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2017年1月28日

脳卒中やった子供の社交性


Psychosocial function in the first year after childhood stroke.
2017  1月  オーストラリア

子供の脳卒中は脳の発達をさまたげ 運動 認知 言語能力に問題を生じうることが知られている。しかし心理社会的な影響についてはよくわかっていないので調べてみたそうな。


平均年齢6.8歳の子供脳卒中患者37人について、発症後1年間の社交性をフォローした結果、


次のことがわかった。
・6ヶ月後、12ヶ月後の社交性は発症まえにくらべ 劣っていた。

・とくに感情障害や注意欠陥、多動性といった心理的な問題がおおかった。

・発症年齢がおそくなるほど、神経症状が重いほど社交性が低下した。

・これら心理社会的問題は親のメンタルヘルスとよく関連していた。

脳卒中を経験した子供の中には心理社会的な障害を受ける者が少なからずいた。特に子供の年齢や神経症状、親の精神状態が関連していた。親の影響がつよいことから 家族へのサポートが子供の治療につながるかもしれない、


というおはなし。
図:子供脳卒中の社交性

感想:

大人=高年齢の子供 と考えるとソーシャル能力へのダメージは計り知れない。フェイスブックとツイッターに挫折した原因はこのあたりにあるのかも。

2017年1月27日

麻痺してない上肢はほんとうに麻痺していないのか?


Movement Kinematics of the Ipsilesional Upper Extremity in Persons With Moderate or Mild Stroke.
2017  1月  スウェーデン

脳卒中で損傷した脳半球と同側の手脚も麻痺の影響を受けるとする報告が増えてきている。

同側の麻痺の影響が日常生活動作にどの程度影響するものか調べてみたそうな。


軽症脳卒中患者40人と健常者20人について、
発症間もない頃と3ヶ月後の水飲み動作を3Dモーション解析した。

2017年1月26日

自宅でかんたん半側空間無視治療 VFTとは


Efficacy of home-based visuomotor feedback training in stroke patients with chronic hemispatial neglect
2017  1月  イギリス

半側空間無視の治療法は数多く提案されてはいるが 効果は定かでなく手法もまちまちで臨床応用がむつかしい状況にある。

シンプル過ぎてこれまでほとんど見向きもされなかった治療法に
"視覚運動フィードバック訓練"(Visuomotor Feedback Training:VFT) がある。

VFTは目の前に置かれた棒の中点を推定し、その位置を指でつまみ上げるだけの動作がメイン。

半側空間無視により視野が左右の一方に偏っている場合 持ち上げた棒がおおきく傾くため中点位置の誤りが瞬時にフィードバックされる。長さの異なる棒をいくつか用意してこの動作を繰り返すだけなので、簡単かつ経済的な治療法でもある。

VFTの自宅訓練効果を長期的かつ日常生活的に評価してみたそうな。


右脳損傷で半側空間無視の脳卒中患者20人をVFTと比較グループに分けた。
50、75、100cmの棒を使用した。
VFTは自宅で2週間にわたり1回約15分の訓練を計10セッションおこなった。
比較グループは棒の右端をつまみ上げる訓練をおこなった。

直前、直後、4ヶ月後に複数の指標で空間無視の程度を評価した。


次のようになった。

・線分二等分テスト、行動性無視検査など短 長期的にVFTグループでスコアが明らかにすぐれていた。

・VFTグループでは日常生活動作の改善もあった。

視覚運動フィードバック訓練VFTは自宅でできる簡単 効果的な半側空間無視の治療法である。さらなる研究が期待される、


というおはなし。
図:Visuomotor Feedback Training

感想:

シンプルでいい。
この方法 20年くらいまえに発見されて、いままで2件の研究しかないんだって。

2017年1月25日

胃ろうが必要でない脳卒中患者のBMIは、、


Factors Predicting Recovery of Oral Intake in Stroke Survivors with Dysphagia in a Convalescent Rehabilitation Ward.
2017  1月  日本

脳卒中のあとの嚥下障害は27-64%の患者にみられ、半数は2週間以内に回復する。胃ろうや経鼻チューブなどの対策はいずれも一長一短であり避けれるものなら避けたい。

そこで経口摂取が勝手に復活する患者の特徴をしらべてみたそうな。


2009-2015に脳卒中で嚥下障害になった患者のうち
リハビリ病院へ転院するまでに経口摂取が可能になった患者とそうでないグループとにわけ特徴を比較したところ、


次のことがわかった。

・経口摂取可能になった34人とそうでない38人の記録がみつかった。

・経口可能になったグループは年齢が若く、BMIが高く、発症から入院までが短かった。

・経口可能予測因子は、入院時の肥満度BMI、認知機能的自立度FIM、嚥下重症度DSSの3つであり、

・これら3つの変数からその後の経口摂取の可否を精度良く予測できた。

脳卒中で嚥下障害の患者のうち、BMI、 FIM、DSSが高い者は退院までに経口摂取が可能になった。これら患者への胃ろう造設を避けることができるだろう、


というおはなし。

図:経口摂取可能とBMI

感想:

このブログはじめてから、痩せてることが善とするはなしをきいたことがないわ。

2017年1月24日

要介助の割合 3年間の傾向


How Many Patients Become Functionally Dependent after a Stroke? A 3-Year Population-Based Study in Joinville, Brazil.
2017  1月  ブラジル

脳卒中のあと3年間でどのくらいの患者が要介助にあるのかしらべてみたそうな。


ブラジル・ジョインヴィレでの2009年の脳卒中患者407人について電話アンケートもつかって3年後までフォローしたところ、


次のことがわかった。

・患者内訳は脳梗塞が83%、脳出血10%、クモ膜下出血7%だった。

・退院時点での要介助状態(mRS=3-5)の患者は32.7%だった。

・退院時から3年後までの要介助患者の割合は、脳梗塞で33%→8%、

・脳出血で38%→14%、クモ膜下出血で19%→4% と推移した。

・脳梗塞のなかでは心原性のタイプがもっとも要介助リスクが高かった。

脳卒中のあと最初の1年間は3分の1の患者が要介助だった、


というおはなし。
図:脳卒中後の要介助割合

感想:

うえのグラフだと要介助の減少は回復したからではなく 死亡が理由のようにもみえる。

2017年1月23日

ヨーガは脳卒中にいいの?


Determining the potential benefits of yoga in chronic stroke care: a systematic review and meta-analysis.
2017  1月  オーストラリア

ヨーガは仏教やヒンズーに由来し 姿勢維持、呼吸法、瞑想などからなる伝統的な健康法である。これは脳卒中後の長期にわたる身体的 心理的問題への助けになる可能性がある。

これまでの研究をまとめてみたそうな。


1950年以降の関連する研究を厳選し データを統合 再解析したところ、


次のようになった。

・5つの研究がみつかった。いずれもサンプルサイズはn=17-47で小さかった。

・ヨーガは不安やうつの改善に効果があった。

・バランス能力やQoLにも良さそうだった。

ヨーガ人気のわりにはエビデンスは少なかった。慢性期脳卒中患者の心理面での改善効果がありそうだった、


というおはなし。
図:ヨーガの脳卒中効果

感想:

ヨーガ自体 漠然としていてなんだかよくわからないとこがいちばんの問題じゃないかね。

2017年1月22日

教育歴と脳卒中後の認知障害について


Effect of Formal Education on Vascular Cognitive Impairment after Stroke: A Meta-analysis and Study in Young-Stroke Patients.
2017  1月  オランダ

脳卒中のあとの血管性認知障害は脳損傷が同程度であっても個人でおおきく異なる。これは教育歴からくる認知的予備力の差によるとも考えられる。

そこで血管性認知障害と教育歴との関連をくわしくしらべてみたそうな。


関連する過去の研究を厳選し データを統合 再解析した。

これとは別に若年脳卒中患者277人と健常者146人を11年間フォローしたデータを解析した。


次のことがわかった。

・被験者7770人を含む21の研究が見つかった。

・いずれの研究も規模がちいさかった。教育歴が血管性認知障害におよぼす影響は強いとは言えなかった。

・若年患者277人11年の調査では 低教育歴の患者で注意力が平均を下回ることが多かった。


教育歴と血管性認知障害に関連はあったが その影響は小さかった。低教育歴の脳卒中患者で注意力の低下が見られた、


というおはなし。
図:

感想:

認知的予備力は「テスト慣れ」の別表現だとおもう。

リハビリ入院直後にテストがあって、文字と図形をひたすら対応させる課題だった。試験者が説明しているあいだに全部のパターンを暗記しておいたら「こんなスコアいままで見たことが無い!」って驚かれたよ。

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