~ 5000超の記事をシンプルな単語で検索するよ!

2016年11月23日

血管性認知症 血圧と年齢との関連


Blood Pressure and Risk of Vascular Dementia
2016  5月  イギリス

血管性認知症はTIAや脳卒中がきっかけで発症し 認知症原因の第2位を占める。

高血圧は脳卒中のリスク要因であるいっぽう、血圧の低い高齢者は認知症リスクが高いとする報告がある。

そこで血圧と年齢、血管性認知症との関連を大規模に調べてみたそうな。


428万人健康情報データベースを使って解析したところ、


次のことがわかった。

・7年間に11114件の血管性認知症事例があった。

・血圧にたいする認知症リスクの上昇度は 年齢が高くなると低下した。

・高齢者の血圧と認知症リスクの逆相関は確認できなかった。

TIAや脳卒中のあと 血圧は70歳以下での血管性認知症のあきらかなリスク要因だった。しかし高齢者の血圧と認知症の逆相関は認められなかった、


というおはなし。
図:血圧と血管性認知症と年齢

感想:

グラフみると71-90歳の収縮期血圧120あたりのHRが爆上げ状態にみえる。けど統計学的には意味がないんだって。

2016年11月22日

脳卒中経験者にPM2.5 長期死亡率は、、


Effect of Exhaust- and Nonexhaust-Related Components of Particulate Matter on Long-Term Survival After Stroke.
2016  11月  イギリス

大気汚染が脳卒中の発症リスクになるという報告は数多くある。

そこで大気汚染が脳卒中経験者の長期死亡率にも影響するものか調べてみたそうな。


ロンドン脳卒中患者データベースの1800の患者事例をつかって 浮遊粒子状物質PM2.5,PM10と死亡率との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・PM2.5に曝された脳卒中経験者の5年内死亡率は明らかに上昇した。

・特に脳梗塞で高く、前方循環梗塞で2倍、ラクナ梗塞では1.78倍だった。

・PM10でもラクナ梗塞患者の死亡率は1.45倍になった。

・汚染源を排気系、非排気系に分けると死亡率上昇は見られなかった。

脳梗塞のあと大気汚染物質PM2.5に曝されると死亡率が上昇する、


というおはなし。

図:大気汚染と脳卒中経験者の死亡率

感想:

黄砂現象も影響しうるってことだよな。
中国からの飛来物質が原因と思われる脳梗塞被害が福岡で多発!

2016年11月21日

コクランレビュー:反復課題訓練 エビデンスない


Repetitive task training for improving functional ability after stroke.
2016  11月  イギリス

特定課題の反復訓練は脳卒中リハビリの基本と信じられており、CI療法やロボット訓練、トレッドミル訓練の根拠にもなっている。

はたして反復課題訓練にリハビリ効果があるものか 今更ながらに検証してみたそうな。


現在までの関連する信頼性の高い研究を厳選し、データを統合 再解析したところ、


次のようになった。

・被験者1853人を含む33の臨床研究がみつかった。

・通常の理学療法やプラセボにくらべて 反復課題訓練での上下肢の運動機能の改善度は小さかった。

・その効果はせいぜい6ヶ月程度しか持続しなかった。

・転倒などの有害事象はなさそうだった。

反復課題訓練のエビデンスは上下肢ともに低レベルかつ効果限定的であり とても薦められるものではない、


というおはなし。

図:反復課題訓練のQOL効果

感想:

そんなことより もうかれこれ7年間この種の情報を調べているけど、理学療法が具体的に何を指すのかいまださっぱりわからない。

 JAMA誌:課題指向型訓練 やる意味ない

2016年11月20日

椎骨動脈乖離で脳梗塞 回復できない条件が明らかに


Impacts of Cigarette Smoking and Basilar Artery Flow on 1-year Recovery in 3-Month survivors of Intracranial Vertebrobasilar Artery Dissection-related Ischemic Stroke.
2016  11月  台湾

椎骨脳底動脈解離は脳後方循環梗塞の原因になる。その長期的な回復度についての研究は多くない。

そこで椎骨脳底動脈乖離で後方循環梗塞になった患者の1年後の予後不良要因を調べてみたそうな。


台湾の脳卒中患者データベースから2012-2014の事例を抽出して解析したところ、


次のことがわかった。

・60人の患者のうち1年後 61.7%は障害なし、21.6%に中等度より重い身体障害が残った。

・高齢、喫煙歴、椎骨動脈の低流速が予後不良要因だった。

・特に喫煙歴と椎骨動脈の低流速が重なると予後不良率は276倍になった。

入院時の重症度に依らず喫煙歴があって椎骨動脈の流速が遅いと1年後の回復度がほぼ間違いなく良くなかった、


というおはなし。
図:椎骨動脈乖離の予後と喫煙歴

感想:

どのくらいの期間喫煙してたか、脳卒中のあとに喫煙止めたかどうかについては情報が得られなかったんだって。

2016年11月19日

メロディックイントネーションは慢性期の失語に効かない


Melodic Intonation Therapy in Chronic Aphasia: Evidence from a Pilot Randomized Controlled Trial.
2016  11月  オランダ

メロディック・イントネーション・セラピー(MIT)はメロディやリズムに合わせて発話を促す訓練法で、非流暢性の失語症患者に効果的であると考えられている。

しかしランダム化比較試験(RCT)はほとんど行われていない。

そこでMITのRCTを慢性期脳卒中患者で試してみたそうな。


脳卒中の発症から1年以上の失語症患者をMITあり10人、MITなし7人の2グループに分け6週間訓練をおこなった。

訓練終了から6週間後までフォローしたところ、


次のようになった。

・MITにより訓練内容の反復発話能力は明らかに改善した。

・しかし効果は持続しなかった。

・過去におこなった亜急性期患者を対象にした同条件の実験結果にはまったく及ばない限定的な効果しか得られなかった。

慢性期脳卒中患者へのメロディック・イントネーション・セラピーは亜急性期の患者に比べ効果が限定的だった、


というおはなし。

図:メロディックイントネーションセラピーの効果

感想:

これ↓思い出した。
メロディック・イントネーション・セラピーに音の高さ変化は必要か

メロディック・イントネーション・セラピーで脳の量が増えた

2016年11月18日

小学生むけに作成した脳卒中マンガ教育資料とは


Delivering Knowledge of Stroke to Parents Through Their Children Using a Manga for Stroke Education in Elementary School.
2016  11月  日本

脳卒中の血栓溶解治療が有効な時間は短い。初期症状をすばやく見極め救急要請できる知識が多くの人に求められている。

そこで小学生を脳卒中教育して両親に伝えるため、講義とマンガでどちらが学習効果的か実験してみたそうな。


大阪府吹田市の6つの小学校で11-12歳の生徒562人を2グループに分けた。
*専門家の講義のみを45分間うける。
*アニメを10分観て、マンガ資料を10分読む。講義はなし。

両グループともにマンガ資料を自宅に持ち帰り両親に学んだことを伝える。
3ヶ月後に脳卒中に関する知識をテストしたところ、


次のようになった。

・両グループの子供と両親ともに脳卒中のリスク要因や初期症状についての知識レベルは明らかに向上した。

・しかし子供のテスト結果は、講義のみのグループのほうが有意にすぐれていた。

・初期症状を示すFAST(Face Arm Speech Time)の意味についての質問では 両グループの子供と両親の正答率は90%で差はなかった。

小学生への脳卒中教育にマンガ資料を用いてみたが 専門家による講義のほうがより効果的だった、


というおはなし。
図:マンガで脳卒中の勉強

感想:

マンガってシリアスな内容を伝えるのにぜんぜん適していないと思う。

『でぇじょぶだ、ドラゴンボールで生き返る!』←この軽さ。

2016年11月17日

脳卒中やった子供には特殊支援教育が必要?


Long-term motor, functional, and academic outcome following childhood ischemic and hemorrhagic stroke: A large rehabilitation center-based retrospective study.
2016  11月  フランス

こどもの脳卒中は成人にくらべると稀で 多くは脳出血であり死亡率は高くない。しかし運動や認知機能への長期の影響が懸念されている。

それらを調べてみたそうな。


脳卒中のあとリハビリ病院へ移動した子供128人(急性脳梗塞46人 脳出血82人)の医療記録を抽出し、3年半後の運動機能 学業状況との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・運動障害の割合は入院時89%、退院時70%だった。

・脳出血の運動機能回復は脳梗塞よりも明らかに良かった。

・40%の子供が特殊支援教育を受けていた。

・この状況は発症後のIQテストスコアに反映されていた。

こどもの脳卒中は長期にわたり運動 認知 学習能力に深刻な障害をもたらしていた、


というおはなし。
図:特殊支援教育を受ける脳卒中の子供

感想:

学業的に不利になるとは思ってたけど、特殊支援教育40%って多くない?

ご意見 ご感想はこちら

名前

メール *

メッセージ *