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2016年10月2日

若年脳卒中経験者の白質繊維はユルユルになる?


Remote Lower White Matter Integrity Increases the Risk of Long-Term Cognitive Impairment After Ischemic Stroke in Young Adults
2016  9月  イギリス

脳卒中後の認知障害は若年患者に多い。これは損傷ボリュームや位置との関連ではじゅうぶんに説明がつかない。
最近、これら患者で梗塞から離れた位置の白質の整合性が低下しているという報告がある。

そこで若年脳卒中経験者の白質と認知機能との長期的関連について調べてみたそうな。


18-50歳の脳梗塞経験者117人について、発症から約11年後に拡散テンソルMRIを撮り、認知機能テストとの関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・認知パフォーマンスの悪い脳卒中経験者では、梗塞から離れた位置での白質のまとまり具合が明らかに低下していた。

・認知障害のない71人とくらべ認知障害のある25人では白質のまとまり具合の低下が対側の脳半球にまで及んでいた。

脳卒中の症状は一時的であっても、離れた白質の整合性低下は長期に及び 認知障害をまねいていると考えられた 、


というおはなし。

図:脳梗塞患者の白質繊維の異方性


感想:

これ Nature Reviews Neurologyで取り上げられてた。
にわかには信じられないけど、脳の可塑的変化の過程だと言ってる。

2016年10月1日

周産期脳卒中やった子供はADHDが徐々に進む


Attention and executive functioning profiles in children following perinatal arterial ischemic stroke.
2016  9月  アメリカ

周産期(妊娠22週から出生後7日未満)の脳卒中を経験した子供の多くは運動、言語、認知機能に後遺症を抱えるという。

彼らの注意 遂行能力について詳しく調べてみたそうな。


周産期動脈性脳梗塞を経験した3-16歳の子供40人について注意 遂行能力を調べ、両親への聞き取り調査も行ったところ、


次のことがわかった。

・周産期脳卒中を経験した子供の注意 遂行能力は、作業記憶を除いて 健常な場合よりも明らかに低下していた。

・しかし作業記憶も年齢が進むにつれ低下していった。

・テスト時に年長者ほど注意欠陥多動性障害(ADHD)の症状が目立つようになっていた。

・性別はこれらパフォーマンスに関連がなかった。

医療者、家族、教育者は周産期脳卒中を経験した子供の後遺症について理解しておくべきだろう、


というおはなし。
図:脳卒中の子供とADHD


感想:

これ↓思い出した。
小児の脳卒中 最悪の発症時期は、、

2016年9月30日

性活動障害 脳卒中患者と健常者の比較


Sexual disorders in stroke patients compared with control subjects in Benin: A prospective study.
2016  9月  ベナン共和国

脳卒中により性器や性生活に障害が生じることがあるが これらの問題はなかなか表に出にくい。


23-72歳 発症から6ヶ月未満の脳卒中患者67人と同性同年齢の健常者67人について調査したところ、


次のことがわかった。

・脳卒中は性活動障害の明らかなリスク要因で、健常者にくらべ性機能障害15倍、性的不活発5倍だった。

・男性の場合、勃起不全、射精障害(早漏、遅漏)で、

・女性は 性欲障害、性的興奮障害、腟乾燥、不感症、性交疼痛 だった。

・降圧薬や抗血小板薬の使用がこれらの問題に関連していた。

脳卒中患者の性活動障害は珍しくないのでQoL改善のため適切な対応が必要だろう、


というおはなし。

図:性機能障害 脳卒中患者の

感想:

このテーマ 関心高いわりには くわしい論文めったに出会わない。

2016年9月29日

左脳の半側空間無視と腹側注意ネットワーク


Visual neglect after left-hemispheric lesions: a voxel-based lesion-symptom mapping study in 121 acute stroke patients.
2016  9月  ドイツ

左脳損傷による半側空間無視は 右脳損傷にくらべ頻度はすくなく症状も軽いと考えられている。

その実際のところと 脳のどの部位が深く関連しているのか調べてみたそうな。


急性期の左脳脳梗塞患者121人について半側空間無視の有無を調べ、MRI画像と無視症状との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・患者の17.4%が半側空間無視と診断された。

・右方向への半側空間無視は、左脳の上側頭回 中側頭回 側頭極 前頭弁蓋 島皮質 と関連していた。

・無視症状の重症度は 左脳の前側頭葉や前頭弁蓋と関連があった。

・左脳損傷エリアには 半側空間無視に関連が深いと考えられる右脳の "腹側注意ネットワーク" の対称位置が含まれていた。

左脳の脳卒中患者を調べた結果、多くの患者で空間認識に左脳が必須と考えられた。その関連部位も明らかにできた、


というおはなし。
図:左脳の脳卒中で半側空間無視と腹側注意ネットワーク

感想:

左脳と無視関連でこれ↓思い出した。
左脳をやられると右への気付きがちょっと遅れる

左脳損傷で右の半側空間無視になる患者の割合

2016年9月28日

脳内出血でまもなく亡くなってしまう患者の特徴


Predictors of 30-day mortality in patients with spontaneous primary intracerebral hemorrhage.
2016  8月  ドイツ

脳内出血患者の死亡率は高い。

そこで30日以内に亡くなる割合と、予後不良患者の特徴を調べてみたそうな。


平均年齢67、突発性脳内出血患者342人の医療記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・患者102人が外科手術を受け、240人は保存療法だった。

・30日死亡率は25.15%だった。

・死亡率が高く予後の悪いハイリスクグループは、入院時グラスゴーコーマスケールが11未満で血腫体積が32mLより大きかった。

突発性脳内出血患者の30日死亡率は25%で、入院時の意識状態と血腫の大きさをみれば予後の良し悪しがわかる、


というおはなし。
図:脳内出血と回復度

感想:

上のグラフみると low riskグループがぜんぜんLowじゃないのな、、

2016年9月27日

くも膜下出血が大きな病院を選ぶべき理由


Impact of hospital case-volume on subarachnoid hemorrhage outcomes: A nationwide analysis adjusting for hemorrhage severity.
2016  9月  アメリカ

くも膜下出血の予後は入院した病院の年間症例数に依るとする報告がある。

この点を入院時の重症度も含めて検証してみたそうな。


206-2011の診療報酬データベースから11607件のくも膜下出血患者記録を抽出して 各患者の重症度を考慮に入れて解析したところ、


次のことがわかった。

・患者の67%が年間症例数20件以上の病院で、33%が20件未満の病院だった。

・血管内治療は 58.5% vs 51.2%で高症例数病院で多く、

・他病院から送られて来た患者も 35.4% vs 19.7%で高症例数病院が多かった。

・高症例数病院の院内死亡率は0.82倍、回復良好率は1.16倍だった。

くも膜下出血の重症度を考慮にいれても、年間症例数の多い病院ほど院内死亡率が低く 機能回復率も高かった、


というおはなし。
図:くも膜下出血と年間症例数

感想:

これ↓思い出した。
手術件数が少ない病院だと生きて帰れないの? くも膜下出血のバアイ

2016年9月26日

TIAのあとまもなく脳梗塞になる日本人の割合と特徴


Incidence, predictors, and etiology of subsequent ischemic stroke within one year after transient ischemic attack.
2016  9月  日本

TIA(一過性脳虚血発作)のあとは脳梗塞のリスクが非常に高まると言われている。

どんなTIA患者が脳梗塞を起こしやすいのか、日本人について調べてみたそうな。


2011-2013に57の病院にかかったTIA患者1245人を1年間フォローしたところ、


次のようになった。

・この間に、8.1%が脳梗塞を起こした。

・主な病因はアテローム硬化による小血管病変で TIAから90日以内に多く、

・TIAから90日以降では心塞栓タイプの脳梗塞が増えた。

・1年間の脳梗塞発症率はABCD2スコアに従い高くなり、0-3ポイントで6.2%、4-5ポイントで7.2%、6-7ポイントで11.6%だった。

TIA後1年間でおよそ8%が脳梗塞になり、ABCD2スコアとよく関連していた。主な病因は小血管病変だった、


というおはなし。
図:TIA後1年間の脳梗塞リスク


感想:

8%って思ってたよりすくないな。

ABCD2スコア↓これ

A:age 年齢 60歳以上(1点)
B:blood pressure 血圧 140/90mmHg以上(1点)
C:clinical features 臨床像 片麻痺(2点)運動麻痺のない言語障害(1点)
D:duraition of symptoms 持続時間 10~59分(1点)60分以上(2点)
D:diabetes 糖尿病 (1点)

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