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2017年5月9日

刺激豊富な環境を人でやってみた


Embedding an enriched environment in an acute stroke unit increases activity in people with stroke: a controlled before-after pilot study.
2017  4月  オーストラリア

脳卒中で入院した患者の40-69%は 日中ほとんどなにもしないで過ごす。

刺激豊富な環境の効果は動物実験でおおく報告されているが人での応用はすくない。これが入院患者の活動全般にどのていど影響するものか 試してみたそうな。


入院してまもない脳卒中患者を通常環境と刺激豊富な環境グループにわけて6ヶ月後の活動状況を比較した。

刺激豊富な環境ではiPadや書籍、ゲーム、音楽に自由にアクセスでき、リハビリや食事をグループ単位で行った。


次のことがわかった。

・なんらかの活動に携わっている時間は 71% vs. 58% で刺激豊富な環境グループが多かった。

・その活動内訳は、身体活動 33% vs. 22%、ソーシャル活動 40% vs. 29%、認知活動 59% vs. 45% で刺激豊富な環境グループがおおかった。

・この状態は6ヶ月後もつづいた。

・また刺激豊富な環境グループには有害事象がすくなかった。

急性期脳卒中患者を刺激豊富な環境に置くと、おおくの側面で活動レベルがあきらかに高くなった、


というおはなし。
図:刺激豊富な環境と脳卒中患者の活動

感想:

患者がうごかないから病院にアトラクションを増やそう、って発想に違和感がある。ゲームであそべるくらい元気ならさっさと退院させればいい。

たとえばむかしの人たちは脳卒中やっても病院にもゆかず、クワを杖に足ひきずりながら畑にでてたにちがいない。それが効果的なリハビリになってたんじゃないかな。

2017年5月8日

中国のPM2.5と脳卒中の種類


Fine particulate matter exposure and incidence of stroke: A cohort study in Hong Kong.
2017  5月  香港

大気中の微粒子物質と脳卒中との関連はおおくの研究であきらかになっている。しかしそのおおくは西洋人を対象とし 脳卒中の種類については研究によってまちまちである。

そこで香港住民について2.5μm以下の微粒子物質(PM2.5)への長期的暴露と脳卒中の種類との関連をしらべてみたそうな。


65歳以上の健康な66820人について脳卒中の有無を9.4年間フォローした。

衛星情報も使って1km x 1kmの分解能でPM2.5の居住地域での分布を得て関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・この間に6733件の脳卒中があり、そのうち52.4%は脳梗塞、17.5%は脳出血だった。

・PM2.5濃度が10μg/m3 高くなるごとに脳梗塞リスクは1.21倍になり、

・いっぽう脳出血リスクに統計学的有意な変化はなかった。

・この脳梗塞との関連は70歳より高齢、低教育歴、現在喫煙者で顕著だった。

PM2.5に長期的に曝されると脳梗塞リスクが高くなった。脳出血についてはあきらかな違いはなかった、


というおはなし。
図:PM2.5と脳卒中リスク

感想:

きのうあたりから "黄砂" の名を騙る中国ゆらいのPM2.5が日本列島を覆っている。そのせいか花粉シーズンおわったはずなのにふたたび鼻水がわき出てきた。

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2017年5月7日

仕事のストレスと脳卒中


The psychosocial work environment is associated with risk of stroke at working age.
2017  3月  スウェーデン

脳卒中はおおくの要因がからんだ病気である。たとえば 教育歴や経済的地位との関連はあきらかになっている。

こんかい職場の心理社会的環境と脳卒中リスクとの関連についてしらべてみたそうな。


30-65歳でフルタイムの職に就いていた脳卒中患者198人と健常者396人について過去12ヶ月間の職場環境についてのアンケート調査を行い 関連を解析したところ、


次のことがわかった。

1) 仕事の要求度にくらべ裁量権が低い状態 および

2) 仕事の努力/経済心理的報酬 の比が1より大、

3) そして上司や同僚との衝突、

の3ついずれもが あきらかな独立した脳卒中リスク要因だった。

脳卒中患者には発症まえの12ヶ月間に仕事上の心理社会的逆境がよくみられた、


というおはなし。
図:職業ストレスと脳卒中リスク

感想:

これらの要因はいずれも客観評価がきわめてむつかしく、雇われ人をやっているかぎりは避け得ないものばかり。
自分の考え方を変えるしかないな。

2017年5月6日

低周波電磁界療法で脳卒中リハビリ


Extremely low frequency electromagnetic field (ELF-EMF) reduces oxidative stress and improves functional and psychological status in ischemic stroke patients.
2017  4月  ポーランド

脳虚血がおきると活性酸素の増加と抗酸化酵素活性の低下がおきる。

これまで低周波電磁界が生体の酸化ストレスに影響するという報告はあるが脳卒中患者への応用例はないので、実験してみたそうな。


57人の脳卒中患者を低周波電磁界あり、なしの2グループにわけた。

低周波電磁界グループでは40Hz, 7mT(テスラ)の電磁パルスを発生する直径55cm奥行き27cmのコイルに頭を入れ、
1日15分x週5回x4週間 曝した。

両グループともに通常のリハビリも4週間おこなった。

患者の日常生活動作、認知機能、うつ度 および血中の抗酸化能を測定したところ、


次のことがわかった。

・低周波電磁界グループで抗酸化酵素活性があきらかに高くなり、

・日常生活動作と認知機能スコアの改善も有意にすぐれていた。

低周波電磁界療法により脳卒中患者の回復が促された。抗酸化酵素活性の増加が関係しているのかもしれない、


というおはなし。
図:超低周波数電磁界の脳梗塞治療効果

感想:

これまでネズミ実験のはなしはあったよ↓。
低周波パルス電磁場の脳梗塞治療効果

脳を癒やし可塑性を促すシータ電磁場治療法とは

2017年5月5日

刺激豊富な環境が脳細胞のアポトーシスを防ぐ


Treatment with Enriched Environment Reduces Neuronal Apoptosis in the Periinfarct Cortex after Cerebral Ischemia/Reperfusion Injury.
2017  3月  中国

刺激豊富な環境の神経保護効果については おおくの研究があるがそのメカニズムはよくわかっていない。

そこで神経細胞死(アポトーシス)に注目してしらべてみたそうな。


人為的に脳虚血にしたネズミをつかって通常環境と刺激豊富な環境グループにわけて神経症状や梗塞体積、アポトーシス関連たんぱく質を測定した。

刺激豊富な環境グループでは通常より広いカゴに6-8匹のネズミをいれ、多くの遊具を設置して それらの位置を毎日変えた。


次のようになった。

・刺激豊富な環境グループでは神経症状が回復し 梗塞体積も小さかった。

・また 梗塞周辺組織で アポトーシスを抑えるBcl-2タンパク質が増加し、

・アポトーシスを促すBax, cytochrome c, caspase-9 といったタンパク質が減少した。

刺激豊富な環境で梗塞周辺の神経細胞のアポトーシスが抑制された。これが神経保護メカニズムの1つかも、、


というおはなし。

図:刺激豊富な環境と脳梗塞ボリューム

感想:

脳卒中患者は個室にいれちゃいかんってことだな。

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2017年5月4日

福祉国家スウェーデンの経済格差と脳卒中再発率


Socioeconomic Status and the Risk of Stroke Recurrence
2017  4月  スウェーデン

社会経済的地位と脳卒中の発生率の研究はおおくあるが、再発率についてのものは少ないのでしらべてみたそうな。


スウェーデンの脳卒中患者2001-2012の記録のうち、発症から28日間以上生存した患者168295人のデータを抽出して解析したところ、


次のことがわかった。

・この間に患者23560人が脳卒中を再発した。

・1年再発率は5.3%、5年再発率は14.3%だった。

・高学歴、高収入だと再発リスクは低かった。

・中卒者にくらべ大卒者の再発リスクは0.902倍で、

・低収入者にくらべ高収入者の再発リスクは0.955倍だった。

・再発率は低下傾向にあるいっぽう 社会経済地位と再発リスクとの逆相関関係は変わっていなかった。

スウェーデンのように経済格差が小さく福祉の充実した国にあっても社会経済的地位が脳卒中再発率に反映していた。格差のおおきい他の国では推して知るべし、、


というおはなし。
図:教育歴、収入と脳卒中再発率

感想:

再発には影響しないとおもってたよ。

2017年5月3日

脳卒中と認知症の発生率の傾向


Population-based stroke and dementia incidence trends: Age and sex variations
2017  4月  カナダ

脳卒中経験者の認知症リスクは2倍におよぶという。

カナダ・オンタリオではこの12年間で脳卒中と認知症の発生率が減少傾向にある。この年齢内訳をしらべてみたそうな。


2002-2013の医療記録を年齢層べつに

ⅰ)20-49
ⅱ)50-64
ⅲ)65-79
ⅳ)80+

にわけて、脳卒中と認知症の発生率との関連を解析したところ、


次のことがわかった。

・脳卒中発生率は、ⅰ)変わらず、ⅱ)22.7%低下、ⅲ)36.9%低下、ⅳ)37.9%低下 だった。

・認知症発生率は、ⅰ)17.3%上昇、ⅱ)23.5%上昇、ⅲ)変わらず、ⅳ)15.4%低下 だった。

脳卒中と認知症の発生率の低下は、おおくのリスク要因を共有する80以上の高齢者で顕著であることから、脳卒中予防施策のおかげと考えられる、


というおはなし。
図:脳卒中と認知症のトレンド

感想:

それよりも若い層の認知症が上がってるのがとても気になる、、

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