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2016年2月16日

大麻の嗜みと脳梗塞の関連


Recreational marijuana use and acute ischemic stroke: A population-based analysis of hospitalized patients in the United States.
2016  2月  アメリカ

嗜好品としての大麻使用には有害事象がほとんどないとされているが、心血管疾患を促すとの報告もある。

そこで脳梗塞との関連を調べてみたそうな。


全米入院患者データベースから2004-2011の急性脳梗塞患者を抽出し、大麻使用歴の有無で分類し 関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・脳梗塞は大麻使用者の方が明らかに多かった。

・この傾向は 特に25-34歳の層で顕著だった。

・大麻使用者は 若年、男性、アフリカ系アメリカ人、メディケイド加入者に多く、

・他の不法薬物も使用していることが多かった。

・脳梗塞のなりやすさは、大麻1.17倍、タバコ1.76倍、コカイン1.32倍、アンフェタミン2.21倍だった。

若年成人の嗜好品としての大麻使用は脳梗塞リスクを17%上げる、


というおはなし。

図:アメリカ大麻マップ

感想:

wikipedia見ると 合法化以前にアメリカじゃ大麻使用がすでにゆるゆるみたいだ。

これ↓思い出した。
大麻と脳卒中の関係について

大麻をやった若者が脳梗塞になったという事例

2016年2月15日

ウツになりやすい脳卒中患者の特徴


Depression predictors within six months of ischemic stroke: The DEPRESS Study.
2016  2月  フランス

脳卒中のあと ウツがあるとリハビリや生活の質に悪影響が及ぶ。

そこで どんな患者がウツになりやすいのか調べてみたそうな。


急性期の脳梗塞患者251人について ウツの有無を6ヶ月間フォローしたところ、


次のことがわかった。

・24%の患者にウツがあった。

・女性、うつ歴、身体障害、脳卒中歴、直近1ヶ月の強いストレス体験、病的な泣き叫び がウツの予測因子だった。

・左脳の尾状核やレンズ核に損傷があるとウツが多かったが、有意差はなかった。

・うつグループには 2つ以上の因子を持っている者が多かった。

発症から6ヶ月以内にウツになりやすい脳卒中患者の特徴を明らかにすることができた、


というおはなし。

図:脳卒中後うつのリスク要因の個数



感想:

女性ってとこがポイントかな。

これ↓思い出した。
男女のストレスへの反応のしかたと脳卒中後ウツとの関連

2016年2月14日

ADL自立の脳卒中患者の復職率がわかった


Return to work after stroke: The KOSCO Study.
2016  2月  韓国

脳卒中の後、機能的に自立レベルにある患者の職場復帰状況を調べてみたそうな。


脳卒中の発症から6ヶ月後、日常生活動作が機能的に自立状態(FIM>120)にある患者933人について調査したところ、


次のことがわかった。

・60.0%が復職していた。

・性別、年齢、教育レベル、合併症が復職に関係していた。

・65歳未満女性と65歳以上男性の復職率は同レベルだった。

・復職できた患者の情動状態は 復職できなかった者よりも良好だった。

機能的に自立状態にあっても復職していなかった脳卒中患者は少なくなかった。復職のためのリハビリテーションが必要だろう、


というおはなし。

図:復職率

感想:

ADL自立と仕事で要求される能力レベルには大きなギャップがあるからな、、

2016年2月13日

嚥下障害のある脳卒中患者の最近


Dysphagia in Acute Stroke: Incidence, Burden and Impact on Clinical Outcome.
2016  2月  スイス

脳卒中後の嚥下障害の予後について最近の状況を調べてみたそうな。


脳卒中センターで治療を受けた患者570人について、嚥下障害の有無と肺炎、入院日数、退院先、3ヶ月後の死亡率を調査したところ、


次のことがわかった。

・全体の20.7%が嚥下障害になった。

・そのうち50.9%は退院時までに嚥下障害が治らなかった。

・嚥下障害の30.5%は重度のため経鼻栄養が必要だった。

・梗塞の位置よりも脳卒中の重症度の方が嚥下障害に関連していた。

・嚥下障害があると、ない場合よりも肺炎に罹りやすく(23.1% vs. 1.1%)、

・自宅へ退院できる割合も少なかった(19.5% vs. 63.7%)。

・また 死亡する割合も多かった( 13.6% vs. 1.6%)。

脳卒中の嚥下障害はいまもなお患者の多くに大きな影響を及ぼしていた、


というおはなし。
図:嚥下障害の有無
感想:

意外と多いのね。

2016年2月12日

軽症脳卒中 超早期の社会サポートの影響


Very early social support following mild stroke is associated with emotional and behavioral outcomes three months later.
2016  2月  フランス

軽症脳卒中で入院直後の社会的サポートと 3ヶ月後の状態との関連を調べてみたそうな。


34人の軽症脳梗塞患者について、入院から24時間以内に受けた社会的サポートの内容と回数をすべて記録し、3ヶ月後のうつや日常生活動作との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・社会的サポートの「回数」と3ヶ月後の状態に関連はなかった。

・しかし 脳卒中直後の友人や家族による精神的サポートは うつを減らし日常生活動作を向上させた。

・友人や家族からの物質的なサポートも日常生活動作の改善につながった。

・医療スタッフから受けたサポートの効果は確認できなかった。

軽症脳卒中の直後に受けたサポートの 量ではなく質が、3ヶ月後の感情面、行動面の改善につながっていた、


というおはなし。

写真:サポート

感想:

これはよくわかるわ、、、よくわかる。

2016年2月11日

交差性失語になったバイリンガルの男性


Recovery of language function in Korean-Japanese crossed bilingual aphasia following right basal ganglia hemorrhage.
2016  2月  韓国

右利き右脳損傷なのに言語に障害を持つことを「交叉性失語」という。

バイリンガルで交叉性失語になった事例があったそうな。


韓国語と日本語に堪能な47歳男性右利きが 右脳基底核に出血を起こし、失語症になった。

韓国語と日本語の回復過程を調べたところ、


次のようになった。

・1ヶ月後の失語指数は韓国語32 日本語51 で日本語の方が回復良好だった。

・脳機能MRIでは両言語ともに左脳の特に下前頭回の働きが活発だった。

・韓国語トレーニングを行って6ヶ月後、韓国語は明らかに改善したが、

・韓国語の改善効果が日本語にも現れることはなかった。

優位脳の皮質下の損傷がバイリンガル男性の一方の言語に影響した。その後 言語機能が左脳に統合されたのだろう、


というおはなし。
図:失語症

感想:

交叉性失語を初めて耳にしたので関心をもった。

2016年2月10日

JAMA誌:課題指向型訓練 やる意味ない


Effect of a Task-Oriented Rehabilitation Program on Upper Extremity Recovery Following Motor StrokeThe ICARE Randomized Clinical Trial
2016  2月  アメリカ

これまで高用量の課題指向型訓練は 脳卒中患者の上肢機能の回復に有効であると信じられてきた。

ほんとうのところをきっちりと調べてみたそうな。


米国7ヶ所の病院から 脳卒中で中等度の上肢機能麻痺の外来患者361人を募り 次の3つのグループに分けた。

A) 課題指向型訓練
B) Aと同用量の作業療法(30時間/10週間)
C) 通常用量(Bの時間半分)の作業療法

12ヶ月間フォローし 上肢機能を評価 比較したところ、


次のことがわかった。

・どう評価しても 3グループ間で上肢機能の改善度に有意な差は見られなかった。

中等度の上肢麻痺患者への課題指向型訓練は、その半分の時間の従来型作業療法と成果が同レベルだった。
脳卒中患者への課題指向型訓練はまったく効果的とはいえない、


というおはなし。

図:課題指向型トレーニング

図:課題指向型訓練


感想:

コントロールとして「病院に来て雑談するだけ」というグループも設けて欲しかったな。

さらに驚くべき結論になる予感、、

追記:
課題指向型訓練 いくらやっても役には立たない

コクランレビュー:反復課題訓練 エビデンスない

訓練繰り返すほど良くなると思ってたら そうでもなかった

2016年2月9日

リハビリ病院ではあまり身体を動かさないことが明らかに


Poststroke Physical Activity Levels No Higher in Rehabilitation than in the Acute Hospital.
2016  2月  スウェーデン

急性期の病院に比べリハビリ病院では 脳卒中患者に対しより高度な身体活動が行われているものか調べてみたそうな。


リハビリ病院4箇所と急性期の大学病院1ヶ所で患者を募り、午前8時から午後5時まで10分毎に活動内容を調査し 比較したところ、


次のことがわかった。

・リハビリ病院で104人、急性期病院で86人の脳卒中患者を対象にした。

・中等度-高度の身体活動を行った総時間は、リハビリ病院24%、急性期病院23%で 有意な差はなかった。

・しかしリハビリ病院ではベッドで寝ている時間は少なく、座位の状態でより多くの時間を療法士と過ごしていた。

リハビリ病院で脳卒中患者は 急性期病院にいる時よりも高度な身体活動を行っているわけではなかった、


というおはなし。

写真:リハビリ


感想:

たしかにその通りだったんだけど、なかなか居心地良かったのでまったく気にしていない。

これ↓思い出した。
日本の理学療法士はどういう根拠に基づいて仕事をしているのか?

2016年2月8日

終末期にある脳卒中患者の特徴は死前喘鳴


End of Life Care for Patients Dying of Stroke: A Comparative Registry Study of Stroke and Cancer.
2016  2月  スウェーデン

終末期にある脳卒中患者の特徴をガン患者の場合と比べてみたそうな。


終末期で緩和ケアを受けていた脳卒中患者1626人およびガン患者1626人の記録を比較したところ、


次のことがわかった。

・ガン患者に比べ脳卒中患者では、死に際に喉がなる死前喘鳴(しぜんぜんめい)が明らかに多かった、

・しかし 吐き気、錯乱、呼吸困難、不安、疼痛は少なかった。

・さらに医療スタッフが上記6つの症状すべてに気づいていないことも多かった。

・また医師から終末期医療や遺族ケアサービスについての詳しい説明を受けていないケースも多かった。

終末期にある脳卒中患者の症状の特徴をガン患者との比較で明らかにできた。緩和ケアの質と家族への教育の向上が求められる、


というおはなし。

図:死前喘鳴


感想:

できるものならガンよりも脳卒中で死にたいな、、

2016年2月7日

エルニーニョは脳梗塞で ラニーニャは脳出血の理由


Impact of seasons, years El Nino/La Nina and rainfalls on stroke-related morbidity and mortality in Kinshasa.
2016  1月  コンゴ

季節や気象条件と脳卒中が関連することはよく知られている。

そこで エルニーニョ現象と脳卒中について調べてみたそうな。


コンゴ民主共和国キンシャサの大学病院で1998-2004の脳卒中患者について、
太平洋赤道域東部の海水温が上昇する「エルニーニョ現象」 および
逆に海水温が低下する「ラニーニャ現象」が発生した年との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・470人の脳卒中患者のうち34.5%が亡くなった。

・気候が平年通りの場合 脳卒中の発生率に変化はなかった。

・エルニーニョの年には降雨が減少し脳梗塞が増えた。

・ラニーニャの年には降雨が増加して脳出血が増えた。

・特にエルニーニョの年の脳卒中は死亡率が高かった。

気象状況をみて脳卒中への注意を促すシステムが必要かもしれない、


というおはなし。

図:エルニーニョ


感想:

「ラニーニャ」 を初めて耳にしたので関心をもった。

2016年2月6日

脳内出血を起こす虫歯菌の種類が判明


Intracerebral hemorrhage and deep microbleeds associated with cnm-positive Streptococcus mutans; a hospital cohort study
2016  1月  日本

虫歯の原因菌のひとつであるミュータンス菌の中には血液中で積極的にコラーゲンに結合して血小板凝集を阻害するタンパク質を作り出すcnm遺伝子を持つ種類がある。

そこで 実際の脳卒中患者にこの種類のミュータンス菌を持つ患者がどれくらいいるのか調べてみたそうな。


脳卒中患者100人について唾液中のミュータンス菌のDNAを調べ、脳卒中の種類との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・患者内訳は 脳梗塞67人、TIA5人、脳内出血27人、協力拒否1人だった。

・このうち11人のミュータンス菌にcnm遺伝子がみつかった。

・cnm種は脳梗塞にくらべ脳内出血患者で4.5倍の頻度で存在し、

・特に深部微小脳出血の数と関連が強かった。

cnmタンパク質を生成するミュータンス菌を持つ人は、脳内出血や深部微小脳出血を起こしやすいのかも知れない、


というおはなし。

虫歯菌で脳出血
cnmミュータンス菌を持つ57歳女性が脳内出血を再発した例


感想:

歯医者さん大喜びだろうな、、、

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