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2017年2月25日

脳卒中の音楽感情と脳半球支配


Post-stroke acquired amusia: A comparison between right- and left-brain hemispheric damages.
2017  2月  イラン

脳卒中が感情に与える影響については言葉や韻律、音声、表情についての研究がすでに行われている。

音楽への感情反応について実験してみたそうな。


31-71歳、慢性期の脳卒中で右脳損傷の25人、左脳損傷の20人と健常者25人について
短い音楽から感情をよみとる正確さを評価する「音楽感情テスト」"Musical Emotional Bursts"を行い比較したところ、


次のようになった。

・脳卒中グループはいずれも音楽感情スコアが明らかに低かった。

・右脳損傷グループは左脳損傷にくらべ「悲しみ」「中性」感情の認識力が有意に低かった。

・全グループで年齢がたかいほど音楽感情スコアは低下し、特に右脳損傷で顕著だった。

左脳よりも右脳の脳卒中で失音楽症がおきやすいと考えられた。右脳がネガティブな感情をつかさどるとする"感情価仮説"(valence hypothesis)を支持する結果になった、


というおはなし。
図:感情価仮説と右脳優位仮説

感想:

たしかに音楽聴いて心震わすことはなくなったね、とくにさいきん。

ちなみに脳の感情支配のもうひとつの説に、感情の種類によらず右脳がつかさどるとする"右脳優位仮説"がある。

2017年2月24日

脳内出血のあとのうつ そして認知症


Bleeding stroke survivors at higher risk of depression, dementia
2017  2月  アメリカ

脳内出血後のうつと認知症との関連をしらべてみたそうな。

今週の国際脳卒中会議での発表ないよう。


脳内出血経験者695人について、うつや認知障害の有無を6ヶ月ごとに電話でフォローした結果、


次のことがわかった。

・50ヶ月以内に脳内出血経験者の40%がうつになった。

・この比率は年に7%相当で、一般人よりも高かった。

・うつと認知症を併発した者は全体の63%におよび、

・かれらのうち80%は、うつのあと平均18ヶ月後に認知症を発症していた。

脳内出血のあと うつになりやがて認知症になる割合はとても高かった、


というおはなし。

図:うつと認知症

感想:

いままで 脳内出血→認知症ってはなしはよくでてきた。うつが前兆ってとこがあたらしい。

[脳内出血 認知症]の検索結果

2017年2月23日

ブルーライトセラピーが脳卒中うつをいやす


After Stroke, 'Blue' Light May Help Beat the Blues
2017  2月  デンマーク

精神科医のあいだでは青色光が記憶力やうつを改善する効果がよく知られている。
脳卒中後のうつにも効くものか実験してみたそうな。

今週水曜日の国際脳卒中会議での発表内容。


脳卒中でリハビリ入院した患者84人について、
リハビリ室の照明を *通常光または *青色光の2グループに分けた。


次のことがわかった。

・14日間のリハビリ後、青色光グループのうつレベルが 通常光にくらべ有意に低かった。

・ブルーライトが概日リズムに影響すると考えられた。


脳卒中患者は屋内で過ごすことが多く、青色光を多く含む日光をじゅうぶんに浴びることができない。青色光療法は薬や副作用のない脳卒中うつ対策になるかも、


というおはなし。

図:青色光療法


感想:

病人があつまる部屋が青色照明だったら ますます病的に見えてかえってひどくなりそうな気がするよ。

2017年2月22日

脳卒中で入院中に運転指導はあるの?


Shifting gears: An inpatient medical record audit and post-discharge survey of return-to-driving following stroke/transient ischaemic attack.
2017  2月  オーストラリア

オーストラリアでは 脳卒中患者はすくなくとも4週間 自動車運転を控えること、とされている。

いっぽうで 脳卒中患者は自分の運転能力を過大評価するという報告もある。

軽症脳卒中患者への運転復帰指導の現状をしらべてみたそうな。


平均年齢67、軽症脳卒中で自宅に退院した患者78人の医療記録とアンケート調査の結果を解析したところ、


次のことがわかった。

・35%の患者にのみ運転復帰の指導記録があった。

・運転を控える期間を明示された患者は13%のみだった。

・アンケートに回答した31人のうち20人が自動車運転を再開していた。

・21人は運転復帰指導のために呼び出しを受け、

・7人は運転を控えるべき1ヶ月以内に運転を再開していた。

脳卒中患者への運転復帰指導にかんする記録には整合性が欠けていた。必要とする患者に指導がおこなわれたかはよくわからない、


というおはなし。
図:

感想:

上のグラフ、運転再開の理由 1位「できると思ったから」。

あと数十年でほとんどの車は自動運転になる。
『あのころはすごかった。ボケ老人やてんかん、片麻痺患者が好き勝手に運転していたよ、、』と振り返る。
脳卒中経験者は自動車運転をナメきっていることが判明

2017年2月21日

花粉症と脳卒中との関連があきらかに


The association between hay fever and stroke in a cohort of middle aged and elderly adults.
2008  5月  アメリカ

喘息が脳卒中と関連するという報告はあるが、花粉症と脳卒中との関連はよくわかっていない。
しらべてみたそうな。


平均年齢62.4、9272人の花粉症歴を聞き取り、脳卒中の有無を4.4年間フォローしたところ、


次のようになった。

・この間に125人が脳卒中になった。

・花粉症のある者は全体の10.4%で、彼らのうち2.2%が脳卒中になった。

・花粉症のない者で脳卒中になったのは1.25%だった。

・年齢、性別、人種、喫煙、肥満度、糖尿、高血圧、飲酒、高脂血症を考慮に入れても花粉症があると脳卒中のなりやすさが1.87倍だった。

・炎症関連物質の影響や 鼻詰まりによる閉塞性睡眠時無呼吸症が脳卒中の原因と考えられる。

花粉症は脳卒中のリスク要因だった


というおはなし。

図:花粉症と脳卒中


感想:

ことしは花粉が多いのか いきなり鼻水がとまらない。くやしいのでさかのぼって検索したらこの報告(2008)だけがヒットした。

2017年2月20日

社会経済的地位と脳卒中の予後 in 中国


The influence of individual socioeconomic status on the clinical outcomes in ischemic stroke patients with different neighborhood status in Shanghai, China.
2017  1月  中国

社会経済的地位と脳卒中との関連をしめす報告がおおくある。上海市で脳卒中患者の予後と社会経済的地位との関連をしらべてみたそうな。


18-80歳の脳梗塞患者471人について、社会経済的地位を 教育歴、収入、職業、医療費で総合的に評価し 高 中 低に分類した。

周辺住人の社会経済的地位は戸籍情報をもちいて推測した。

脳梗塞後の有害事象と総死亡率との関連を解析したところ、


次のようになった。
・患者の社会経済的地位は周辺住人のそれと強い関連があった。

・社会経済的地位が低レベルの患者はあきらかに有害事象が多く 総死亡率も高かった。

・他の要因を考慮にいれてなお 患者本人および周辺住人の社会経済的地位が低いと患者の予後がよくなかった。

脳梗塞患者とその周辺住人の社会経済的地位が低いと 有害事象や死亡があきらかに多かった、


というおはなし。

図:社会経済的地位と脳卒中死亡率

感想:

中国のhukouは戸籍カーストとも言える制度で、出自のよしあしが脳卒中の回復にも影響してくるってことなのかね。

2017年2月19日

脳卒中患者と介護人の生活の質


Roles of Changing Physical Function and Caregiver Burden on Quality of Life in Stroke: A Longitudinal Dyadic Analysis.
2017  2月  イタリア
脳卒中患者とその介護人の生活の質QoLと 関連要因をしらべてみたそうな。


リハビリ病院を退院した脳卒中患者とその介護人の226組を12ヶ月間フォローしたところ、


次のことがわかった。

・脳卒中患者の平均年齢は70.8、介護人は52.4だった。

・この間に脳卒中患者の身体的 心理的QoLはあきらかに改善した。ただし社会的QoLに変化はなかった。

・介護人のQoLは 平均すると変化がなかった。

・脳卒中患者の身体機能の改善は 患者本人と介護人のQoLの向上に関連があった。

・介護人の負担が軽減すると 介護者本人のQoLがあきらかに向上した。ただし患者のQoLには影響しなかった。

脳卒中患者と介護人のQoLは 脳卒中患者の身体機能の変化におおきく影響を受けた、

というおはなし。

図:脳卒中患者と介護者

感想:

容易に予想できる結果だ。患者はじぶんのことでアタマいっぱい。介護人にまで気が回らない。

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