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2018年5月31日

Stroke誌:抗血小板薬で微小脳出血そして脳内出血


Antiplatelet Therapy, Cerebral Microbleeds, and Intracerebral Hemorrhage
2018  5月  中国

MRIの普及により微小脳出血が確認できるようになった。微小脳出血は小血管病を反映し、その存在は脳内出血につながると考えられている。

これまで抗血小板薬と微小脳出血の関連をしめす研究がいくつもなされ、2つのメタアナリシスが報告されたがいずれも規模が小さかった。

それらを上回る規模のメタアナリシスで抗血小板薬と微小脳出血との関連を確認してみたそうな。


関係する過去の研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、


次のことがわかった。

・被験者20988人を含む37の研究がみつかった。

・微小脳出血は抗血小板薬使用者におおかった。

・抗血小板療法は深部よりも脳葉での微小脳出血とあきらかな関連があった。

・さらに脳内出血の発生率は微小脳出血のある者で高かった。

抗血小板薬使用者は脳葉の微小脳出血リスクが高く、微小脳出血があると脳内出血になりやすかった、


というおおはなし。
図:抗血小板療法と微小脳出血

感想:

血液サラサラのおくすりを飲んでいると、高次脳機能を司る皮質にいくつもの穴が空き やがてドバっと出血するかもよ、、、

ってことなんだけど いまさら感がある。

[抗血小板薬]の関連記事

2018年5月30日

日本人の仮面高血圧と脳卒中 JAMA Cardiol.


Association of Cardiovascular Outcomes With Masked Hypertension Defined by Home Blood Pressure Monitoring in a Japanese General Practice Population
2018  5月  日本

血圧は1日のうち 職場 自宅 睡眠中など環境次第で変動し、病院で測定した結果とかならずしも一致しない。

高血圧患者のうち30-50%は病院では血圧が正常値を示すものの そとでは高値をしめす。これを「仮面高血圧」という。

仮面高血圧を見つける方法の1つとして家庭での血圧測定がある。

そこで、「日本人における家庭血圧の心血管予後推定能に関する研究」(J-HOP研究:Japan Morning Surge-Home Blood Pressure study)をつかって仮面高血圧と脳卒中リスクとの関連をしらべてみたそうな。


平均年齢65の日本人男女4261人を4年ほどフォローした。

仮面高血圧(masked hypertension)は、
自宅で135/85以上、病院で140/90未満

白衣高血圧(white-coathypertension)は、
自宅で135/85未満、病院で140/90以上、

持続性高血圧(sustained hypertension)は、
自宅と病院ともに140/90以上、
とした。


次のことがわかった。

・この間に74の脳卒中と77の冠動脈疾患があった。

・正常血圧にくらべ仮面高血圧では脳卒中リスクが2.77倍であきらかに高かった。

・いっぽう仮面高血圧は冠動脈疾患とはなんの関連もなかった。

家庭用血圧計でみつかる仮面高血圧患者はあきらかに脳卒中になりやすかった、


というおはなし。
図:仮面高血圧と脳卒中リスク

感想:

当時わたしは その「仮面をかぶる方法」を編み出し自在に操っていたのだが、、↓↓↓
一時的に大きく血圧を下げる方法

2018年5月29日

脳卒中後のアパシーと学習記憶力


The Role of Apathy and Depression on Verbal Learning and Memory Performance After Stroke
2018  5月  カナダ

脳卒中後のアパシーは、やる気のない感情の起伏がなくなっている状態をさす。脳卒中後のうつには気分の落ち込み、絶望、罪悪感、自殺念慮、睡眠や食欲の異常といった特徴がある。

アパシーもうつも互いに関連し共通部分が少なくないいっぽう別々に現れることもある。

脳卒中後のアパシーやうつが認知機能の特に学習や記憶のパフォーマンスに及ぼす影響をしらべてみたそうな。

2018年5月28日

月の満ち欠けと脳卒中との関連について


No association of moon phase with stroke occurrence
2018  5月  フィンランド

月相(新月-上限-満月-下弦)と睡眠との関連をしめす報告がいくつかある。睡眠障害が脳卒中に影響することから月相と脳卒中との関連が予想される。

しかしその報告は非常にすくなく、いずれも脳梗塞との関連はなく 上弦の月で脳内出血リスクが新月時の1.5倍、満月でTIAリスクが2倍 また脳卒中様の症状が増えるといった内容である。

そこで これを確かめるべく長期かつ大規模にしらべてみたそうな。


2004-2014 フィンランドの脳卒中患者データベースから18歳以上の脳梗塞と脳内出血患者の記録を抽出して発症時刻と月相との関連を解析したところ、


次のようになった。

・脳梗塞94894人、脳内出血17855人の記録があった。

・月相と脳卒中の発生率との関連はなかった。

・脳梗塞と脳内出血にわけても関連はなかった。

・性別、年齢、脳卒中の種類を絡めても関連はなかった。

・脳卒中の院内死亡率との関連もなかった。

・月相および天文学的季節(春分-夏至-秋分-冬至)と脳卒中の関連もなかった。

10年以上にわたる全国レベルの調査でも月相と脳卒中の発生率 院内死亡率との関連は確認できなかった、


というおはなし。

図:月相と脳卒中

感想:

1987の報告だと救急救命の医師64%と看護師の80%が月相と患者の関係を信じていたんだって。

2018年5月27日

療法士さんがいなくても手は回復するの?


In-home therapy effective for stroke rehabilitation, study shows
2018  5月  アメリカ

おおくの脳卒中患者がコストや通院手段の問題でじゅうぶんなリハビリ訓練をうけることができないでいる。

そこでネットを介した遠隔リハビリテーションの可能性を検証してみたそうな。

先週の欧州脳卒中協会会議(ESOC 2018)でのカルフォルニア大学の報告。


平均年齢61、11の地域で発症から4.5ヶ月の脳卒中患者124人を通院リハビリと自宅リハビリグループにわけた。

自宅リハビリではビデオカンファレンス経由でセラピストの指導を受ける。

6週間の上肢集中訓練の30日後に上肢機能を評価 比較したところ、


次のようになった。

・上肢のFugl-Meyerスコアが通院グループで8.4ポイント、自宅リハビリグループで7.9ポイント改善した。両者の差は統計学的有意ではなかった。

セラピストが監督する遠隔リハビリテーションによって通院時と同レベルの上肢機能の改善があった、


というおはなし。
図:遠隔リハビリ

感想:

セラピストがつきっきりで集中訓練をしても特別な効果はまったくなく、
JAMA誌:課題指向型訓練 やる意味ない

しかもそばにいようがいまいが患者は同程度に回復する。つまりやる気を維持できるゲームでも与えておけばよさそう。

上肢リハビリに最適なPCゲームを見つけた。今月発売されたばかりのソフトで価格はたったの2000円 Beat Saber(ビートセーバー) の動画↓。

2018年5月26日

チベット人はなぜ脳内出血になるのか


Spontaneous Intracerebral Hemorrhage in a Plateau Area: A Study Based on the Tibetan Population
2018  5月  中国

チベット高原は世界の屋根と呼ばれ、大気圧と酸素レベルは平地よりも3割以上低い。チベット自治区の人口の96-98%はチベット民族である。

チベット民族の脳卒中には脳内出血が非常におおく7割以上を占める。その特徴を詳しくしらべてみたそうな。


2013-2017の特発性脳内出血患者について四川大学の記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・チベット民族122人、漢民族927人の記録がみつかった。

・漢民族にくらべチベット民族はあきらかに、
男性がおおく、過体重がおおく、喫煙率が高く、ヘモグロビン濃度が高く、高血圧や糖尿病 脳出血歴のある患者がおおかった。

・チベット民族の患者は脳幹出血がおおく血腫拡大による合併症のリスクが高かった。

・6ヶ月間のフォロー期間中 チベット民族の患者は高率で回復不良だった。

チベット民族の脳内出血には漢民族とあきらかに異なる特徴があった。チベット民族というだけで脳内出血は回復不良だった、


というおはなし。
図:チベット人

感想:

仏教の聖地だからみなつつましく暮らしているのかとおもったけど「タバコを吸う太り過ぎで糖尿病の高血圧」って自暴自棄感がすごい。

きっと中国の圧政でストレス溜まってるから脳血管がキレるんだろね。
チベット住人はキレやすいという科学的根拠

2018年5月25日

αリノレン酸の脳梗塞予防効果は?


Dietary Intake of Alpha-Linolenic Acid Is Not Appreciably Associated with the Risk of Ischemic Stroke among Middle-Aged Danish Men and Women
2018  5月  デンマーク

αリノレン酸はシソ油、エゴマ油、アマニ油におおくふくまれる 体内で合成できない必須脂肪酸である。炎症やアテローム、不整脈を抑えるといった効果が報告されている。

心血管疾患との関連についての研究のおおくは冠動脈疾患が主で、脳梗塞についての調査はほとんどない。

そこで、αリノレン酸の摂取量と脳梗塞リスクとの関連を大規模にしらべてみたそうな。


50-64歳のデンマークの男女57053人の食事調査を行いαリノレン酸の摂取量を推定した。

脳梗塞の発生を13.5年間フォローしたところ、


次のようになった。

・この間に1859件の脳梗塞があった。

・食事から摂るαリノレン酸の量と脳梗塞リスクとのあいだにあきらかな関連はみられなかった。

・脳梗塞の種類(アテローム血栓性、小血管閉塞、心原性)別にみても関連はみられなかった。

食事から摂るαリノレン酸は脳梗塞の発生とあきらかな関連はなかった、


というおはなし。
図:αリノレン酸と脳梗塞発生率

感想:

αリノレン酸はDHAのもとになるから脳卒中になったあとに効くんだよね。

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