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2019年8月11日

脳卒中予防に適した総コレステロール値


Intra-individual variability of total cholesterol is associated with cardiovascular disease mortality- A cohort study
2019  7月  中国

血中のコレステロール値が高いと動脈硬化リスクも高まると考えられている。

いっぽう総コレステロール値と死亡率が逆相関またはU字関係にあるとする報告もある。

そこで中国人12万人の調査記録をつかってコレステロールと死亡リスクとの関連をしらべてみたそうな。

2019年8月10日

Stroke誌:頭蓋内動脈が狭窄している日本人の割合


Intracranial Artery Stenosis and Its Association With Conventional Risk Factors in a General Population of Japanese Men
2019  7月  日本
頭蓋内動脈の狭窄(Intracranial Artery Stenosis:ICAS)のおおくは症状がない。

東アジア人は欧米人にくらべ冠動脈疾患よりも脳卒中になりやすいことから ICASは注目されるべきと考えられる。

そこで、一般の日本人についてICASの有病率をくわしくしらべてみたそうな。

2019年8月9日

日本人の再発予防に適した血圧 JAMA Neurol.


Effect of Standard vs Intensive Blood Pressure Control on the Risk of Recurrent Stroke- A Randomized Clinical Trial and Meta-analysis
2019  8月  日本

2015年のSPRINT研究によると脳卒中の1次予防に適した収縮期血圧の目標値は140mmHgよりも120mmHgが適しているとされた。

この研究では脳卒中歴のある患者が除かれていたため2次予防に適した血圧目標値はあきらかにならなかった。

いっぽう、被験者3632人をふくむ最近の3つのランダム化比較試験では目標血圧が低いほうが脳卒中の再発予防に良さそうであることが示されている。

そこで日本人を対象にした脳卒中の再発研究 Recurrent Stroke Prevention Clinical Outcome:RESPECTスタディ にて目標血圧を120/80に設定する効果を検証してみたそうな。



日本の140の病院の脳卒中経験者1263人について血圧目標値を、

140/90 の通常グループ630人と、
120/80 の集中降圧グループ633人にわけた。

脳卒中の再発を4年ほどフォローしたところ、



次のことがわかった。

・この間の血圧の平均値は、通常グループ133.2/77.7、集中降圧グループ126.7/77.4 だった。

・年間再発率は、通常グループ 2.26%、集中降圧グループ 1.65%だったが有意な差ではなかった。

・そこでこのデータを直近の3つのRCTとあわせてメタアナリシスしたところ、相対リスク0.78倍の有意な差が得られた。

従来よりも低い降圧目標のほうが再発予防に適しているようにみえた。メタアナリシスでは130/80を下回ることが望ましいと考えられた、



というおはなし。

図:RESPECT スタディ



感想:

当初、ディオバンって降圧薬をだされて収縮期血圧が80まで下がって膝からくずれおちたことがある。

そんなこともあって降圧薬は2015年にきっぱりとやめた。

SPRINTこれ↓。
NEJM誌:脳卒中で死なない血圧は120未満だからね

2019年8月8日

Stroke誌:「指鼻試験」でうしろの梗塞を知る


Educating Paramedics on the Finger-to-Nose Test Improves Recognition of Posterior Stroke
2019  8月  アメリカ

脳梗塞の治療は時間とのたたかいではあるが後方循環系(小脳など)の脳梗塞のばあい片側麻痺の症状はでにくく めまいやバランスの崩れといった症状があらわれる。

そのため後方循環系脳梗塞は誤診されやすく治療も遅れがちになる。

また、かれらのおおくは上肢の運動失調をおこしやすく、
指鼻試験(finger-to-nose examination:←Youtube動画にリンク)
を普通にこなすことができないという。

そこで救急隊員に指鼻試験の方法をおしえて患者の入院前に後方循環系脳梗塞の有無を判定させてみたそうな。



救急隊員に指鼻試験を教育した施設と、教育しなかった施設(コントロール)とで
後方循環系脳梗塞の判定率と
病院到着からCTを撮るまでの時間、
血栓溶解療法の適用率、をくらべたところ、



次のようになった。

・21ヶ月間に777人の脳梗塞があり、18%が後方循環系だった。

・後方循環系の判定率は、指鼻試験ありで46→74%、コントロール32→39%に向上した。

・CTまでの時間は指鼻試験グループが62→41分、コントロール58→61分になった。

・血栓溶解療法の適用率にグループ間で差はなかった。
救急隊員への指鼻試験の教育で後方循環系脳梗塞の判定率が向上し、CTを撮るまでの時間が大幅に短縮された、


というおはなし。

図:指鼻テスト



感想:

後方循環系はそもそも血栓溶解療法が必要なケースが少ないんだって。

2019年8月7日

Neurology誌:早期リハビリ 気休めにもならない


Early mobilization and quality of life after stroke- Findings from AVERT
2019  7月  オーストラリア

早期リハビリテーションが脳卒中患者の生活の質にあたえる影響を、
2006-2015に56施設で国際的に行われたランダム化比較試験 A Very Early Rehabilitation Trial (AVERT) のデータをつかってくわしくしらべてみたそうな。



平均年齢70.6、2104人の脳卒中患者を
通常ケアのみと、
通常ケア+24時間以内にベッドから出る訓練を始める、
の2グループにわけた。

生活の質は、4つのドメイン(自立生活、社会関係、身体機能、精神状態)について評価する assessment of Quality of Life 4D (AQoL-4D) をもちいて12ヶ月後をしらべた。

AQoL-4Dスコアは、0は死亡 1が完全に健康、を指す。



次のようになった。

・12ヶ月後のAQoL-4Dスコアの中央値は0.49 vs. 0.47でグループ間で有意な差はなかった。

・ドメインごとにみても同様に違いはなかった。

早期リハビリテーションは脳卒中患者の生活の質に影響しなかった、


というおはなし。

図:AVERTのQoL


感想:

軽症な人が早くから動き回っていただけのことを訓練成果と勘違いしてうまれた「早期リハビリ」。

この数年でようやくおかしいことに気づいた模様↓。
コクランレビュー:超早期リハビリは効果ないし危ない

【やはり】亜急性期のリハビリは効果ないうえに危険

失語症の早期リハビリ まったく効果ない

超早期リハビリをやってはいけない理由

nature.com:脳卒中の超早期リハビリ やる意味ない

Stroke誌:早期リハビリがんばる意味ない

超早期リハビリで死亡者続出 AVERT続報

超早期リハビリには脳の細胞死を促す効果があった!

ランセット誌:超早期リハビリぜんぜん効果ない

2019年8月6日

Stroke誌:親の心房細動は子にうつる


Parental Atrial Fibrillation and Stroke or Atrial Fibrillation in Young Adults
2019  7月  カナダ

脳卒中の4分の1は原因が不明である。そのおおくは心房細動によるものと考えられている。

なぜなら心房細動はほとんど症状がなく、脳卒中になってはじめてそれに気づくことがおおいからである。

心房細動のリスク要因として高齢、高血圧、心不全、肥満、糖尿などがあるがこれらで正確な予測はできない。

いっぽう心房細動の家族歴についての調査ではサンプル数がすくなく一致した見解が得られていない。

そこで、心房細動歴のある親をもつ子が脳卒中や心房細動になるリスクを大規模にしらべてみたそうな。



カナダ マニトバ州の住民を1972-2016に平均17年間フォローした記録を解析したところ、



次のことがわかった。

・582195人の親と、18歳以上325333人の子のデータがみつかった。

・心房細動歴のある親をもつ子の5.2%が脳卒中/TIAになった。心房細動歴のない親の子ではその率は2.5%だった。

・子の心房細動率は、親の心房細動歴ありでは1.9%、なしでは0.3%だった。

・親に心房細動歴があると、子の脳卒中や心房細動リスクがあきらかに高かった。

親の心房細動歴は子の心房細動リスクの上昇と関連し 脳卒中にもなりやすかった、


というおはなし。

図:親の心房細動と子の脳卒中リスク



感想:

心房細動は遺伝するってことか。
みつかっていない心房細動患者の割合は

「心房細動?なにそれ」率日本一は○○県民

2019年8月5日

ツボ足三里の運動野へのはたらき


Effect of acupuncture at ST36 on motor cortical excitation and inhibition
2019  7月  中国

鍼は伝統中国医学の1つで、鍼刺激の対象になる体の位置(経穴、ツボ)は300箇所以上にのぼる。

そのなかでもST36(足三里)は特に重要で、脳卒中や高血圧、疼痛の治療に用いられている。

通常、鍼の効果は 得気(Deqi)とよばれる独特の統合感覚(sore, numb, full, heavy, dull)として認識される。

そこでST36への反応を 運動誘発電位の点からくわしくしらべてみたそうな。



20人の健常者について、
ST36を刺激 もしくは 少しはずれた位置を(偽)刺激するケースにわけて、

鍼刺激→12分後(鍼除去)→20分後、までフォローして、

得気スコア、
TMSによる運動誘発電位、
短 長潜時皮質内抑制 を測定した。



次のようになった。

・すべての被験者でST36刺激時に得気スコアが高かった。

・運動誘発電位はST36刺激中にあきらかに高く、鍼を抜くと元にもどった。

・得気スコアは運動誘発電位と相関関係にあった。

・短 長潜時皮質内抑制はST36刺激時に高値をしめした。

ST36への鍼刺激は運動野の興奮性を高めた。得気は運動誘発電位に相関し、運動野内の興奮調節機構への影響も確認できた、


というおはなし。

図:足三里の運動皮質刺激効果



感想:

「得気」これ↓。
鍼治療の「得気」は小脳のはたらきだった

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