ対側の脳半球が90%、同側の脳半球が10%を担っている。また、損傷した脳皮質は 麻痺手のみを動かす場合に比べ 両手運動時により活発になることがわかっている。

これらの事実から脳卒中の上肢リハビリには両手を用いる運動が推奨できるが、日常生活動作への影響はよくしらべられていない。


脳卒中で片麻痺の患者30人について、両手訓練と通常リハビリのみのグループにわけた。

両手訓練では皿洗い、コーヒー準備、タイピング、くだものをむく、洗濯物たたみ の5つの動作を訓練した。

両グループには通常のリハビリも行い、8週間後の上肢機能と日常生活動作を評価 比較したところ、


次のことがわかった。

・両グループともに上肢機能、日常生活動作がおおきく改善した。

・それらの改善度は両手訓練グループであきらかにすぐれていた。

脳卒中で片麻痺の患者には両手を使う訓練を加えると 日常生活動作の改善により効果的である、


というおはなし。
図:両手運動リハビリの効果

感想:

かつて麻痺手のみの強制訓練がベストであると かたくなに信じられていた時代があった。それを知らないと なぜことさらに "両手" をアピールするのか理解できないだろう。

2017年2月9日

若い脳卒中患者の不眠状況を1年間フォローした


The Course and Impact of Poststroke Insomnia in Stroke Survivors Aged 18 to 65 Years: Results from the Psychosocial Outcomes In StrokE (POISE) Study.
2017  2月  オーストラリア

脳卒中のあとの不眠症は患者の12-37%に起き、うつや自殺 復職に影響すると考えられている。

不眠症が時間的にどう推移するかの研究はおおくない。そこで労働年齢に限定してしらべてみたそうな。


65歳未満の脳卒中患者441人について、発症後28日、6ヶ月、12ヶ月の不眠、うつ、不安、復職状況を調査したところ、


次のようになった。

・いずれの時点でも不眠症は30-37%の患者に見られ、女性におおかった。

・16%は1年をとおして慢性的な不眠症だった。

・このグループはうつ、不安、なんらかの障害や復職できない者がおおかった。

若年脳卒中患者の慢性的な不眠は 1年後の障害 復職状況に影響した。不眠対策が機能回復の助けになるかもしれない、


というおはなし。

図:不眠症と復職 脳卒中のあと

感想:

睡眠だけは困ったことがないので不眠には共感ができない。

2017年2月8日

脳卒中の幹細胞治療に前向きな患者の割合


Attitudes to Stem Cell Therapy among Ischemic Stroke Survivors in the Lund Stroke Recovery Study.
2017  1月  スウェーデン

脳卒中からの回復に幹細胞治療が期待され 臨床試験では安全性の確認が進んでいる。

脳卒中患者の幹細胞治療にかんする知識と意欲についてしらべてみたそうな。


20-75歳で重症でない脳卒中患者108人についてアンケート調査したところ、


次のことがわかった。

・幹細胞治療の事前知識があった者は12%。

・学習後、63%は好意的で 36%が臨床試験に参加したいと述べた。

・細胞移植に不安を示したのは5-8%のみだった。

・男性で回復良好な者ほど幹細胞治療へ前向きだった。

脳卒中患者はもともと幹細胞治療の知識がすくなかったが、一旦それを知ると多くは前向きだった。性別や回復度が幹細胞治療への態度に影響しているようだった、


というおはなし。


感想:

だいぶん前に勤め先の同僚30人以上の脳をMRIで撮って体積を比べたことがある。

いちばん大きかったのがじぶんで1655cc(←動画)
いちばん小さかったのが総務の女性で1170cc←動画)だった。

ペットボトル1本ぶんほども脳の量が違うのに当時おそらく彼女の方が社員ランクは上だったと思う。
図:脳の体積の比較

脳はボリュームじゃない。壊死して空いた脳の隙間をよそからの細胞で埋めることができたとして、それで以前の働きが戻ると考えるのは楽観的にすぎる。

だから脳卒中の幹細胞治療にはぜんぜん期待していないんだ。

2017年2月7日

脳卒中の女性は代替医療を好む


Gender-based differences in mortality and complementary therapies for patients with stroke in Taiwan.
2017  1月  台湾

女性の脳卒中予後は悪い、いや男女同じだ、女性のほうが良い、などさまざまな報告がある。

台湾での脳卒中予後の男女差と関連要因をしらべてみたそうな。


2009-2013台湾衛生福祉局の患者データベースをつかって解析したところ、


次のことがわかった。

・脳卒中関連の入院患者12万人、外来患者62万人の記録がみつかった。

・脳卒中死亡率と医療コストは男性が高く、特に50歳未満で顕著だった。

・既婚女性は既婚男性よりも死亡率があきらかに低かった。

・西洋医学に鍼や漢方薬を組み合わせることに女性のほうが明らかに好意的だった。

・伝統中国医学を組み合わせたほうが西洋医学のみよりも死亡率が低かった。

台湾では脳卒中関連死亡率は男性のほうが高かった。結婚や性ホルモンが女性をまもるのかもしれない。また、女性のほうが代替医療を志向していた。西洋医学の治療と鍼や漢方薬の組み合わせが効果的なのかも、


というおはなし。
図:脳卒中死亡率の男女比


感想:

女性のほうが予後良しとするはなしはあまりきいたことないな。

2017年2月6日

脳内出血の48時間致命率の年代推移


Temporal trends in early case-fatality rates in patients with intracerebral hemorrhage
2017  1月  フランス

この数十年間で脳梗塞の発生率は減少傾向にあるのに脳内出血はそうはなっていない。

脳内出血の致命率の年代推移を48時間 30日間で区切ってしらべてみたそうな。


1985-2011の脳内出血患者531人の記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・30日致命率は この間に40.9%→29.6% へ徐々に低下した。

・1ヶ月内死亡の43.6%は48時間以内に起き、この比率は全期間通じて変わらなかった。

過去27年間で脳内出血の30日致命率はあきらかに低下した。いっぽう48時間致命率はなんの改善もなかった、


というおはなし。

図:

感想:

まったく進歩がないってことは、二日間は実質的に 特別なことはなにもやっていないんだろね。

2017年2月5日

片麻痺のアームスリングは"害" 使わないほうがいい


A randomized controlled trial on the immediate and long-term effects of arm slings on shoulder subluxation in stroke patients.
2017  1月  ベルギー

脳卒中で片麻痺患者の肩関節の亜脱臼をふせぐために腕吊り(スリング)がよく使用される。

しかしその効果はよくわかっていないので実験してみたそうな。


重度の上肢麻痺の脳卒中患者28人を次の3グループに分けた。

*スリング1(商品名:Actimove,BSN medical社)
*スリング2(商品名:Shoulderlift,V!GO社)
*スリングなし

6週間使用して、肩関節の間隙mm、痛み、関節可動域、痙縮度、運動機能を比較したところ、


次のことがわかった。
・スリングによる肩関節の間隙の補正度は時間が経つにつれ低下した。

・脱臼程度をしめす肩峰と上腕骨頭までの距離があきらかに縮まったのはスリングなしグループのみだった。

・スリング1では安静時の痛みが増加した。

・スリング1,2で関節可動域が減少した。

スリングは片麻痺の肩の亜脱臼の治癒を妨げる。スリングを使用しないほうが治りは早いようだ、


というおはなし。

図:片麻痺スリング

感想:

スリングは「肩が痛い!」と文句を言う患者を病院にいるあいだだけ黙らせるためのツールなんだろな。

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