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2017年4月11日

脳卒中患者が医師のアドバイスを無視するとき


How do stroke survivors and their carers use practitioners’ advice on secondary prevention medications? Qualitative study of an online forum
2017  4月  イギリス

降圧薬や脂質低下薬、抗凝固薬は脳卒中の再発予防に有効と考えられているが、患者は時間が経つにつれ薬を飲まなくなってしまう。

そのあたりの背景をさぐるべく、ネット掲示板の書き込みを分析してみたそうな。


脳卒中協会運営のネット掲示板Talkstrokeの2004-2011の書き込み記録から、脳卒中の再発予防薬とかかりつけ医のアドバイスに関連するものを抽出したところ、


次のことがわかった。

・43スレッド、20000以上の投稿から50人の投稿者が浮かび上がった。

・薬の副作用を医師に相談すると、薬を変えるか現行の治療を続けるようアドバイスされる。

・これに対し患者は、1)なっとくして従う か、 2)無視して薬をやめる、3)ネット掲示板で他の患者に相談する などした。

・医師のアドバイスが無視されるケースは、主にスタチンの副作用で 1,2度相談を受けたあとにおおかった。

ネット掲示板を分析したところ、脳卒中の再発予防薬の副作用 とくにスタチンのそれは患者に多大な不安と憤りを与えており、医師にほとんど相談しない場合もすくなくなかった、


というおはなし。
図:スタチンの副作用とアクション


感想:

スタチンってそんなにわりいヤツだったのか、、、知らなかったぞ。
脳卒中の相談にネット掲示板は役にたつか?

2017年4月10日

夢を見て暴れるひとの脳卒中のなりやすさ


Probable REM sleep behavior disorder and risk of stroke
2017  4月  アメリカ

レム睡眠行動異常症(RBD)は睡眠中の夢のなかでの行動がそのまま手足の動きや寝言となってあらわれ、かたわらで寝ている相手を傷つけることさえある。
RBDとパーキンソン病、レビー小体認知症、多系統萎縮症とは関連があるとされている。

そこで 脳卒中との関連についてしらべてみたそうな。


平均年齢54、12000人の健常者にアンケートをとりRBDが疑われる者を割り出し、その後の脳卒中の有無を3年ほどフォローした結果、


次のようになった。

・この間に159件の脳卒中がおきた。

・RBDがあると脳卒中リスクは2.57倍になった。

・種類別では脳梗塞リスクが1.93倍、脳出血リスクでは6.61倍だった。

レム睡眠行動異常症があると脳卒中リスクが高かった、


というおはなし。
図:レム睡眠行動異常症の脳卒中リスク

感想:

夢の内容をよく覚えていることもRBDの特徴だという。

夢日記をつけはじめて3年以上たった。
夜中、夢を見たらすぐに書き記し 翌朝に読み返してその内容を思い出す。

世界がひろがったよ。

2017年4月9日

再就職で上昇する日本人の脳卒中死亡率


Changes in the Employment Status and Risk of Stroke and Stroke Types
2017  4月  日本

失業と脳卒中リスクは関連する。

日本ではいったん失業すると再び希望の職に就くことは難しい。そこで日本人の再就職と脳卒中リスクとの関連をしらべてみたそうな。


健康で40-59歳の日本人男女4万人あまりを90年代からフォローしたところ、


次のことがわかった。

・男女ともに1度でも失業を経験すると、脳梗塞や脳出血のリスクが高かった。

・連続就業者にくらべ 失業経験のある男性の脳卒中リスクは1.58倍、その死亡率は2.22倍、

・女性では順に 1.51倍、2.48倍だった。

・再就職経験のある男性の脳卒中リスクは2.96倍、その死亡率は4.21倍、

・女性では順に 1.30倍、1.28倍だった。

失業経験のある男女および再就職の男性は 脳卒中とその死亡リスクが非常に高かった、


というおはなし。
図:

感想:

脳卒中死亡率4.21倍...わかる気がするよ。
あてもなく仕事辞めたことが何度かあったけど、毎度あたらしい職場環境に適応するのは胃がよじれるようなストレスがある。

2017年4月8日

アメとムチは脳卒中リハビリに有効か?


Reward and punishment enhance motor adaptation in stroke.
2017  4月  イギリス

たとえば上肢のリーチング動作のブレが 繰り返すごとに徐々に小さくなってゆく様を「運動適応」という。

賞罰フィードバックを加えたときに脳卒中患者の運動適応がどのように影響されるのか しらべてみたそうな。


慢性期脳卒中患者45人について、麻痺手を使ってスクリーン上のカーソルを任意の位置に移動させる繰り返し課題を行わせ、健常者15人と比較した。

このとき患者をつぎの3グループに分けて賞罰フィードバックを与えた。

*賞金グループ:各動作のエラーが小さいほど賞金が加算される。
*罰金グループ:スタート時の持金から 各エラーにしたがい罰金が引かれる。
*賞罰なしグループ:あらかじめきまったすこしのお金が最終日にもらえる。

実験後、さらに運動適応度をフォローしたところ、


次のようになった。

・賞罰なしよりも 賞罰があるグループで運動適応度が健常者なみにすぐれていた。

・この効果の持続度は賞金グループがダントツに高かった。

賞罰フィードバックが脳卒中患者の運動適応を強化することがわかった。臨床シーンへの応用が期待される、


というおはなし。
図:賞罰つきリーチング動作

感想:

捕まえたポケモンを換金できるようになったら 一生懸命にあるいちゃうんだけどな。

2017年4月7日

早産の女児は脳梗塞、遅れた男児は脳出血の素質あり


Early life characteristics, social mobility during childhood and risk of stroke in later life: findings from a Swedish cohort.
2017  3月  スウェーデン

低体重で生まれた子供は 成人したのちに脳卒中になりやすいとするいくつかの報告がある。
早産や遅れて生まれた場合はどうなのか また 幼小児期の逆境は影響するのか、しらべてみたそうな。


ウプサラ大学病院の1915-1929の出産記録から男女14192人を抽出し、1964以降の脳卒中(脳梗塞、脳出血、その他)の発生を2008までフォローしたところ、


次のことがわかった。

・胎内にいた期間が短い女性は脳梗塞リスクが高かった。

・35週未満の早産児だった女性の脳梗塞リスクは妊娠満期に生まれた女性の1.54倍で、その他の脳卒中リスクも非常に高かった。

・42週以降の過期産児だった男性の脳出血リスクは妊娠満期児の1.45倍だった。

・幼小児期に社会階層に大きな変動(貧乏から金持ち or その逆)のあった女性の脳梗塞リスクは 常に恵まれた環境にあった女性よりも高かった。

胎内にいた期間と幼小児期の社会階層の変動は成人してからの脳卒中リスクに影響した。特に女性で顕著で 脳卒中の種類でまったく異なった、


というおはなし。
図:


感想:

37週から41週が満期なんだね。

2017年4月6日

Stroke誌:下肢運動機能の比例回復則からわかること


Proportional Recovery From Lower Limb Motor Impairment After Stroke
2017  3月  ニュージーランド

脳卒中のあと皮質脊髄路にダメージが無い場合、その後のリハビリ訓練量にかかわらず 低下した運動機能の一定の割合≒70%が3ヶ月後には自発的に回復するという経験則があり "Proportional Recovery Rule"(比例回復則)ともいわれている。

比例回復則は上肢機能についてはよく調べられているが下肢の報告は無いのでしらべてみたそうな。


脳卒中患者32人の下肢運動機能を3日後と3ヶ月後に評価した。

皮質脊髄路の健全性はTMSとMRIで評価した。
これらと運動機能の回復度、リハビリ訓練時間との関連を解析したところ、


次のようになった。

・3ヶ月後、低下した下肢運動機能の74%が回復した。

・皮質脊髄路の健全性は下肢回復度の予測の役に立たず、

・しかも回復度はリハビリ訓練時間にもよらず、初期の運動機能低下度のみで決まった。

・上肢の研究では患者の30%は比例回復則にフィットしないはずなのに、今回そういった患者群はなかった。

脳卒中での下肢運動機能の低下は 3ヶ月後にその70%まで回復した。上肢研究でみられた比例回復則に沿わない患者群がいなかったことは 微力ながら別の神経経路(網様体脊髄路)の寄与があったことをうかがわせる。訓練量にもよらなかったことから、比例回復則はもともと備わっている生体プロセスなのであろう、


というおはなし。
図:下肢の比例回復ルール
回復度ΔFMは訓練時間と相関しない。


感想:

比例回復則は2006年ごろから話題になりはじめて、すでに失語や半側空間無視でも同様の効果が確認されている。

ようするに神経インフラさえ残っていれば、リハビリしようがしまいが 落ち込んだ機能スコアぶんの70%は勝手に回復する ってこと。

リハビリ訓練と回復はまったく関係ないというこれ↓に通じるものがある。
題指向型訓練 いくらやっても役には立たない

[比例回復則 "proportional recovery rule"]の関連記事

2017年4月5日

運動は脳卒中とがんの予防になるのか


Physical Activity and Lifetime Risk of Cardiovascular Disease and Cancer.
2017  3月  アメリカ

WHO(世界保健機関)のガイドラインでは心血管疾患とがんの予防に中強度以上の運動を勧めている。
身体活動レベルとこれら疾患の生涯リスクとの関連をじっさいにしらべてみたそうな。


45-64歳の男性5807人と女性7252人について、1987-2012にかけてその身体活動レベルと脳卒中など心血管疾患およびがんの発生をフォローした。

身体活動レベルをつぎのように場合分けした。
*運動なし:安静時代謝の3倍強度以上の運動が週に0分、
*推奨運動レベル:安静時代謝の3-6倍強度の運動を週に150分以上または6倍強度より強い運動を75分以上、
とした。


次のようになった。

・この間に4065件の心血管疾患と3509件のがんがみつかった。

・男性の45-85歳までの心血管疾患リスクは、運動なしが52.7%、推奨運動レベルでは45.7%、

・女性の心血管疾患リスクは順に、42.4%、30.5%だった。

・がん全体については男性で 運動なし40.1%、推奨運動レベル42.6%、

・女性では順に31.4%、30.4%だった。
WHOが推奨する運動レベルを守ると 脳卒中など心血管疾患の生涯リスクは男女ともに低かった、しかしがんはそうではなかった、


というおはなし。
図:運動レベルと脳卒中の生涯リスク

感想:

それだからなのか 脳卒中は意志のよわい怠け者がなる病気 のイメージがある。

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