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2019年9月23日

麻痺のない手の機能障害と脳半球


Functional Deficits in the Less-Impaired Arm of Stroke Survivors Depend on Hemisphere of Damage and Extent of Paretic Arm Impairment
2019  9月  アメリカ

脳卒中で麻痺していない方の手の機能障害の報告は1967年からある。

これと損傷脳半球の左右との関係については報告によりことなる。

そこで麻痺のない方の手の機能と損傷脳半球、麻痺手の重症度との関連をくわしくしらべてみたそうな。

2019年9月22日

脳梗塞のあとに心房細動がみつかると認知症


Atrial fibrillation diagnosed after stroke and dementia risk- cohort study of first-ever ischaemic stroke patients aged 65 or older
2019  9月  カナダ

高齢化がすすむにつれ心房細動(AF)の患者も増加傾向にある。かれらの認知障害や認知症のリスクは「AFなし」の2倍以上といわれている。

脳卒中の診断の後に心房細動がみつかる(atrial fibrillation diagnosed after stroke:AFDAS)は急性脳梗塞の24%にみられるという。

脳卒中になるまえから心房細動がわかっている場合(known atrial fibrillation:KAF)にくらべてAFDASは神経性の原因も加わりメカニズムはことなると考えられる。

AFDASは不整脈が30秒以上続かないことがおおいのでKAFよりも認知症リスクは低いと予想できる。しかしその関連はわかっていないのでくわしくしらべてみたそうな。



65歳以上9791人の脳梗塞患者をつぎのグループに分類した。

AFなし:5195人
KAF:脳梗塞まえにAFがみつかる 3162人
iAFDAS:脳梗塞で入院中にAFがみつかる 492人
oAFDAS:退院後にAFがみつかる 942人

認知症の発生を5年半ほどフォローして関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・認知症リスクは「AFなし」にくらべて KAFで1.26倍、AFDASは1.73倍だった。

・iAFDASはoAFDASよりも認知症リスクがやや高かった。

・経口抗凝固薬を使用するAFDAS患者の認知症リスクはAFなしの0.6倍だった。

脳梗塞のあとに心房細動がみつかった患者の認知症リスクはかなり高かった。かれらのうち経口抗凝固薬使用者の認知症リスクは低かった、


というおはなし。

図:脳卒中後の心房細動の認知症リスク



感想:

これ↓思い出した。
心房細動で認知症はほんとうか?

心房細動だけで認知症になることがあきらかに

2019年9月21日

ハイリスク群への葉酸サプリメントの脳卒中予防効果


The effect of folic acid in patients with cardiovascular disease- A systematic review and meta-analysis
2019  9月  中国

ホモシステインは酸化ストレスを高め血管内皮を損傷し血栓の原因をつくる。

葉酸0.5-5.0mgを含むサプリメントを摂ることでホモシステインレベルを25%程度さげることができる。

ホモシステインレベルが25%下がれば虚血性心疾患リスクが11%低くなるという報告がある。

しかし葉酸サプリメントと脳卒中リスクについての過去2つのメタアナリシスでは一致した結論が得られていないので、あらためてメタアナリシスをこころみたそうな。



すでに心血管疾患である患者を対象としたランダム化比較試験で
脳卒中リスク、冠動脈疾患リスク、総死亡リスクをフォローした研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、



次のことがわかった。

・被験者47523人を含む12の研究がみつかった。

・葉酸サプリメントを摂ることで、脳卒中リスクは0.85倍になった。

・総死亡リスクや冠動脈疾患リスクに葉酸サプリメントの有無で差はなかった。

葉酸サプリメントにより すでにハイリスクな人たちの脳卒中リスクがあきらかに低下した、



というおはなし。

図:葉酸サプリメントの脳卒中リスク



感想:

再発防止によさそうってことか。

[葉酸 サプリメント]の関連記事

2019年9月20日

BMJ誌:亜急性期の体トレは効果ないうえに危険


Physical Fitness Training in Patients with Subacute Stroke (PHYS-STROKE)- multicentre, randomised controlled, endpoint blinded trial
2019  9月  ドイツ

トレッドミルをつかった体力トレーニング(physical fitness training)は脳卒中患者の神経可塑性をうながし歩行や日常生活動作を改善すると考えられている。

じっさいアメリカ心臓協会のガイドラインでは、
亜急性期に最大心拍数の55-80%の有酸素運動20-60分間を週に3-5セットおこなうことを勧めている。

しかし亜急性期の体力トレーニングの効果をしらべたこれまでのランダム化比較試験9件のうち実際に効果を示したものは2件のみだった。

そこで体力トレーニングの効果と安全性についてマルチセンター(PHYS-STROKE)トライアルできっちりとしらべてみたそうな。



ドイツ7箇所の施設にて、発症から5-45日
NIHSSスコア8前後の中程度以上に神経症状の重い脳卒中患者200人について、

体力トレーニング105人と
リラクゼーション95人 の2グループにわけた。

体力トレーニンググループは体重支持つきトレッドミル上を最大心拍数の50-60%で25分間歩かせる。

リラクゼーショングループでは心拍に影響のない強度での筋肉緊張を解くエクササイズを25分間おこなった。

両グループともにこれらを週に5回 x4週間継続した。

3ヶ月後の日常生活動作をバーセルインデックスで、最大歩行速度を10m歩行テストでしらべた。
有害事象もフォローした。



次のようになった。

・体力トレーニングはリラクゼーションにくらべ最大歩行速度のあきらかな向上はみられなかった。

・日常生活動作についても差はなかった。

・有害事象は 22 vs. 9件 で体力トレーニングにはっきりと多く、とくに転倒リスクが高かった。

亜急性期の体力トレーニングはまったく効果ないばかりか危険だった。ガイドラインを見直したほうがいい、


というおはなし。

図:PHYS-STROKE



感想:

急性期の運動は効果ないし危険、亜急性期も効果ないし危険。

脳卒中の早期リハビリはがんばる人がバカを見る↓。
Neurology誌:早期リハビリ 気休めにもならない

コクランレビュー:超早期リハビリは効果ないし危ない

【やはり】亜急性期のリハビリは効果ないうえに危険

失語症の早期リハビリ まったく効果ない

超早期リハビリをやってはいけない理由

nature.com:脳卒中の超早期リハビリ やる意味ない

Stroke誌:早期リハビリがんばる意味ない

超早期リハビリで死亡者続出 AVERT続報

超早期リハビリには脳の細胞死を促す効果があった!

ランセット誌:超早期リハビリぜんぜん効果ない

2019年9月19日

シータバースト刺激が脳卒中に良い理由


Beneficial Effects of Theta-Burst Transcranial Magnetic Stimulation on Stroke Injury via Improving Neuronal Microenvironment and Mitochondrial Integrity
2019  9月  中国

反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)は、低い頻度では神経活動を抑制し高頻度では活性化すると考えられている。

うつなどの精神疾患にも応用され アルツハイマー病やパーキンソン病ではβアミロイドを減らしBDNFなどの神経促進タンパクを増やす効果が報告されている。

脳梗塞でのrTMSの影響メカニズムをくわしくしらべてみたそうな。



人為的に脳梗塞にしたネズミに3時間後からrTMSの5Hzのバーストパルスを5日間与えた。

この前後での行動、梗塞体積、脳組織の変化を観察した結果、



次のことがわかった。

・行動障害と梗塞体積があきらかに減少した。

・シナプス減少や神経退化も少なくなった。

・グリア細胞の増殖や炎症性サイトカイン、酸化ストレスによる神経ダメージも抑えられた。

・ミクログリア、アストロサイトの型が 傷害性から保護性にシフトした。

・抗炎症性のサイトカインが増加し、ミトコンドリアの細胞膜の健全性が維持されアポトーシス経路が抑制された。

rTMSのシータ刺激による脳虚血へのつよい神経保護作用がしめされた。炎症-酸化-ミトコンドリアの微小環境への改善効果が関係しているようだ


というおはなし。

図:磁気刺激 脳梗塞


感想:

ネズミ頭部に対するヘルムホルツコイルの巨大さ(上図)が気になった。

脳全体を刺激するシータリズムがミクロレベルにいいのか。

[シータバースト]の関連記事

2019年9月18日

勃起不全と脳卒中のメタアナリシス


Erectile Dysfunction Predicts Cardiovascular Events as an Independent Risk Factor- A Systematic Review and Meta-Analysis
2019  9月  中国

勃起不全(ED)は性交渉に必要な勃起レベルに達しないまたは維持できない状態をさす。ED人口は世界で1億人以上いるとされ、2025人には3億人を超えるという。

脳卒中などの心血管疾患でEDがよくみられることがわかっている。高血圧や糖尿病、喫煙、肥満など共通のリスク要因もすくなくない。

ぎゃくにED患者に心血管疾患が見られるとする報告もおおい。

これらのメカニズムはいまだよくわかっていない。

前回のメタアナリシスではサンプル数が十分でなくEDの程度と心血管疾患リスクとの関連もわかっていない。

そこで最新の研究を含めてEDからの心血管疾患についてメタアナリシスをこころみたそうな。



関係する研究を厳選してデータを統合 再解析したところ、



次のことがわかった。

・被験者154794人をふくむ25の研究がみつかった。

・EDなしにくらべEDがあると心血管疾患リスク1.43倍、冠動脈疾患リスク1.59倍、脳卒中リスク1.34倍、総死亡リスク1.33倍だった。

・EDの程度がひどくなるほど心血管疾患および総死亡リスクがたかくなった。

EDは心血管疾患や脳卒中、総死亡リスクとあきらかな関連があった。重度のEDほどこれらリスクは高かった、


というおはなし。

図:勃起不全の程度と心血管疾患リスク


感想:

たしかに脳が血を吹く1年くらいまえから元気がなかったわ。
左脳をやられると勃起不全

脳のここをやられると勃起不全になる

2019年9月17日

こども脳卒中のIQと言語機能と脳半球


Language and cognitive outcomes after childhood stroke- Theoretical implications for hemispheric specialization
2019  9月  フランス

子供(1ヶ月~15歳)の脳卒中率は年間10万人あたり0.2-7.9人で、脳梗塞と脳出血はほぼ同数といわれている。

彼らの3分の1は完全回復し、半数は長期に障害が遺る。

これまでなされた彼らの言語機能についての調査はすくなくサンプル数もちいさい。

そこで大規模にくわしくしらべてみたそうな。



1992-2015の子供脳卒中患者184人について、

発症4ヶ月後にウェクスラー式知能検査をおこない、最大40ヶ月後までフォローした記録を解析したところ、



次のことがわかった。
・脳卒中の種類は、脳梗塞が79人 脳出血が105人だった。

・IQの平均値は、フルスケール 85, 言語 93, パフォーマンス 85 だった。

・語彙、文法表現と理解については26-52%が障害レベルだった。

・学校の標準カリキュラムについてゆける子供は27%に過ぎず、

・別の27%は特殊学級プログラムが適用されていた。

・左脳損傷での言語関連スコアはあきらかに低く発症年齢によらなかった。

・右脳損傷では6歳以下の発症のとき言語関連スコアが低かった。

脳卒中を経験した子供のおおくは知能指数が障害レベルで、とくに左脳損傷のばあい言語機能がいちじるしく影響を受けた、


というおはなし。

図:子供脳卒中 言語スコア 左右脳損傷



感想:

必ずしもそうでもないみたいなんだよな↓。
こどもの発話障害 構音障害

こども脳の可塑性が言語回復をさまたげる

2019年9月16日

大動脈瘤とくも膜下出血の関係


Association of Aortic Aneurysms and Dissections With Subarachnoid Hemorrhage
2019  9月  アメリカ

脳動脈瘤と大動脈瘤は 共通するリスク要因はあるものの、その形成メカニズムがまだよくわかっていない。

経験的には大動脈瘤患者に脳動脈瘤がよくみつかるといわれているが、くわしい調査はないのでこれらの関連をしらべてみたそうな。

2019年9月15日

cell.com:脳をガッツリ再生するNeuroD1遺伝子治療


A NeuroD1 AAV-Based Gene Therapy For Functional Brain Repair After Ischemic Injury Through In Vivo Astrocyte-To-Neuron Conversion
2019  9月  アメリカ

哺乳類の脳は海馬や脳室下帯をのぞいて神経再生機能をもっていない。そのため虚血で損傷した脳組織が自力で再生できる割合は失われた神経の1%にも満たないとされている。

神経前駆細胞を外部から導入する実験では動物や人で期待できる成果が得られている。
いっぽう神経幹細胞の導入には免疫拒絶や腫瘍化など問題がおおい。

さいきん、脳に豊富にあるグリア細胞(アストロサイト)を神経細胞に変身させる転写因子「NeuroD1」が実験室レベルでみつかった。

これを実際に脳の中で働かせることができれば失われた神経細胞を再生でき、しかももともと周辺にあった細胞なので機能回復に好都合かもしれない。

そのための技術を開発し動物で実験してみたそうな。

2019年9月14日

若年脳卒中にがんが見つかる率


Increased risk for cancer after stroke at a young age- etiological relevance or incidental finding?
2019  9月  ドイツ

脳卒中患者のほとんどは75歳以上であるが、およそ10%は55歳以下という。

彼ら若年者が脳卒中になる原因は血管リスク要因だけでは説明がつかない。

潜在的ながんにより引き起こされる血栓形成傾向(thrombophilia)についての報告がいくつもあがっている。

これらの研究のおおくはがん患者の脳卒中の発生をしらべたもので、脳卒中になったのちがんが診断されたケースの調査はすくない。

そこで脳卒中患者を10年間フォローした研究データをつかってくわしくしらべてみたそうな。



ドイツの医薬品疾病データベースから
がんと診断されていない脳梗塞患者18668人と、同数の脳卒中でない患者記録を抽出してその後10年間のがん診断の有無との関連を解析したところ、



次のことがわかった。

・全体の15.5%が55歳以下だった。

・脳卒中患者のがん診断率は、高齢で29.4%、55歳以下17.3%だった。

・非脳卒中患者とくらべ脳卒中患者のがん診断率は高く、55歳以下では17.3% vs. 9.5%、高齢では29.4% vs. 24.9%だった。

若年で脳卒中になった患者の10年間のがん診断率は非脳卒中患者のおよそ2倍だった、


というおはなし。

図:若年脳卒中のがん発症率


感想:

これ↓おもいだした。
脳卒中患者にしめるがんの率

脳卒中のあと がんになりやすいは本当?

脳卒中後のがんは6ヶ月以内にみつかりすでに手遅れ

がんの宣告を受けると脳梗塞になる

軽い脳梗塞とホッとしていたのも束の間 実はガンでしたと告げられる患者の割合と見分け方

若い脳梗塞患者でガンで亡くなってしまう人の特徴

なぜ脳梗塞患者はガンになりやすいのか

2019年9月13日

Stroke誌:脳電気刺激の神経保護効果


Central Nervous System Electrical Stimulation for Neuroprotection in Acute Cerebral Ischemia
2019  9月  アメリカ

中枢神経系への電気刺激は脳卒中からの回復促進に応用されることがあり 頭皮に電極を貼り弱い電流を流すtDCSやtACS が知られている。

ほかに侵襲性の高い方法として脳深部に電極を挿し込む刺激法もある。

中枢神経系への電気刺激には虚血に陥った脳組織を保護する効果も期待されていて、動物実験での報告がおおくある。

刺激の考え方はおもに2つあって、1つは虚血脳半球に直接電極を貼る方法で、もう1つは虚血部位から離れた核(nuclei)を電気刺激する方法である。

そこで中枢神経系への電気刺激の神経保護効果についてこれまでの前臨床研究のメタアナリシスをこころみたそうな。



関係する動物実験の研究を厳選してデータを統合 再解析した。

6つの刺激戦略について最終的な梗塞体積の変化を調べた。

そのうち3つは陰極、陽極または交互にパルス刺激する方法で、

残りの3つは虚血域からはなれた以下の核をターゲットにした刺激である。
室頂核(fastigial nucleus)、
視床下血管拡張域(subthalamic vasodilator area)、
背側中脳水道周囲灰白質(dorsal periaqueductal gray)。



次のことがわかった。

・350の実験動物をふくむ21の急性脳虚血への電気刺激についての研究がみつかった。

・全体として、電気刺激なしに比べて梗塞体積は37%減少した。

・刺激方法ごとに効果はことなり、とくに虚血脳半球への刺激では陰極半球刺激(cathodal hemispheric stimulation:CHS)でのみあきらかな梗塞体積の減少(27%)がみられた。

・虚血域からはなれた核への刺激方法3つはすべてで梗塞体積が半分ほどになっていた。

・臨床応用へはCHSがもっとも有望と考えられた。

中枢神経系への電気刺激の前臨床実験では梗塞体積をちいさくすることができた。人の臨床実験には虚血半球への陰極刺激が適していると考えられる、


というおはなし。

図:陰極半球刺激と梗塞体積のメタアナリシス



感想:

動物では頭をあけて直接電極を貼ったり強い電流つかったりできるのでなんらかの効果を観測できる。

ところが人に応用する場合、たとえば「経頭蓋のtDCSやtACS」だとそもそも脳に電流がとどかない。
さらに通電中は電極に接する皮膚のチクチク感が常にあるため被験者にたいし盲検を設けることができないという本質的な問題もかかえる。

そのためtDCSやtACSの臨床実験では 被験者が実験意図を容易に忖度(そんたく)してしまいポジティブなデータばかりが得られてしまう。
tDCSってホントに脳を刺激してるの?

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