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2025年12月15日

機械的血栓回収、期待外れ? 回復も救命も変わらなかった理由

2025  12月  イタリア


遠位中等血管閉塞(DMVO)は、脳のやや細い血管が詰まるタイプの脳梗塞である。
血管が細いためカテーテルが入りにくく、治療が難しい一方、詰まる場所によっては失語や手足の麻痺など大きな後遺症を残すことがある。

そのため「機械的血栓回収MT)で取るべきか?」「薬だけの治療(BMT)で十分か?」という議論が続いてきた。
そこで、どちらが本当に良いのかを、過去の研究をまとめて検証してみたそうな。

2025年12月12日

血管内治療中の攣縮で予後悪化、その予防薬は日本だけ未承認

2025  12月  ドイツ


脳の太い血管がつまったときに行う血管内治療(カテーテルで血栓を取りにいく治療)は、いまや標準治療になっている。

ところが、その手技の途中でときどき起こる「血管攣縮」(血管がキュッと細く締まってしまう現象)が、どのくらい患者の予後を悪くしているのかは、はっきりしていなかった。

また、攣縮が起きたときにカテーテルから直接ニモジピンという薬を流すと本当に効果があるのかも、十分なデータがなかった。そこで、「どんな人に攣縮が起こりやすいのか」「攣縮が起こるとその後の生活の質や死亡にどれくらい影響するのか」「攣縮に対するニモジピン動注は役立つのか」をひとまとめにくわしくしらべてみたそうな。

2025年12月7日

パンデミック収束後の罠:日本人男性に起きたコロナ後のくも膜下出血

2025  9月  日本


COVID-19は、感染後に血管が弱くなる、炎症が続く、血が固まりやすくなるといった影響は依然として報告されている。

その中でも、脳の動脈が裂ける「動脈解離」がCOVID-19と関連して起きるケースは非常に少なく、特に前大脳動脈A1部での解離は極めてまれである。

そこで、COVID-19回復期の患者に重症のくも膜下出血が発生した例を通して、見落とされがちな“感染後の脳血管リスク”をくわしくしらべてみたそうな。

2025年12月6日

脳動脈瘤の本当の恐怖は“説明”から始まる。最新研究が示した心理ダメージ

2025  12月  ハンガリー


未破裂の脳動脈瘤は、ほとんどが無症状のまま見つかる。一方で、破裂するとくも膜下出血になり重い後遺症を残すこともあるため、多くの人が「やがて破裂するのでは」と不安を抱きがちである。

しかし、破裂した人と、破裂していない人の心の状態や生活の質が実際にどう違うのかは、これまで十分に調べられてこなかった。

そこで、両者を同じ基準で比較し、心理面や認知面が生活の質にどのようにつながっているのかをくわしくしらべてみたそうな。

2025年11月14日

くも膜下出血が狂犬病に化ける日:国際報告システムの盲点

2025  11月  インド


狂犬病といえば「脳が炎症を起こして死亡する病気」というイメージが強い。

しかし、ごくまれに血管が炎症を起こしたり、破れたりして「くも膜下出血」などの脳卒中の形で現れることがあると言われてきた。

じっさいに、そのような珍しいケースがあったそうな。

2025年11月7日

“動脈瘤を見つけ出せ”はもう古い──良性くも膜下出血の衝撃

2025  10月  ドイツ


くも膜下出血(SAH)の約8〜9割は動脈瘤の破裂によって起こるとされているが、残りの約1〜2割は、原因となる血管の異常が見つからない「非動脈瘤性くも膜下出血」である。

この中でも、脳幹のまわりに出血が限局するタイプ(PMSAH)は、症状が比較的軽く、経過が良いことが多い。

ただし、診断の際に「どこまで検査をすべきか」は、医師のあいだでも意見が分かれている。
CTで出血を確認した後にCTAやDSAという検査を行うのが一般的だが、最初のDSAで異常がない場合に、もう一度DSAをやる必要があるのかという点が議論になっている。
そこで、再びDSAを行うことにどれだけ意味があるのかをくわしくしらべてみたそうな。

2025年10月25日

なぜ“やばい薬”をほめるのか──クラゾセンタンに見る医療界のポジション心理

2025  10月  日本


くも膜下出血のあとに起こる「脳血管れん縮(SVS)」は、再出血や脳梗塞を引き起こして回復を悪くする原因になる。

クラゾセンタンという薬は、血管を強く縮める物質エンドセリン-1の働きを抑えるもので、海外の試験ではれん縮を防ぐ効果が確認されている。ただし、副作用としてむくみや低酸素などがあり、体の調子が変わりやすいことが知られている。

そこで、クラゾセンタンを使うと脳血管れん縮が減るだけでなく、歩き始めまでの回復も早まる可能性をくわしくしらべてみたそうな。

2025年10月22日

治療は早いほど良い──その常識、くも膜下出血には通用しない

2025  9月  オーストラリア


くも膜下出血(aSAH)の原因となる脳動脈瘤は、再破裂すると致命的になりやすいため、できるだけ早く治療して瘤を閉じることが大切とされてきた。
しかし、「どのくらい早く行うのが最も良いのか」については、これまで十分な根拠がなかった。

アメリカ心臓協会(AHA)やヨーロッパ脳卒中学会(ESO)のガイドラインでは「24〜72時間以内の治療」が推奨されているが、これは専門家の合意によるものであり、科学的に裏づけられたものではない。

そこで、発症から6時間以内(超早期)、12時間以内(早期)、24時間以内(標準)の3つのタイミングで動脈瘤を治療した場合の結果を比較し、再出血、機能回復、死亡率にどのような違いがあるかをくわしくしらべてみたそうな。

2025年10月21日

「効くけど助けない薬」――クラゾセンタンが日本だけ高額で使われ続ける理由

2025  10月  パキスタン


脳動脈瘤によるくも膜下出血(aSAH)は、今でも命に関わる危険な病気である。
手術で出血源を止めても、その後に起こる「脳血管れん縮」が原因で脳梗塞や神経障害が起きることが多い。

このれん縮を防ぐ目的で、現在はカルシウム拮抗薬ニモジピンが広く使われているが、実際には「血管れん縮そのもの」を完全に抑えられているわけではない。

そこで登場したのが、クラゾセンタン(clazosentan)という薬である。
この薬は「エンドセリン-1」という強力な血管収縮物質の働きを抑える新しいタイプの薬で、れん縮を防ぐ可能性があると期待されてきた。

しかし、これまでの大規模試験(CONSCIOUS-2, -3)では結果が一致せず、本当に使う意味があるのかがはっきりしていなかった。
さらに、日本での実際の使用データを含めた大規模な検証はこれまでなかった。

そこで、過去の臨床試験と実臨床のデータをすべて集め、クラゾセンタンの効果と安全性を改めて検証してみたそうな。

2025年10月18日

軽症くも膜下出血の7.8%が悪化 その原因は“病気”ではなく“治療”か?

2025  10月  中国


くも膜下出血(aSAH)は「重い病気」という印象が強いが、実際には発症時に意識がはっきりしていて、頭痛だけで見つかるような軽症タイプ(good-grade:WFNS I〜III)が全体の約8割を占める。

このタイプの多くは回復が良いとされるものの、中には治療後に後遺症を残したり、思わぬ経過をたどる人もいる。

なぜ軽症のはずなのに悪くなるのか、その理由はこれまでよくわかっていなかった。
そこで、「軽症くも膜下の中で悪くなる人」にはどんな特徴があるのかをくわしくしらべてみたそうな。

2025年10月17日

小さい動脈瘤ほど破裂する?──定説をくつがえす最新研究

2025  10月  ドイツ


脳の動脈瘤は、血管の一部がふくらんでできる小さなこぶのような病変である。近年、MRIなどの画像診断の普及により、破裂していない小さな動脈瘤が見つかる機会が増えている。

これまで医療現場では「大きな瘤ほど危険で、小さい瘤は破裂しにくい」と考えられてきた。しかし、複数の動脈瘤をもつ患者では、実際には小さな瘤が破裂することがあるとの報告が相次いでいる。

過去の研究では、くも膜下出血を起こした患者の20~30パーセントで、最大の瘤ではなく小さいほうが破裂していたとされる。それにもかかわらず、小さな瘤がどのような条件で破裂するのかを系統的に調べた研究はこれまで存在しなかったので、
小さい瘤が破裂する要因を明らかにするべくくわしくしらべてみたそうな。

2025年10月9日

コイルかクリップか──その論争こそが最大の病巣だ

2025  9月  ノルウェー


くも膜下出血の原因の多くは、脳の血管にできた動脈瘤が破れることによって起こる。
その治療には、大きく分けて二つの方法がある。ひとつは頭を開いて動脈瘤の根元をクリップで挟む「クリッピング手術」、もうひとつは血管の中からコイルを詰めて血流を止める「コイル治療(血管内治療)」である。

2000年代に行われたISATという大規模試験では、コイルのほうが短期的な回復が良いとされ、世界的にコイル治療が主流になった。
しかしこの試験は軽症の患者が中心で、重症例や長期的な生存率については十分に検証されていなかった。

そこで、ノルウェー・オスロ大学病院の研究チームは、自院で12年間にわたって治療した患者の記録をもとに、現代の医療現場で本当にどちらの治療が長生きにつながるのかをくわしくしらべてみたそうな。

2025年10月2日

ニモジピン排除の日本、クラゾセンタン依存は愚策か──国際レビューが突きつける現実

 元  

Evaluating clazosentan sodium for the treatment of aneurysmal subarachnoid hemorrhage

2025  9月  アメリカ


くも膜下出血は依然として高い死亡率と後遺症率を伴う疾患であり、その主要な原因の一つが遅発性脳虚血(DCI)である。

国際的にはニモジピンが唯一のFDA承認薬として標準治療に位置づけられているが、効果は限定的であり、新たな治療選択肢の開発が求められてきた。

エンドセリン受容体拮抗薬クラゾセンタンは、日本と韓国で承認されている薬剤であり、その有効性と安全性をくわしく整理してみたそうな。

2025年9月30日

治せば安心は幻想? 未破裂脳動脈瘤の予防手術が残す後遺症の重み

2025  9月  ドイツ


脳動脈瘤は破裂すると命に関わるくも膜下出血を起こすため、早い段階でどう対応するかが大きな課題になっている。

最近はMRIなどの画像検査の進歩で、症状がない段階で未破裂の動脈瘤が偶然見つかることが増えてきた。なかでも複数の瘤を持つ「多発例」はリスクや経過が複雑で、どのように治療するのがよいのかまだはっきりしていない。

そこで、多発の未破裂瘤を持つ患者について、その特徴や治療の結果を整理し、よりよい管理方法をくわしくしらべてみたそうな。

2025年9月26日

脳外科医が語らない“感染性くも膜下出血”──動脈瘤治療の意味が揺らぐとき

2025  9月  ドイツ


くも膜下出血(脳の血管が破れて起きる出血)の多くは、いわゆる「動脈瘤」が原因である。その中で、ごくまれに「感染」が関わって血管の壁が弱り、動脈瘤(感染性脳動脈瘤:MIA)ができることがある。

頻度は全体の1%ほどと非常に少ないが、治療方法や診断の基準がまだはっきりしていない。そこで、この感染性動脈瘤によるくも膜下出血について、患者の特徴や治療、経過をくわしくしらべてみたそうな。

2025年9月11日

日本人医師が明かす──くも膜下出血死亡の本当の原因は“血”ではなく“手術”?

2025  9月  日本


脳血管攣縮は、ふつうは「くも膜下出血」がきっかけで起こる合併症として知られている。これが起こると脳の血流が悪くなり、後遺症につながりやすい。

破れていない動脈瘤(未破裂動脈瘤)を手術でクリップしたあとに血管攣縮が起こることは、ほとんどないと考えられてきた。だが実際には報告例が少なく、詳しい経過や治療の効果はあまり分かっていない。

今回、未破裂動脈瘤のクリップ治療後に血管攣縮が起きたそうな。

2025年9月2日

激烈頭痛で救急へ…しかし9割以上は動脈瘤と無関係

2025  8月  オランダ


突然カミナリが落ちたように起こる激しい頭痛は、ときに命に関わる重大な病気のサインである。特にくも膜下出血はその代表で、放置すれば致命的になりうる。

しかし、救急外来には頭痛を訴える患者が数多く訪れ、すべてのケースで命に関わる病気を見分けるのは簡単ではない。これまで「突然の激しい頭痛」で受診した患者の実態や診断の精度については十分な調査がなされていなかった。

そこで、ある病院における実際の症例を振り返り、その全体像をくわしくしらべてみたそうな。

2025年8月18日

くも膜下出血=動脈瘤の常識が崩れる日

2025  8月  オランダ


くも膜下出血(SAH)の大部分は動脈瘤破裂によるものとされているが、その約15%は非動脈瘤性(nSAH)である。

nSAHはさらに、perimesencephalic SAH(PMSAH)と non-perimesencephalic SAH(NPSAH)に分類される。PMSAHは脳幹周囲に限局した出血であり、静脈起源と考えられていて予後は良好とされている。一方でNPSAHは出血の広がりが大きく、動脈性出血を反映していると考えられ、予後は不良である。

そこで、この二つの病型を比較し、その臨床経過や転帰にどのような差があるかをくわしくしらべてみたそうな。

2025年8月11日

破裂動脈瘤、“今すぐ手術”は本当に必要か──遅らせた方が助かる患者たち

2025  7月  ギリシャ


くも膜下出血(SAH)において、動脈瘤クリッピング手術は再出血予防のために早期に行うことが一般的である。

しかし、発症から手術までの時間が転帰にどう影響するかについては議論があり、特に遅延手術が必ずしも不利ではない可能性が指摘されている。

そこで、発症から手術までのタイミングと臨床転帰の関連をくわしくしらべてみたそうな。

2025年7月19日

発症から72時間後のくも膜下出血は、そっとしておくべきだったのか?

2025  7月  日本


くも膜下出血は再出血による死亡や後遺症のリスクが高く、一般的にはできるだけ早く(発症から72時間以内)動脈瘤を閉鎖する手術を行うべきだとされている。

しかし、すべての患者がすぐに病院にたどり着くとは限らない。頭痛だけで済んでしまう軽症例や、社会的・経済的な事情で受診が遅れる人も多く、発症から3日以上経ってからようやく診断・入院となるケースも少なくない。

こうした「遅れて病院にやってくる患者」に対して、今のところ明確な治療方針は定まっていないので、これまでの患者データをくわしくしらべてみたそうな。

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