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2017年8月21日

健常側の運動野のはたらきと時期


Time-dependent functional role of the contralesional motor cortex after stroke.
2017  8月  ドイツ

脳卒中でいっぽうの脳半球が損傷して手が麻痺したときに、健常側の脳がどのように関わってくるかについてはいまだよくわかっていない。

健常側の脳が、損なった機能を補うように働くのかそれとも逆に邪魔をするのかは報告によってまちまちである。

健常側の脳のはたらきが発症からの時期や運動課題によってかわってくるものか実験してみたそうな。


軽中等度麻痺の脳卒中患者12人について 損傷脳とは反対側の脳の1次運動野をオンラインTMSで干渉しながら麻痺手での3つの課題(指のタップ頻度、握力、反応速度)を測定した。
これを脳卒中から1-2週および3ヶ月以降に行った。

健常者14人についてもどうようの実験をした。

オンラインTMSは磁気刺激パルスを浴びながら課題をこなす実験方法をさす。


次のようになった。

・1-2週後では反対側の運動野への干渉によって指のタッピング頻度が明らかに向上した。いっぽう握力と反応速度には変化はなかった。

・3ヶ月後、磁気刺激による干渉は3つの課題いずれにも影響はなく、健常者を対象にした場合とおなじ結果になった。

脳卒中患者の健常側の脳の1次運動野が特定の時期と課題に対して抑制的にはたらいていることがわかった、


というおはなし。
図:反対側の運動野のTMSで指のうごき改善

感想:

これはTMSのただしい使い方だとおもう。みなオフラインにこだわって失敗してる。

2017年8月20日

脳梗塞に効く植物油の種類があきらかに


Comparative effects of plant oils and trans-fat on blood lipid profiles and ischemic stroke in rats.
2017  8月  韓国

動物性の飽和脂肪酸にくらべて植物油におおい不飽和脂肪酸は心血管疾患によいと考えられてきた。

ところが数ある植物油(菜種油、大豆油、とうもろこし油、オリーブ油、シソ油)のなかでもαリノレン酸を多く含むシソ油以外はすべて 「脳出血」の発生をうながすと指摘されるようにもなった。

こんかいは「脳梗塞」との関連を実験でたしかめてみたそうな。


シソ油、菜種油、ごま油、ショートニング(トランス脂肪酸)を含む餌を2週間食べさせたネズミを人為的に脳梗塞にして、その後も同じ食事を3週間続けて 梗塞のおおきさや運動機能をしらべたところ、


次のようになった。

・シソ油以外のグループはすべて体脂肪と体重が増加した。

・ごま油とショートニンググループはコレステロールと中性脂肪が上昇したがシソ油グループでは低下した。

・シソ油グループは梗塞体積がいちばん小さかったばかりか歩行機能とロータロッドテストの結果がもっともすぐれていた。

シソ油にはほかの植物油にくらべて肥満を防ぎ かつ脳梗塞の回復を促す効果が期待できる。シソ油を積極的に使うべきである、


というおはなし。
図:ロータロッドテスト

感想:

植物油の毒性問題はかなり深刻そうなんだよね、、唯一の例外であるシソ油(エゴマ油とも言う)は価格が菜種(キャノーラ)油の10倍以上で手がでない。
高血圧+キャノーラ油で脳出血が確定?

傷ついた脳に効くBDNFが増えるサプリメントが明らかに

2017年8月19日

脳卒中患者が語る視力障害の経験


Stroke survivors’ views and experiences on impact of visual impairment
2017  8月  イギリス

脳卒中患者のおよそ60%はなんらかの視覚障害を経験するといわれている。

この件について、患者の生の声をあつめてみたそうな。


20-75歳で脳卒中後1年以上経つ男女35人に面談して聴き取った内容を分析したところ、


次のことがわかった。
・内容は5つのテーマ(診断、症状、日常生活、適応、情報 )に分類できた。

・視覚障害があっても脳卒中が原因だとはすぐに気づかずに別の原因を探していた。

・おおくの患者は視覚の問題に対してなんの評価も治療も受けていなかった。

・視覚障害は視野の欠損、複視、視力の低下などを含んでいた。

・視覚の問題は自信の低下、他者への負担、衝突や事故、転倒への恐怖につながっていた。

・独自の工夫(虫眼鏡、おおきく印刷、照明を強く、白杖を持つ)で適応していた。

・視覚問題についてのサポートや情報が明らかに不足していた。

脳卒中後の視覚障害は日常生活におおきな影響を与えていたが、そのおおくは早期の視覚評価と対策があれば避けられるものだった、


というおはなし。
図:脳卒中後の視力障害

感想:

視力1.5が突然0.4になっちゃったわりには 自動車の運転を再開するまでその深刻さに気づかなかった。

トンネルにはいったときにあまりにも周りが見えなくて肝を冷やし、翌日メガネ屋に飛び込んで視力を知った。

2017年8月18日

nature.com:脳卒中やったら電動歯ブラシ使え


Oral health-related quality of life in patients with stroke: a randomized clinical trial of oral hygiene care during outpatient rehabilitation.
2017  8月  香港

脳卒中になると運動や感覚、認知機能の低下を経験するいっぽう 健康関連QoLにも影響がでる。

特に口や顔面関係の障害(舌や唇の麻痺、唾液の減少など)による口腔に関連したQoLの低下はおおきいと考えられる。

これらを改善するべく脳卒中の外来患者で実験してみたそうな。


脳卒中患者94人について、

*通常の歯ブラシ+歯磨き粉 グループ
*電動歯ブラシ+薬用マウスリンス グループ

に分けて、3ヶ月間の口腔衛生指導のあとさらに3ヶ月間 健康関連QoLと口腔関連QoLを複数の指標でフォローしたところ、


次のようになった。

・3ヶ月後および6ヶ月後の両時点で 電動歯ブラシグループであきらかに健康関連QoLと口腔関連QoLのスコアがすぐれていた。

電動歯ブラシと薬用マウスリンスをつかった口腔衛生指導を脳卒中患者におこなったところ、従来の歯ブラシと歯磨き粉を用いる場合にくらべ主観的健康度は明らかに向上した、


というおはなし。
図:電動歯ブラシ

感想:

入院中 見舞客と会話してるときにあからさまに顔をそむけられたことがあった。よほど口が臭かったんだろう。しばらく歯を磨けない日がつづいたからね。

2017年8月17日

脳卒中後うつのfALFF解析


Fractional amplitude of low-frequency fluctuations (fALFF) in post-stroke depression.
2017  7月  オーストラリア

脳卒中後のうつは回復をさまたげ生活の質を低下させる。

これが由来する脳の部位や神経メカニズムについてはいまだよくわかっていない。

近年、安静時fMRIの解析により脳の中の自発的な結合性の変化を観測できるようになり、脳卒中後うつ患者でデフォルトモードネットワークの結合性低下が報告されている。

安静時fMRIの他の解析方法として低周波数成分の強度変動が全体に占める割合 fALFF(fractional amplitude of low frequency fluctuations)を評価する方法があるので、これで脳卒中後うつをしらべてみたそうな。


発症後3ヶ月の脳卒中患者64人について安静時fMRIを測定し、0.01-0.08HzについてfALFFを解析したところ、


次のことがわかった。

・20人がうつ症状を示していた。

・非うつ患者にくらべうつ患者では左の背外側前頭前皮質と右の中心前回でfALFFが有意に高く、

・左の島皮質でうつスコアとfALFFの明らかな相関が見られた。

・うつの有無が0.01-0.027 Hzに、うつの重症度が0.027-0.073 Hzに反映されていた。

安静時fMRIのfALFF解析により脳卒中後うつの自発的神経活動の異常な部位と周波数レンジを感度よく特定することができた、


というおはなし。
図:脳卒中後うつのfALFF

感想:

1周期が30秒前後ある脳の律動ってのはいったいなんなのかね?

2017年8月16日

がんの宣告を受けると脳梗塞になる


Risk of Arterial Thromboembolism in Patients With Cancer
2017  8月  アメリカ

アメリカ人の40%はその生涯にがんを経験する。がんになると深部静脈血栓や肺塞栓が起きやすくなることは知られている。

いっぽう心筋梗塞や脳梗塞など 動脈の血栓塞栓症との関連についてはよくわかっていないので調べてみたそうな。


2002-2011のがん患者(乳がん、肺がん、大腸がん、膀胱がん、膵臓がん、胃がん)と がんでない比較グループ患者との279719組の記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・がん診断後6ヶ月間の動脈血栓塞栓症の発生率は4.7%で、がんでない者では2.2%だった。

・とくに 心筋梗塞の発生率はがんだと2.0%、非がんで0.7%、

・脳梗塞発生率は がんで3.0%、非がんで1.6%だった。

・このリスク上昇はがんの種類やステージにも関連し、およそ1年で解消した。

がんと診断された患者はその直後から短期的に心筋梗塞や脳梗塞のリスクが上昇する、


というおはなし。
図:ガン宣告のあとの脳卒中リスク

感想:

ってことは 脳梗塞やったひとには隠れがんの可能性があるのかな。
軽い脳梗塞とホッとしていたのも束の間 実はガンでしたと告げられる患者の割合と見分け方

なぜ脳梗塞患者はガンになりやすいのか

2017年8月15日

脳卒中発生率の男女別の傾向


Sex-specific stroke incidence over time in the Greater Cincinnati/Northern Kentucky Stroke Study.
2017  7月  アメリカ

脳卒中が男性の死亡原因の5位にまで低下したいっぽう、女性では4位にとどまっている。

これは男性の脳卒中発生率の低下が女性よりも速いからかもしれない。

たしかめてみたそうな。


ケンタッキー州の脳卒中患者記録1993-2010から TIAをのぞく20歳以上の事例7710人ぶんを抽出して発生率を男女別に解析したところ、


次のようになった。
・57.2%が女性で、平均年齢も 72.4 vs. 68 で女性が高かった。

・この間に、10万人あたりの脳卒中発生率は男性で 263→192人におおきく減少し、女性では 217→198 と ほとんど変わらなかった。

・脳梗塞に限定しても同様に、男性は 238→165、女性は 193→173 となった。

・脳内出血とくも膜下出血の発生率は男女ともにあきらかな変化はなかった。

この16年間で低下した脳卒中発生率の原因は男性の脳梗塞の減少によるものだった。2010には男女の発生率がほぼ等しくなった。なぜなのかはわからない、



というおはなし。
図:脳卒中発生率の傾向と男女差

感想:

肥満が自己管理能力のないクズとして労働市場で不利な扱いを受けるようになったから まず男性で改善したんじゃないのかな。

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