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2017年6月4日

肥満度と東アジア人の脳梗塞予後


Association of body mass index with mortality and functional outcome after acute ischemic stroke.
2017  5月  中国

脳卒中後の生存率や回復度は肥満気味の患者のほうがすぐれているという報告がすくなくないが、そのおおくは西洋人を対象にしたものである。

中国人について脳梗塞患者の肥満と機能回復度や死亡率との関連をしらべてみたそうな。


4782人の急性脳梗塞患者の記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・12ヶ月死亡率や3,12ヶ月後の要介助率は、過体重と肥満いずれも標準体重患者とあきらかな差はなかった。

・しかし低体重患者については、これらリスクはすべて 著しく高かった。

中国人の脳梗塞患者について肥満や過体重は死亡率の低下や良好な機能回復と関連がなかったが、低体重はあきらかな予後不良因子だった、


というおはなし。
図:肥満度と東アジア人の脳梗塞予後

感想:

東アジア人には肥満パラドックスはないんだな。

2017年6月3日

被殻出血患者の運動機能回復曲線


Difference of recovery course of motor weakness according to state of corticospinal tract in putaminal hemorrhage.
2017  5月  韓国

脳卒中の運動麻痺からの回復パターンがわかるとリハビリ目標もたてやすい。

こんかい 皮質脊髄路の健全性と運動機能の回復パターンとの関連をしらべてみたそうな。


被殻出血で片麻痺 平均年齢50の患者36人について運動機能を6ヶ月間フォローした。

3ヶ月時点で撮影した拡散テンソルMRIから 皮質脊髄路の健全性の高いグループAと、健全性の低いグループBにわけ関連を解析したところ、


次のようになった。

・両グループで回復曲線にあきらかな違いがあった。

・いずれのグループも最初の4ヶ月間におおきな回復があり、

・それ以降は回復がほぼとまった。

被殻出血で 皮質脊髄路が保たれた患者は明らかに運動機能の回復が良かった。いずれの場合も回復は最初の4ヶ月間だけ続いた、


というおはなし。

図:被殻出血からの回復 Motricity Index

感想:

じぶんは被殻出血だから、、

これ↓おもいだした。
Stroke誌:下肢運動機能の比例回復則からわかること

脳内出血は脳梗塞に比べ最初の数ヶ月だけ凄いスピードで中途半端に回復する

2017年6月2日

東アジア人の脳卒中の種類と特徴


Comparisons of Risk Factors for Intracerebral Hemorrhage versus Ischemic Stroke in Chinese Patients.
2017  5月  台湾

中国人は白人にくらべ脳内出血になりやすく脳梗塞にはなりにくい。しかしその理由はわかっていない。

どんな要因がかかわっているのかしらべてみたそうな。


2006-2011の脳内出血1373人と脳梗塞4953人の患者記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・脳内出血患者は脳梗塞患者よりも若く(61 vs. 68)、性別のかたよりはなかった。

・高血圧とアルコールが脳内出血につよく関連していたが、

・糖尿病、心房細動、高脂血症、喫煙 との関連は脳梗塞よりもよわかった。

・高血圧との関連は若い患者で顕著だった。

脳卒中の中国人とくに若年患者で、高血圧と飲酒が脳内出血とつよく関連していた、


というおはなし。
図:中国人

感想:

すこし前に にたような話があった。↓
インド人 vs. 中国人 脳卒中なりやすさ

2017年6月1日

脳卒中がきっかけでアル中になるメカニズム


Stroke triggers nigrostriatal plasticity and increases alcohol consumption in rats
2017  5月  アメリカ

アルコールは脳卒中のリスク要因の1つであるが、逆に脳卒中をきっかけに飲酒がやめられなくなる患者もいるという。

このあたりのメカニズムをネズミでしらべてみたそうな。

2017年5月31日

血液サラサラの薬で認知症予防


New Study Shows Delayed Use Of Blood Thinners For Atrial Fibrillation Increases Risk Of Dementia
2017  5月  アメリカ

不整脈が脳卒中のリスク要因であることはよくわかっている。この治療には抗血小板薬や抗凝固薬が用いられるが 必ずしもすぐに実施されるわけではない。

治療の遅れが認知症リスクを高くすることがわかったそうな。
今月12日の国際不整脈学会での発表。


心房細動と診断された平均年齢69の患者76230人について
患者の脳梗塞発症リスクをCHA2DS2-VAScスコアで分類して、
抗血小板薬または抗凝固薬治療の開始時期(30日未満 または1年以上あと)
と のちの認知症リスクとの関連を解析したところ、


次のようになった。

・血液サラサラ治療がおくれると認知症リスクは 脳梗塞リスクが低いグループで30%、脳梗塞リスクが高いグループで136%高くなった。

・治療開始までの時間と認知症リスクとは比例関係にあった。

心房細動と診断されたら一刻もはやく血液サラサラ治療をはじめることで認知症を避けることができるかも、


というおはなし。
図:血液サラサラ

感想

「血液サラサラ」って耳当たりのいい表現だけど、「出血ブシャー」と裏表にあることをみんなわかってるのかな。

脳内出血の半数以上が抗血栓薬を使っていた

2017年5月30日

緩和優先医療になる脳卒中患者


Early transition to comfort measures only in acute stroke patients
2017  5月  アメリカ

脳梗塞の30日死亡率はおよそ10% 脳出血は30%であり、終末期としての緩和医療は重要な選択肢の1つである。

入院してすぐに(積極的治療を行わない)緩和優先医療に切り替えられてしまう患者がどのくらいいるものか、しらべてみたそうな。


脳卒中患者データベースの2009と2013の記録から、入院翌日までに緩和優先医療(Comfort Measures Only)に切り替えた事例を抽出して解析したところ、


次のことがわかった。
・1675病院の脳卒中患者963525人のうち、5.6%に緩和優先医療の指示が出された。

・脳卒中の種類別では 脳梗塞3.0%、脳内出血19.4%、くも膜下出血13.1%だった。

・緩和優先医療の指示頻度は病院ごとに幅があって 0.6-37.6% だった。

・この頻度は2009→2013に減少傾向にあった。

・高齢、女性、白人、保険未加入、救急車使用、営業時間外だと緩和優先医療になりやすかった。

緩和優先医療は脳卒中患者の5%に適用されていた。とくに脳出血でおおく、その頻度は病院ごとにおおきくことなっていた、


というおはなし。
図:

感想:

やる気のないお医者さんにあたったおかげで 命拾いする患者も少なくないと思うんだ。

2017年5月29日

クリップ治療とコイル治療 日本のばあい


Effect of treatment modality on in-hospital outcome in patients with subarachnoid hemorrhage: a nationwide study in Japan (J-ASPECT Study).
2017  5月  日本

くも膜下出血のコイル治療が普及して その有効性をクリップ治療と比較する研究も多くなされてきた。

こんかい日本でのクリップ治療とコイル治療の成果をくらべてみたそうな。


全国の患者データベースから、2012-2013年 393施設のくも膜下出血5214例(クリップ3624、コイル1590)を抽出して解析したところ、


次のことがわかった。

・院内死亡率は12.4% vs.8.7%でコイル治療が高かったが、入院日数は短かった。

・重い障害が残る割合や医療コストについては 明らかな差はなかった。

・病院施設の能力を考慮にいれてもこれらの関連は変わらなかった。

コイル治療が普及したとはいっても いまだクリップ治療が主流である。病院の能力によらずクリップ治療の院内死亡率は低く、重い障害の割合や医療コストに差はなかった、


というおはなし。
図:SAH クリップとコイル 死亡率の違い

感想:

クリップは若くて症状の重くない患者にしかやらないから、そのぶんコイルにむつかしい患者がながれて 死亡率があがる。そういうことじゃないのかな?
コイルとクリップ どっちがいいの?くも膜下出血

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