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2016年4月11日

リハビリを促す「刺激豊かな環境」とは


An enriched environmental programme during inpatient neuro-rehabilitation: A randomized controlled trial.
2016  4月  オーストラリア

刺激豊かな環境が神経リハビリテーション病棟に入院している患者にどう影響するものか調べてみたそうな。


神経疾患患者103人(脳卒中53人 他)を

*刺激豊かな環境52人、
*従来型リハビリ環境51人

に分けて、入院時、退院時、3ヶ月後 のウツ、不安、認知、自立度、QoL等について調べ比較した。

刺激豊かな環境として ネットアクセスのできるパソコン、ビデオゲーム、図書、音楽プレーヤ、銀行ATMなどを設置した別室を用意し、通常リハビリに加えて平日は2時間そこで過ごし 多くの活動に参加するよう促した。


次のようになった。

・退院時、刺激豊かな環境グループの患者はウツ、ストレス、認知機能、機能的自立度の改善度が明らかに優れていた。

・これらは3ヶ月後にも維持されていた。

・特に脳卒中患者で 認知機能と活動量の改善が大きかった。

リハビリに刺激の豊かな環境を加えると 神経疾患患者の機能的、認知的能力を大きく改善することができる、


というおはなし。

図:刺激豊かな環境

感想:

こういう考え方って動物の飼育方法からきてるみたい。

患者にタブレット1枚貸し出せばいいんじゃないかな。
自分が入院してたころはスマホもまだ普及してなかった。日々あまりにすることがなくて逃げ出すように退院した思い出。

2016年4月10日

脳卒中になったとき腸内細菌がいないと、、


Depletion of Cultivatable Gut Microbiota by Broad-Spectrum Antibiotic Pretreatment Worsens Outcome After Murine Stroke
2016  4月  ドイツ

脳卒中後の感染症を防ぐために抗生物質がよく使われる。一方で 腸と脳の双方向ネットワークの働きが神経疾患に関係するという報告もある。

腸内細菌が脳卒中の進展にどう影響するか実験してみたそうな。


ネズミに複数の抗生物質を8週間与えて腸内細菌を死滅させた。抗生物質を中止して3日後、人為的に脳虚血にしたところ、


次のようになった。

・腸内細菌の有無は虚血直後の梗塞の大きさには影響しなかった。

・5日以降、免疫細胞が大きく減少していた。

・5-7日後に多くのネズミが大腸炎で死んだ。

・抗生物質を投与し続けるか、脳虚血まえに別の仲間から腸内細菌を移植することで死亡率を下げることができた。

腸内細菌が脳の梗塞を抑える効果は確認できなかったが、腸内細菌があったほうが死亡率が下がることはわかった、


というおはなし。

図:脳腸相関

感想:

腸脳相関って言うのな。知らなかった。

これ思い出した。↓
ネイチャー:糞便移植で脳卒中が治るかも

2016年4月9日

NEJM誌:毎日くだもの食べると脳卒中にならない


Fresh Fruit Consumption and Major Cardiovascular Disease in China
2016  4月  中国

欧米人を対象にした果物と脳卒中の研究はよくある。そこでアジア人で大規模に調べてみたそうな。


中国全土 10の地域に住む50万人あまりの成人について6年ほどフォローした結果、


次のことがわかった。

・18%が毎日新鮮な果物を摂っていた。

・彼らはまったく摂らないグループに比べ、血圧や血糖が明らかに低く、

・脳梗塞リスクは0.75倍、脳出血リスクは0.64倍だった。

・果物をよく摂るほど脳卒中リスクは小さくなった。

・これらの関連に10の地域で大きな違いはなかった。

中国の成人について 毎日しんせんな果物を食べる者は血圧や血糖が低く、脳卒中リスクが明らかに低かった、


というおはなし。

図:果物と脳卒中リスク


感想:

とくに脳出血にいいんだな。

似たようなさいきんの研究↓を思い出した。
野菜 果物をよく食べる日本人の脳卒中リスクは

やっぱり果物や野菜を摂ると脳卒中予防にいいらしい

2016年4月8日

復職後の悩みをネット掲示板で拾ってみた


Barriers and facilitators to staying in work after stroke: insight from an online forum
2016  4月  イギリス

脳卒中経験者が復職後に悩んでいることをネット掲示板を使って調べてみたそうな。


脳卒中患者や家族が参加するネットフォーラムで、2004-2011の記録を検索して復職者を抽出し彼らの経験を分類したところ、


次のことがわかった。

・復職した脳卒中経験者として60人(男性29人、女性23人、性別不明8人、平均年齢44)を判別できた。

・彼らは 疲労、集中力や記憶力の低下といった他人の目に見えない障害に悩んでいた。

・復職は良かったが 障害のために仕事を失うリスクをいつも感じていた。

・見えない障害について雇用者や医師の理解が欠けていると感じていた。
例えば 雇用者が以前と同じ量の仕事をさせる、医師が傷病手当期間の延長を認めない など。

・障害に対応するために各人 独自の工夫でしのいでいた。

脳卒中復職者は他人からはわかりにくい障害で悩んでいる。職場やかかりつけ医の理解を促すにはどうすればよいだろうか、


というおはなし。

図:復職

感想:

ネット掲示板にはひとりで何役もこなし 情報操作に生きがいを感じている者がテーマ毎に必ず何人かいる。きっと匿名性の低いフォーラムなんだろな。

2016年4月7日

もう助からないと判定される脳卒中患者の割合がわかった


End-of-life decisions in acute stroke patients: an observational cohort study.
2016  4月  ドイツ

脳卒中医療には終末期判断や緩和ケアも含まれる。

それら患者の特徴を調べてみたそうな。


2011-2014に入院した脳卒中患者4425人の医療記録を調査したところ、


次のことがわかった。

・全体の2.71%が脳卒中病棟で終末期判断を受けて死亡した。

・そのうち86.3%は入院してほぼ2日以内に蘇生処置拒否指示が出た。

・多くは平均5.0日後に 延命治療の中止決定がなされた。

・入院から7.0日後、緩和ケアに移ってから2.5日後に亡くなっていた。

・入院時の意識障害、嚥下障害、脳の広範囲な損傷が特徴的だった。

・終末期ケアでは生体モニターや投薬、非経口栄養が中止される一方、静脈内輸液だけはすべての患者で継続された。

脳卒中で入院後、病棟内で死亡した患者の多くは終末期判断を経たケースだった、


というおはなし。

図:緩和ケアメニュー

感想:

ちなみに集中治療室での死亡は0.52%。つまりその5倍が家族の合意の下にゆるやかに亡くなってるってこと。

ちょっと意外だった。なくなる人はもっと勢いよく死んじゃうものと思ってた。

2016年4月6日

早くに座らせると回復がよくなるのか?


Early Sitting in Ischemic Stroke Patients (SEVEL): A Randomized Controlled Trial.
2016  3月  フランス

脳卒中のあとすぐに座らせると回復が良くなるものか調べてみたそうな。


18歳以上の脳卒中患者138人について

*発症後24時間以内に15分間以上の座位を取らせるグループ
*3日かけて徐々に身体を起こし座位を取らせるグループ

に分けて、3ヶ月後の生活自立度、合併症、入院日数を調べた。


次のようになった。

・3ヶ月後の生活自立度が軽度障害レベルの患者割合は 76.2% vs. 77.3% で有意な差はなかった。

・合併症や入院日数にも違いはなかった。

脳卒中のあとすぐの座位が回復に良いとは思えない、


というおはなし。

写真:座位


感想:

幼児英才教育の是非に通じるものがあるな、、

これ↓思い出した。
ランセット誌:超早期リハビリぜんぜん効果ない

2016年4月5日

tDCSで脳卒中患者の傾きが治る可能性について


Polarity-Dependent Misperception of Subjective Visual Vertical during and after Transcranial Direct Current Stimulation (tDCS).
2016  3月  ブラジル

主観的な垂直方向(自覚的視性垂直位)は脳卒中患者でしばしば病的に傾く。

tDCS(経頭蓋直流電気刺激)がこの感覚に影響するものか実験してみたそうな。


健常者13人について、側頭頭頂の縁上回 両側にtDCS電極を貼り自覚的視性垂直位を調べたところ、


次のようになった。

・偽刺激に比べて自覚的視性垂直位はプラス電極側に大きくシフトした。

・刺激を切ったあとに反対側に振れるリバウンド効果が確認できた。

・左プラス|右マイナス のときに自覚的視性垂直位がプラス電極側にシフトする効果がもっとも持続した。

・電界分布を計算したが内耳への影響はなさそうだった。


側頭頭頂へのtDCSで自覚的視性垂直位が明らかに影響を受けた。傾く脳卒中患者に応用できるかもしれない、


というおはなし。

図:tDCS

感想:

確信した、tDCSは前庭感覚電気刺激GVSの別解釈だな。

GVSの真偽はともかく。↓
脳卒中患者が傾く仕組みについて

プッシャー現象 なぜ脳卒中患者は傾くのか

半側空間無視の新治療法、前庭感覚電気刺激を5日間繰り返してみた

前庭感覚電気刺激で半側空間無視をやっつけろ!

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