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2017年10月12日

目の角膜の神経と脳梗塞の関係


Corneal Confocal Microscopy Detects Corneal Nerve Damage in Patients Admitted With Acute Ischemic Stroke
2017  10月  カタール

脳卒中リスクの高まりを確認する方法としてMRIによる無症候性の脳梗塞や微小出血、白質病変の観察がある。

いっぽう目の共焦点顕微鏡検査では 非侵襲的に角膜内の細胞や神経線維の構造を観察できる。

いくつかの神経変性疾患(パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症)では角膜神経の消失がおきていることから脳梗塞患者ではどうか、しらべてみたそうな。


急性脳梗塞患者130人(57糖尿病なし、32耐糖能低下、41人糖尿病)と28人の健常者について、角膜の共焦点顕微鏡検査を行い、角膜神経の繊維密度、枝密度、長さを測ったところ、


次のことがわかった。

・脳梗塞患者で角膜神経の繊維密度、枝密度、長さがあきらかに低下していた。

・角膜神経の各計測値は、HbA1cや中性脂肪と関連していた。

・しかし脳卒中のリスク要因とのあきらかな関連は確認できなかった。

角膜の共焦点顕微鏡検査は 急性脳梗塞患者の角膜神経の消失を確認できるかんたんかつ非侵襲的な方法である、


というおはなし。
図:急性脳梗塞患者の角膜神経

感想:

へぇ、角膜って神経とおってんだ。でも視力が低下した理由とはちがうとおもう。

2017年10月11日

サフランの香りの素が脳梗塞に効く理由


Neuroprotective effect of safranal, an active ingredient of Crocus sativus , in a rat model of transient cerebral ischemia.
2017  10月  イラン

サフランの香りの主成分であるサフラナールには抗酸化作用や抗炎症作用、抗けいれん作用があることが知られている。

そこでサフラナールの脳梗塞治療効果を実験してみたそうな。


ネズミの脳を人為的に30分間脳虚血にしたのち再灌流した。異なる量のサフラナールを注射し24時間後の神経症状、梗塞体積、海馬細胞の消失、酸化ストレス等を測定した。


次のようになった。
・虚血再灌流によって神経症状スコアと梗塞体積、海馬細胞の消失、酸化ストレスマーカーがふえた。

・サフラナール注射後 抗酸化力があきらかに増加し、神経症状スコアや梗塞体積、海馬の細胞消失、酸化ストレス度は減少した。

サフラナールには脳の虚血再灌流傷害から神経を保護する効果がある。これは主にフリーラジカルの生成を抑え抗酸化力を高めることによると考えられる、



というおはなし。
図:サフラノールと脳梗塞

感想:

これにラベンダーもあわせたらアロマ療法的によさそうだな。
【アロマテラピー】ラベンダーの香りが脳梗塞にすごく効く

2017年10月10日

脳卒中で海馬の神経新生に異常


Adult hippocampal neurogenesis poststroke: More new granule cells but aberrant morphology and impaired spatial memory
2017  9月  ドイツ

脳卒中を経験すると海馬の機能に障害がおきて記憶力が低下することがわかっている。

海馬の歯状回は 生涯をとおして新たな神経細胞がつねに生まれている箇所の1つである。

脳の虚血刺激によってこの神経新生が活発になることがわかっているが、なぜか記憶力が改善するわけではない。

最近の研究では代わりに異常な神経新生がおきている可能性が指摘されているので、実験でたしかめてみたそうな。

2017年10月9日

脳卒中後うつ:病巣の位置と方法論的限界 レビュー


Post-Stroke Depression: Impact of Lesion Location and Methodological Limitations-A Topical Review.
2017  9月  ドイツ

脳卒中患者のおよそ3分の1が脳卒中後うつ(PSD)になる。
その結果リハビリがさまたげられ機能的回復は遅れ 死亡率があがると考えられている。

これまで多くの研究者がPSDを発症する要因を特定しようと試みてきた。
例えば病変の大きさや位置との関連性などである。

しかし初期の研究では技術的な制約がおおきく、必然的に病変の左右脳の違いや前頭部へ近い単純なケースにフォーカスせざるをえなかった。

より最近の研究では 特定の神経回路の影響を調べるようになってきたが、
たとえばVLSM法(病変症状マッピング)では患者のサンプルサイズが非常に小さいという問題がある。

全体として おおくの議論の余地があり、PSDに関する病変の明確なパターンは現れていないものの 前頭部の病変がPSDと関連していることを示唆するいくつかの所見がある。

これら研究は分析法の問題、サンプルサイズの小ささ、患者選択を含む方法論的限界によって妨げられ、PSDの評価方法および画像解析法のちがいも相まって研究どうしの比較を困難にしている。

まとめると、
病変部位とPSDとの明確な関連性は確認できず、PSDの理解はまだまだである


というおはなし。

図:脳卒中後うつ

感想:

改行がないレビューの要約文ってストレスなのでAIの助けを借りてみた。

2017年10月8日

半側空間無視の3つの種類と回復度


Effect of subtypes of neglect on functional outcome in stroke patients.
2017  9月  イタリア

脳卒中のあとの半側空間無視は右脳損傷のケースによく見られ日常生活動作の回復におおきく影響する。

半側空間無視には3種類あって、

自分の半身を無視する personalタイプと
手の届く範囲を無視する peripersonalタイプ、
その外の空間を無視する extrapersonalタイプである。

それぞれの場合での脳卒中の回復度のちがいをしらべてみたそうな。


2002-2016にリハビリ病院に入院した右脳損傷の脳卒中患者359人の記録を解析したところ、


次のことがわかった。

・130人が左方の半側空間無視で、229人には片麻痺のみで無視症状はなかった。

・このうち、46%がpersonal、69%がperipersonal、68%がextrapersonalタイプの半側空間無視だった。

・半側空間無視があると運動機能と認知機能の障害はおおきく、リハビリ入院の期間も長かった。

・特に、extrapersonalタイプとperipersonalタイプが回復度におおきく影響した。

半側空間無視が脳卒中からの機能回復にネガティブに影響することを確認した。半側空間無視の種類を考慮したリハビリが必要だろう


というおはなし。

図:半側空間無視の種類

感想:

さらに あと2種類あって、、↓
アロセントリックな半側空間無視とエゴセントリックな、、

2017年10月7日

軽い脳梗塞やTIAの1年再発率


One-Year Outcomes After Minor Stroke or High-Risk Transient Ischemic Attack
2017  9月  韓国

軽い脳梗塞やTIAのあと3ヶ月時点での再発率は西洋人で10-17%といわれ、アジア人ではその割合はさらに高いとする報告もある。

これを韓国人を対象に大規模に調べてみたそうな。


発症後7日以内に入院できた軽症脳梗塞またはTIA患者9506人について、3ヶ月後、1年後の再発 死亡事例をフォローし、

抗血栓療法の種類も調査したところ、


次のようになった。

・退院時、95.2%が抗血栓薬(抗血小板薬37.1%、抗凝固薬15.3%)を、86.2%がスタチンを処方された。

・3ヶ月後、脳卒中の再発は4.3%、死亡は2.0%だった。1年後はそれぞれ、6.1%、4.1%だった。

・抗血栓療法をうけていない患者の再発率はアスピリン単剤の1.5倍だった。
韓国人を対象にした軽症脳梗塞やTIA後の再発率は これまで報告のあった値よりも低かった。抗血栓療法のおかげだろう、


というおはなし。
図:脳卒中再発率と抗血栓療法

感想:

アスピリン単剤がいちばんいいみたい。

2017年10月6日

nature.com:飲酒習慣が脳梗塞をいやすメカニズム


Effect of Low-Dose Alcohol Consumption on Inflammation Following Transient Focal Cerebral Ischemia in Rats.
2017  10月  アメリカ

ほどほどの飲酒が脳卒中予防になるという報告はすくなくない。

そこで事前の飲酒習慣が脳卒中の虚血再還流傷害へおよぼす影響を 実験してみたそうな。


12匹ずつ3グループのネズミについて、それぞれエタノール、赤ワイン、水を混ぜたエサを8週間与え続けた後、
一時的に脳虚血にして再還流した。

24時間後に梗塞の体積、炎症 免疫関連たんぱく質を定量したところ、


次のことがわかった。
・梗塞体積はエタノール 赤ワイングループで明らかに小さかった。

・また 細胞接着分子や免疫細胞ミクログリアの活動が抑制された。

・組織を破壊するメタロプロテアーゼの阻害物質を増やし、炎症性サイトカインを減少させた。

・さらに赤ワインは好中球浸潤をあきらかに減少させた。

ほどほどの飲酒習慣には虚血後の炎症反応から脳を護るはたらきがあるのかも、


というおはなし。
図:脳虚血と好中球浸潤と赤ワイン

感想:

酒のむとまちがいなく脳のはたらきが悪化する。もう余裕はないからぜったいに飲まない。

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